いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

木を見ても森は見えない。 we can't see the forest for the tree

2017-05-22 19:55:35 | 日記
 (1)当初の対象犯罪が700近くでいくらなんでも多過ぎるとしてそれでも277に絞り込んでのテロ等予備罪(共謀罪)は、多分国会で質問する与野党議員も全体像などわからずに、それに答える金田法相はもちろんのこと法務省刑事局も巡り巡って実はよくわからないのではないのかと思える。木を見ても森は見えない(we can't see the forest for the tree)。

 対象犯罪が700近くとなると何がどう関係して絡(から)んで罪になるのか主なものは別にしても細部になるとわからなくなって、そこで一般人、国民が犯罪取り締まりの対象になるのではないのかの素朴な疑問も出てきて、一体全体どういう犯罪取り締まり法なのかわからなくなってしまっている。

 (2)直近のメディアの世論調査では52%が今国会成立にこだわらずに議論を続けるべきだと回答しているが、過半数をわずかに占める程度の数字でそれでも極めて低い数値であり、その他今国会で成立を図るべき(17%)、廃棄(14%)を含めて48%は実際同法案のことがどれほどにわかっているのかさえよくわからない。

 多分に推測するに安倍首相が言うようにこの法律がないと2020年東京五輪は安全に開催できないという「言葉」を漠然と信じているだけなのではないのかと思える。
 実際にこの法律がなくても現行法制度でテロ等に対処できる体制は可能なことはいうまでもないことだ。

 (3)テロ等準備罪は対象犯罪が多いこともあって国会審議ではいちいち具体的事例への対処法が取り上げられて問題となって、やはり同法案の全体像をつかめるような法案提出ではなくて、国民の過半数(52%とそれでも極めて低いが)が審議を続けるべきだと判断するのも当然のことだろう。

 安倍首相、政府はいつものように決まり文句の(そうしておいて一度もそうしたことがない)国民に理解してもらう努力は今後も続けるというが、同法案を数の力で委員会を強行通過させておいて今後も国民の理解を得る努力を続けるとはまったく変な話で、本末転倒の無理強い、あべこべの論理矛盾でしかない。

 (4)国民の理解を得るていねいな国会審議の上での採決でならないのはいうまでもないことだ。確かにテロ防止対策法は国際テロの危険、被害を直接的に受けている他の先進国ではすでに必要なものとなっている。

 そういう国際政治的背景の中で日本でも論議は必要だろうが、それは2020年東京五輪開催に限った話ではなく同法案の利益、不利益を十分に比較検証して、検討して、論議して結論を求めるものだ。

 (5)安倍首相が心配するように2020年東京五輪の安全開催に同法案が必要なら、まずは時限立法にしておいて本論の共謀罪の構成要件の変更は時間をかけて論議すればいいことだ。

 国民の意向はまだまだ低いとはいえ過半数がテロ等準備罪の論議は続けるべきだと考えている。

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