いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

政治低下と保護主義。 political drop and protectionism

2016-10-10 19:50:08 | 日記
 (1)政治は国民のレベル以上のものを持てないといわれる。米国大統領選は共和党候補のトランプ候補がイスラム移民排斥、メキシコ国境沿い壁建設発言など過激な思考で注目を集めて異端候補の印象が強かったが、米国ビジネス社会で成功した名声が就労に恵まれない貧困層や若者の支持を集めていつのまにか共和党予備選のトップに躍り出てその大統領候補者となった。

 (2)日本に対しても駐留米軍経費の負担増を求めて(ついでに負担増をしない場合には日本から米軍を撤退させ、日本の核保有を容認するとまで発言)、冒頭過激発言同様に米国利益優先の保護主義(protectionism)台頭のわかりやすい主張で勢力を伸ばしてきた。

 極端な保護主義志向で既成政治に不満を持つ国民受けする主張で、これまでの米国政治が担ってきた世界政治、経済のバランスのとれた政策はほとんど聞かれることはない。

 (3)一方で民主党クリントン候補は、米国史上初めての女性大統領を目指すというインパクトはあまり伝わってこずに、米国政治社会ではあまり評価、人気が高いとはいえないオバマ政権を国務長官として支えてきた政治経歴が不評となってこれに私用メール問題が尾を引いて支持がひろがらずに、政治経歴のないトランプ候補との選挙論戦でも経験豊富な政策論争よりは相手中傷のネガティブキャンペーンが中心で、国民が世界政治のリーダーとしての強い米国を望む米国大統領選の興味と関心ををすっかり薄れさせている。

 (4)米国メディアの見方も、今回の米国大統領選はどちらの候補が米国大統領によりふさわしくないかの争いだと悲観的に伝えて、クリントン候補とトランプ候補のテレビ討論も国民からは娯楽番組のようで興味も関心もない(趣旨発言報道)との声も聞かれる。
 冒頭の政治哲学の格言からすれば、今回の米国大統領選の沈滞ムードはそっくりそのまま米国民の政治意識の劣化、低下(political drop)によるものだとつながる。

 (5)今年になって英国社会は当時のキャメロン首相がEU残留を主張する中での国民投票でEU離脱を決めてEUの発展よりは英国の利益優先で、これも英国保護主義社会の台頭を示すもので議会制民主主義発祥国においても政治の貧困が進んでいることを示すものだ。

 フィリッピンでは今年あらたに誕生したドゥテルテ大統領がトランプ候補並みの独裁主義的な過激発言で米国オバマ大統領を公然と中傷して、ついにはヒットラー礼賛までしてみせる波乱万丈ぶりで、これが国民の高い支持を集めている(報道)といわれる。

 (6)政治の劣化、低下は世界的な傾向、方向性であり、これらを支持する国民レベルも政治哲学の格言からいえば同等、同様のレベルといえそうだ。
 国際政治、経済が協調主義が叫ばれながらそれぞれが保護主義に走るというジレンマ(dilemma)が世界政治(の器)をより「小さく」している。

 (7)日本も安倍政権の重要政策に国民の過半数がことごとく反対(世論調査)しながら、安倍内閣支持率は比較安定しているというパラドックス(paradox)の保護主義社会だ。

 不安定な世界経済の動向がそれぞれの将来への不安をかきたてての保護主義社会の台頭であり、それが内向きな政治の劣化、低下を招いている。
 国際協調主義による世界経済の回復が開かれた打開策として注目される。
 

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