(1)自衛官幹部候補生を育てる防衛大を出てもそのまま自衛隊に入隊する卒業生はすべてではないし、一般に自衛隊に入隊しても給料をもらって一定期間の内に資格を取得して企業などに転職する場合もある自衛隊員(a member of self defence forces)だ。
安倍首相、政府は安保法制制定による集団的自衛権の行使を容認して、自衛隊を同盟国米国などと海外の紛争、戦闘地に派遣することを決めたが、これに対して現職自衛官が「入隊時、集団的自衛権の行使となる命令に従うことに同意していない」(報道)として国を相手に訴えを起こした。
(2)日本国憲法は第9条で戦力を保持せずに交戦権を有しないと規定しており、自衛隊は個別的自衛権の行使で他国の攻撃から国、国民を守ることが任務、使命とすることが広く一般的な国民理解、認識となっている。
近年では国連PKO活動として海外の紛争、戦争地域への自衛隊の派遣も行われて、自衛隊員の生命への危険度も格段に増している。国を相手の訴訟の一審地裁では、原告(自衛隊員)に「訴えの利益」(profits of a lawsuit)がないとして却下されたが、二審高裁では「出動命令に従わない場合、刑事罰や懲戒処分を受ける可能性があり、訴えの利益はある」(報道)として一審判決を取り消した。
(3)集団的自衛権の行使にあたっては、冒頭のように自衛隊員に国を守る責任感、使命、気概がどれほど濃密にあるのか、心の問題が任務遂行のリスク、ネックとなると書いたが、まして海外の紛争、戦闘地への派遣となると戦争のない(しない)平和な国、社会の日本において他国、他地域のために自らの生命の危険に対処すること、直面することに強い抵抗感はあるだろう。
米国でも覇権国家として長い戦争歴史のベトナム戦争、アフガン、イラク、中東戦争に関与して若い米国軍人が他国のために命を落とすことに国民的拒否、嫌悪感が社会にまん延して、前オバマ大統領はイラク、中東戦争からの米軍撤退を進めた。
(4)ただし国、国民を守る自衛隊員が安倍首相を頂点とする指揮命令系統の出動命令に個別にいちいち従わないということになれば、自衛隊の本来任務、業務、使命を果たすことはできない。
そのための担保としての刑事罰であり懲戒処分だが、対価は平和な国、社会の中での生命の危険命令という不測の事態であり、高裁は自衛隊員の「訴えの利益」を認めた。
(5)天皇のために命を懸けて国を守る、戦争に赴(おもむ)くというのは、戦前軍国主義国家としての日本、国民の姿であったが、今は日本国憲法の平和主義、思想、理念に守られた戦争をしない国民、社会としての自衛隊員だ。
そもそも多くの憲法学者、国民が憲法第9条に違反すると主張する安倍政権の憲法拡大解釈による安保法制制定の集団的自衛権の行使容認だった。
(6)最後は、安保法制制定による集団的自衛権の行使について司法が合憲か違憲かの判断を示すべきことであり、自衛隊員の集団的自衛権行使の命令に同意しない「訴えの利益」を認めることはそれにつながる法的利益である。
安倍首相、政府は安保法制制定による集団的自衛権の行使を容認して、自衛隊を同盟国米国などと海外の紛争、戦闘地に派遣することを決めたが、これに対して現職自衛官が「入隊時、集団的自衛権の行使となる命令に従うことに同意していない」(報道)として国を相手に訴えを起こした。
(2)日本国憲法は第9条で戦力を保持せずに交戦権を有しないと規定しており、自衛隊は個別的自衛権の行使で他国の攻撃から国、国民を守ることが任務、使命とすることが広く一般的な国民理解、認識となっている。
近年では国連PKO活動として海外の紛争、戦争地域への自衛隊の派遣も行われて、自衛隊員の生命への危険度も格段に増している。国を相手の訴訟の一審地裁では、原告(自衛隊員)に「訴えの利益」(profits of a lawsuit)がないとして却下されたが、二審高裁では「出動命令に従わない場合、刑事罰や懲戒処分を受ける可能性があり、訴えの利益はある」(報道)として一審判決を取り消した。
(3)集団的自衛権の行使にあたっては、冒頭のように自衛隊員に国を守る責任感、使命、気概がどれほど濃密にあるのか、心の問題が任務遂行のリスク、ネックとなると書いたが、まして海外の紛争、戦闘地への派遣となると戦争のない(しない)平和な国、社会の日本において他国、他地域のために自らの生命の危険に対処すること、直面することに強い抵抗感はあるだろう。
米国でも覇権国家として長い戦争歴史のベトナム戦争、アフガン、イラク、中東戦争に関与して若い米国軍人が他国のために命を落とすことに国民的拒否、嫌悪感が社会にまん延して、前オバマ大統領はイラク、中東戦争からの米軍撤退を進めた。
(4)ただし国、国民を守る自衛隊員が安倍首相を頂点とする指揮命令系統の出動命令に個別にいちいち従わないということになれば、自衛隊の本来任務、業務、使命を果たすことはできない。
そのための担保としての刑事罰であり懲戒処分だが、対価は平和な国、社会の中での生命の危険命令という不測の事態であり、高裁は自衛隊員の「訴えの利益」を認めた。
(5)天皇のために命を懸けて国を守る、戦争に赴(おもむ)くというのは、戦前軍国主義国家としての日本、国民の姿であったが、今は日本国憲法の平和主義、思想、理念に守られた戦争をしない国民、社会としての自衛隊員だ。
そもそも多くの憲法学者、国民が憲法第9条に違反すると主張する安倍政権の憲法拡大解釈による安保法制制定の集団的自衛権の行使容認だった。
(6)最後は、安保法制制定による集団的自衛権の行使について司法が合憲か違憲かの判断を示すべきことであり、自衛隊員の集団的自衛権行使の命令に同意しない「訴えの利益」を認めることはそれにつながる法的利益である。