いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

三島由紀夫から47年。 after 47 years from y.mishima affairs

2017-05-25 20:06:10 | 日記
 (1)1970年に三島由紀夫は自衛隊駐屯地に乗り込んで、自衛隊を憲法違反は憲法違反として認め、だからクーデターで自衛隊を正式な国家機関として認めさせようとしたが、政治的行為を制限されている自衛隊員はこれに同調せずに三島クーデターは未遂に終わった。文民統制、法律が働いたものだった。

 それから47年が経過して、安倍首相が(一応自民党総裁としての立場から)憲法9条に自衛隊を明記するなど憲法改正を2020年に実施することを表明し、今年中に自民党案をまとめるよう求めた。

 (2)三島由紀夫は戦力不保持、交戦権を有しない現行憲法では自衛隊は違憲との憲法学者の見解と同じ論理であったが、安倍首相は独自に拡大解釈をして現行憲法下での自衛隊の合憲性を憲法9条に明記することで成立させようとしている。

 これに対して自衛隊トップの統合幕僚長が「一自衛官として申し上げるなら、自衛隊の根拠規定が憲法に明記されることになれば非常にありがたい」(報道)と述べていたことが問題になっている。

 (3)同じく「憲法は高度な政治問題なので統幕長の立場で申し上げるのは適当ではない」(報道)と断わってはいるので立場はよく理解しているはずだが、「一自衛官」としても自衛隊法上もさらにこれから国会発議の上国民が決めることでもあり、先走った軽率な発言であることには変わりはない。

 安倍首相が自民党総裁として憲法9条に自衛隊を明記するなどの改憲を表明したのと同じで、こちらも自衛隊トップの統合幕僚長の立場にあるものが一自衛官として「ありがたい」発言をしたとしても本質論は何も変わらないものであり、同じまやかし論の先走った軽率な発言に変わりはない。

 (4)自衛隊の文民統制(civilian control)から自衛隊法では隊員の政治的行為が制限されている。かって政府の方針に反した論文を発表した当時の自衛隊幹部が更迭されたことがあった。

 安倍首相の目指す憲法改正は国会議員の3分の2以上の発議で国民投票により国民有権者の過半数の賛成が必要であり、そのプロセスも未定の中での自衛隊トップの「ありがたい」発言は事の前後、立場、制度を顧みない先走った不適切発言のそしりはまぬがれない。

 (5)ことに自衛隊組織での制服組の立場、影響力が大きくなっている中での制服組トップの事を先取りした発言には、安倍首相が目指す国民投票への影響、文民統制上の問題も懸念される。
 
 稲田防衛相に対しては国会答弁などから資質、統制力の問題が指摘されて、自衛隊内から公然と頼りない(報道)との意見も聞かれて、文民統制、統制力不足の懸念も大きい。

 (6)個別的自衛権のもとに自衛隊の役割、存在は、国民社会では広く一定の理解を得ており、それを憲法9条に明記しようとすれば戦力不保持、交戦権を有しない規定との整合性が問題になる。

 安倍首相が目指す自衛隊は安保法制による集団的自衛権の行使容認による組織で、通常の憲法9条規定が認める個別的自衛権(国際紛争を解決するための手段としての戦力不保持、交戦権放棄)としての理解との整合性を明確にしなければならない。
 

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