いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

教育の自由論争。 dispute of freedom of education

2018-03-17 20:23:11 | 日記
 (1)今度は名古屋市の中学校が授業の一環として招いた講師に対して文科省からメールによる問い合わせ調査だ。その講師が天下り問題の責任を取って引責辞任し、加計問題の「総理の意向」で政府と対立した前川前事務次官とあって、文科省は敏感に動いた。

 前川前次官は加計学園新設獣医学部で「総理の意向」があったと主張して文書が残っているとも述べて、これを否定する菅官房長官と対立していた。文科省のメール調査は前川前次官を招いた経緯や目的などを尋ねるもので、当日講演の録音テープの提供を求める(報道)という微に入り細にわたるものだったようだ。

 (2)文科省も時期は時期で国会で森友問題が新展開をみせている中で、加計問題での「総理の意向」問題に神経をとがらせていることを伺わせるもので、当事者の前川前次官の講演内容へのメール調査となった。

 民主主義国家で思想信条、表現、教育の自由が憲法で保障されている日本で、中学生を前によほどの何を述べようとも制限などされる理由はないので、あきらかに文科省の教育の自由、思想信条、表現の自由に立ち入る権力干渉でありあってはならないメール調査の関与だった。

 (3)報道で伝えられているところでは、前川前次官の同中学校での講演内容は自らの肩書として「国会参考人というのもある」と述べた以外は日本の将来近代化、国際化のために若い頃から学ぶ力が必要だというごく普通の中学生を相手にした講演内容で、文科省が多分気にしているような政治的な話題は出なかったようだ。

 文科省は教育行政の調査権はあるとしてメール調査の正当性を主張しているようだが、講師が前川前次官でなければいちいち全国の中学校の授業講演に関与などしている場合でもないだけにその教育行政の偏向した(bias)姿勢が問題視されている。

 (4)授業、講演に法令違反にあたるものがあればの教育調査権(専門家談)であり、今回の授業講演内容をみれば文科省の過剰反応による権力干渉の勇み足であることはあきらかだ。

 一方で前川前次官を授業講師に招いた中学校としても校長が前川前次官と知り合い(報道)であり講師依頼したとも受け取られて、天下り引責辞任に加計問題で政府と確執対決で話題性の多い前川前次官を授業講師に招くことに慎重な考慮、配慮があってもよかった。

 (5)文科省が色めき、気にしたように中学生という自己概念がまだ十分に確立していない成長途上の教育現場に、文科省を引責辞任し「総理の意向」問題で政府と対立する元官僚の立場で授業講演を行うことの不確実性(uncertainty)はもっと考慮されてよかった。

 文科省の自己都合、理由による教育現場へのメール調査関与はあってはならないことだが、中学校側にもつけ入られる問題はあり考えるべきところだ。

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