進化と長寿社会。 improvement and society of longevity

　(1)１４年、１５年と単年複数のノーベル賞授賞者を輩出したことを受けて、日本も相応の国力を自覚して世界的課題に対して自信を持って主張し、対応すべきだと書いたが、今年も３年続けてのノーベル賞を大隅良典さんが医学生理学で授賞した。

　００年～０２年までとあわせて２度目の３年連続ノーベル賞の受賞で、日本の先端的医学、科学研究技術分野の研究力の高さを示すことになった。
　今回の大隅さんの研究は「オート・ファジー」（自食作用ー報道）といわれる「細胞内のたんぱく質を分解して再利用する働き」で「がんや老化を抑制する働き」（報道）、アルツハイマー病やパーキンソン病の治療効果に期待されている。

　(2)高年令化社会を迎えて不治の病、難病に日々悩まされる人にとっては、本格的な治療開発、効果、実用化が待たれる研究だ。人生は５０年～６０年時代から今や８０年時代に大きく飛躍してきた。

　今後、１２年医学生理学授賞の山中伸弥さんのiPS研究、大隈さんの研究などがこれからさらに人間の寿命を先に伸ばす可能性の先端的医学、科学研究技術力の成果でもあり、ほかにも同様の不治、難病克服の研究は進んでいる。
　体内細胞が免疫力を持ち、がん細胞を駆逐する研究も注目を集めている。近いうちにノーベル賞授賞の期待、予測の高さもある。

　(3)そこで人間社会が５０年、６０年から８０年に格段に伸びたことによって、社会は年金、医療、介護、社会保障でまったく対策の遅れ、立ち行かなくなり、大きな政治不信、課題となって国民に負担と不安を向き合わせている。

　日本の先端的医学、科学研究技術力の高さに比較して政治力は劣るといわれて、社会構造上、そのギャップ（gap）の大きさを埋めることができない少子高年令化の悲劇社会を生んでいる。

　(4)今後、日本の先端的医学、科学研究技術力の成果、効果の結果、実用化として社会構造上（on the organization of society）の変化、需給、人口構成による経済構造、生活構造、権利構造への適切、適正で効果的な対策について、十分で入念な分析、検証を行っておく必要がある。

　戦後、団塊世代の出現で７０年を過ぎて現在の少子高年令化現象による社会構造上の問題は十分に予測、予知されたのに、その間の政府はこれに適切、適正な対策を怠り、不作為の中で今日的、危機的社会構造問題を引き起こした。

　(5)同じ過ちは許されない周到な準備が必要だ。