直接民主制。 the direct democracy

　(1)過疎化が進む地方、村議会では議員のなり手もなく、やむをえずに住民による直接民主制（the direct democracy）を検討するところが出てきている。
　これまで議員手当不足に年金なしなどで将来の生活への不安で地方議会議員のなり手不足が問題になっており、シンクタンクの予測ではこのまま地方の過疎化が進めば地方自治体は半減するというデータもある。

　(2)上述例の数百人規模の住民の村では議員のなり手もなく住民による直接民主制を検討してるが、住民参加の直接集会での参加人数の確保などほかにも前例が乏しくて住民による直接民主制の実施もなかなか困難がともなう。

　自ずと地方自治体の吸収合併という話にもつながるが、国会での憲法改正論議でも道州制がテーマに浮上している。

　(3)行政統治機構、機能改革は地方の過疎化に加えて地方議会議員のなり手不足に自治体財政不足がスパイラルに加速して、根源的な対策が必要となっている。
　将来的に現在の半数の地方自治体が消滅する危機が予測されるとなると、道州制を含めて行政統治機構、機能改革は避けられない。

　(4)世界的に見ても、国策を左右する、国民を二分するような重要政治、政策課題について国民投票で決着する方法論（methodology）が近年目立っている。

　特に議会制民主主義発祥の英国でスコットランドの英連邦からの独立選択に、英国のＥＵ残留、離脱選択が続けて直接民主制といえる国民投票（popular vote）で争われて決着をみせている。
　ともに国民を二分する重要問題としてきっ抗した結果となったが、国民投票で国民過半数が責任を持つ方向性で決着した。

　(5)当時の政権党のキャメロン首相がＥＵ残留を主張しながら国民の過半数が選択したのはＥＵ離脱であり、仮に議会で論争されていれば経緯からして国民の判断とは違った方向性が出た可能性は高くあるいはいつまでも決着せずに、議会制民主主義の理念、制度の醸成は政治の合理的、機能的仕組みから望むべきことだが、直接民主制による決着方法も政治的徒労、悪循環を解決して問題に限定した国民の意思を正しく汲んだ政治の実現、解決に向けて必要な方法論だ。

　(6)日本でも原発再稼働、沖縄米軍基地問題は政治的思惑が先行して、対象地域住民に過重の問題負担を押しつけて反発を招いており、国民投票で決着をはかる重要政治課題、問題でもある。
　議会制民主主義先進国の英国に倣（なら）って国民投票で決着をはかったらどうか。

　議員のなり手がなく、やむをえずに直接民主制を検討する村議会、住民としては今後の住民責任負担も大きくて、前途は険しいものがある。住民投票で決意を決着したらいい。