(1)安倍首相の改憲要旨は、当初の96条の改憲発議の変更(3分の2から過半数)から緊急事態条項(災害時の首相の権限強化、議員資格の延長)となり、今年の支持者集会への自民党総裁としてのビデオメッセージで憲法9条に自衛隊明記と高度教育の無償化を主張して、これをもとに今年中に自民党改憲案の取りまとめを求めた。
憲法9条に自衛隊明記発言は手続き上の問題から自民党総裁としての主張となっているが、安倍首相が目指す改憲の本流だ。憲法9条に自衛隊を明記することは、その後の自民党草案にある自衛隊の国防軍化の足がかりとするものだ。
(2)これに対して自衛隊の違憲意見も根強くある憲法学者の団体からは「自衛隊は既に国民に広く受け入れられた存在で、憲法への明記に意味はない。不必要な改正」(報道)という指摘がある。
安倍首相は自衛隊を違憲だとする意見もある憲法学者もいることから、憲法9条に自衛隊の役割、存在を明記して名実ともに合憲自衛隊を主張したいところだが、専門家からは9条の条文を残したまま自衛隊を明記することは同9条の戦力不保持の条文と競合して憲法の整合性に問題があるとの指摘もある。
(3)憲法9条の国際紛争を解決するための手段としての戦力を保持せずに、交戦権を有しない規定は、旧社会党などから長らく自衛隊は違憲とする意見があった。
その後国連が各国の自衛権を保障する意向があったこともあり、憲法9条が「国際紛争を解決するための手段」としては戦力不保持、交戦権を有しない解釈から同憲法上自衛権は保障されるという解釈、見解が国民の一定の理解を得ているとして、旧社会党も個別的自衛権の存在を認めて自衛隊も合憲との判断に変更した。
(4)憲法学者の専門的見解からの違憲論はあっても、いまでは自衛隊は合憲というのが広く一般的な理解だ。政府もこれまで個別的自衛権の範囲内での自衛隊の役割について合憲という解釈であったが、安倍首相は独自に憲法解釈の変更により自衛隊の役割に集団的自衛権の行使を認める安保法制を成立させた。
この集団的自衛権の行使容認は、これまでの個別的自衛権を前提解釈とする憲法9条の主旨を逸脱するものとして大多数の憲法学者、国民の違憲判断による反対を受けた。
(5)こういう経緯からも憲法9条に自衛隊を明記することは集団的自衛権の行使容認をも認める前提解釈となるもので、単なる自衛隊の存在、役割にとどまらない重要改憲主旨となるものだ。
個別的自衛権の行使としての自衛隊の戦力、交戦権の一定の理解の中で「拡大解釈」として安保法制で集団的自衛権の行使を容認したものを、改憲で集団的自衛権そのものを憲法上認めようというものであり、大きな問題、国民的議論を含むことになる。
(6)安倍首相、政府が拡大解釈した憲法主旨の前提を否定して、今度はあらたに憲法上の本主旨として自衛隊、それに付与する集団的自衛権の行使を容認しようという根本問題(a fundamental question)がある。
憲法9条に自衛隊明記発言は手続き上の問題から自民党総裁としての主張となっているが、安倍首相が目指す改憲の本流だ。憲法9条に自衛隊を明記することは、その後の自民党草案にある自衛隊の国防軍化の足がかりとするものだ。
(2)これに対して自衛隊の違憲意見も根強くある憲法学者の団体からは「自衛隊は既に国民に広く受け入れられた存在で、憲法への明記に意味はない。不必要な改正」(報道)という指摘がある。
安倍首相は自衛隊を違憲だとする意見もある憲法学者もいることから、憲法9条に自衛隊の役割、存在を明記して名実ともに合憲自衛隊を主張したいところだが、専門家からは9条の条文を残したまま自衛隊を明記することは同9条の戦力不保持の条文と競合して憲法の整合性に問題があるとの指摘もある。
(3)憲法9条の国際紛争を解決するための手段としての戦力を保持せずに、交戦権を有しない規定は、旧社会党などから長らく自衛隊は違憲とする意見があった。
その後国連が各国の自衛権を保障する意向があったこともあり、憲法9条が「国際紛争を解決するための手段」としては戦力不保持、交戦権を有しない解釈から同憲法上自衛権は保障されるという解釈、見解が国民の一定の理解を得ているとして、旧社会党も個別的自衛権の存在を認めて自衛隊も合憲との判断に変更した。
(4)憲法学者の専門的見解からの違憲論はあっても、いまでは自衛隊は合憲というのが広く一般的な理解だ。政府もこれまで個別的自衛権の範囲内での自衛隊の役割について合憲という解釈であったが、安倍首相は独自に憲法解釈の変更により自衛隊の役割に集団的自衛権の行使を認める安保法制を成立させた。
この集団的自衛権の行使容認は、これまでの個別的自衛権を前提解釈とする憲法9条の主旨を逸脱するものとして大多数の憲法学者、国民の違憲判断による反対を受けた。
(5)こういう経緯からも憲法9条に自衛隊を明記することは集団的自衛権の行使容認をも認める前提解釈となるもので、単なる自衛隊の存在、役割にとどまらない重要改憲主旨となるものだ。
個別的自衛権の行使としての自衛隊の戦力、交戦権の一定の理解の中で「拡大解釈」として安保法制で集団的自衛権の行使を容認したものを、改憲で集団的自衛権そのものを憲法上認めようというものであり、大きな問題、国民的議論を含むことになる。
(6)安倍首相、政府が拡大解釈した憲法主旨の前提を否定して、今度はあらたに憲法上の本主旨として自衛隊、それに付与する集団的自衛権の行使を容認しようという根本問題(a fundamental question)がある。