いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

天皇のショック。 Tenno's shock

2017-05-21 19:57:32 | 日記
 (1)現天皇の退位問題は今月19日に1代限りの限定法として特例法案が国会に提出された。天皇の高年令、健康配慮の退位問題は1代限りのことではなく、恒久法としての制度化の意見も聞かれたが、そもそも天皇の退位に否定的ともいえる安倍首相の意向もあったのか、現天皇の高年令、健康問題による退位意思を尊重して恒久法整備による対応も考えられたが時間の長さなどから1代限りの限定法として与野党が合意していた。

 (2)この天皇の退位を検討する有識者会議では、保守的思想の強い専門家、ジャーナリストからは天皇の行為の中心は宮中祭祀(a religious service)を執り行うことであって「天皇は祈っているだけでよい」(報道)という意思が出されて、公務は必要ないとの退位に否定的な意見も聞かれた。

 皇室典範には天皇は内閣の助言と補佐のもとに国事行為を行うと規定されているので、随分とはっきりとした物言いをすると思っていたが、天皇もこの意見には「(有識者会議の)ヒアリングで批判されたことがショックだった」との強い不満(報道)を示していたことが宮内庁側から官邸に伝えられていたことがわかった。

 (3)退位問題は、野党は皇室典範の改正も視野に恒久法として検討すべき主張していたこともあり、保守的思想の強い専門家などの「天皇は祈っているだけでよい」意見が主張されれば皇室典範の改正にも及ぶもので、これはとても簡単には合意形成などできずに混乱を長く招くだけのことであった。
 保守的思想派は天皇退位を否定するためだけの意図的な発言だったように思う。

 (4)近代天皇制までの古代歴史上の天皇は政治の中心にいて権威、権力者でもあったから、そういった歴史上の伝統的天皇制を崇拝する保守的思想派が天皇制の形がい化(祭祀主義)を主張するなどとはよく理解できないことであったが、象徴天皇となった近代天皇制でも国事行為、公務を行うことは国民の象徴としての天皇のあるべき姿(被災地訪問、海外戦地慰霊など)として理解、合意を形成してきたものだ。

 天皇制の形がい化(戦前は戦争遂行に利用された)は事あるごとに天皇制を利用してきた政治支配の都合主義に立つ主張でもあり、こちらの方が警戒感は強い。

 (5)天皇の退位問題を巡っては首相官邸と宮内庁の意思、意向の違いがあきらかになって、政府による宮内庁長官の交代など対立が見られる。
 万世一系男子の天皇存続を強く念頭に置く安倍首相をはじめ保守思想派にとっては、天皇行為が祭祀主義に限定して祭りあげ、政治的に利用したい意向がにじむものだ。

 (6)天皇の退位問題も政治的かけ引きに利用されて、天皇もショックを強くしたのではないのか。

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