いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

アベ・ショックの誤り。 a mistake of abe shock

2016-06-01 19:44:21 | 日記
 (1)今や政治家の言葉など「まとも」に受け取る人はそうはいないと思うが(政治がそれでは困ったものだが)、あれこれとよく言うものだとも思う。秘書が秘書がとどちらが主体の政治家なのかとあからさまに責任転嫁してみせて、別荘に仕事の資料を持っていくからと公用車使用をこじつけ正当化したり、厚顔無恥の見透かされたみっともない詭弁をしてみせる。
 逆によくそれで国民、市民の代表として政治を主導できるものだと感心させられるばかりだ。

 (2)安倍首相は議長国となったG7伊勢志摩サミット首脳会議で経済データ、資料を示して、現在の世界経済を「リーマン・ショック前とよく似ている」(報道)と危機感をあらわしたと言われて、本日の安倍首相の来年4月の消費税10%引き上げの2年半再延期発表につなげたと言われている。

 これに対して首脳会議出席者の中からは「危機的状況にはない」との反論懐疑も出されて、世界経済の現状認識不足との批判も出ている。

 (3)実は安倍首相の「リーマン・ショック前の状況に似ている」発言は、26日のG7首脳会議の議論のあと世耕官房副長官が記者団に説明した(報道)もので、安倍首相、政府(官邸)としては了解済みのものでなければもちろんおかしい。

 ところがこの発言に対する一斉の反対論、批判を受けて、世耕副長官が31日になって記者会見で突然「(安倍首相は)発言していない。私が少し言葉足らずだった」(同)と釈明した。つじつまを合わせるように安倍首相までも「(発言報道は)全くの誤りだ」と述べた。

 (4)報道発表から5日間のタイムラグは重く、長く不自然で、それでは安倍首相に帯同する側近の官房副長官の報道ブラフ(bluff)が何だったのかと見透かされて、見栄見えの「言葉足らず」発言ということになって、今度はG7首脳会議の大舞台の討議中身をあまりに軽く扱う大変に失礼な訂正対応となってしまうではないのか。

 英国キャメロン首相は世界経済はそんなに危機的状況にはないと発言(報道)したとされて、これの適切性まで疑われては安倍発言の「報道の誤り」ですむ認識問題ではない。

 (5)都合のいい経済データ、資料を示して危機感を煽ったのかもしれないが、専門家からはリーマン・ショックでは急激な変動が見られて、現在のは時間をかけてゆっくり変動したもので性質が違うという分析もあり、もうちょっとましな説明、言い訳があってもよかった。

 政治家としての本性からか「言葉足らず」の言い訳で前言撤回、「全くの誤り」で否定してみせてとりつくろってみせても、ことは世界が注目するG7首脳会議でのことでもしそうだとすれば大変な間違った情報を発信したことになって、訂正すれば済む問題ではなくG7首脳を巻き込む国際信用にもかかわる政治責任問題となるものだ。

 (6)パラドックス(paradox)としてG7首脳会議がその程度の位置付け、討議、信用だとすれば、世耕官房副長官の発言はG7の存在感を自ら否定する愚かな釈明でしかない。

 安倍首相は来年消費税10%引き上げを2年半、19年10月まで再延期することを発表したが、このままでは安倍首相の自民党総裁としての任期はその時までには終わっている。

 (7)通常次の政権を拘束するようなことを残さないのが政治の実効性であるが、今度はどんな見え透いた言葉を用意しているのか、政治家の見え透いた言葉に振り回されてばかりでは情けない。

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