(1)今年に入って「もしトラ」なる言葉が盛んに語られることになった。出処は米国なのかどこなのかわからないが、今年の米大統領選でトランプ氏が米大統領に復帰したら世界は8年前のように大混乱になるというものだ。
(2)結果はトランプ氏が大勝利でハリス氏を破り、「もし」が取れた。今年の流行語大賞の有力候補かと思ったら、国内向けではないせいか候補語には見当たらなかった。なにしろ132年ぶりに史上2人目となる大統領経験者の返り咲きで、そこに刑事事件被告の米大統領というプレミアム(premium)つきなので今年は「もしトラ」の年だった。
(3)「もし」が取れたトランプ大統領は早速、世界の政治指導者との電話会談(報道)を精力的に開始している。石破首相とも数分間電話で話したといわれ、石破首相は「非常にフレンドリーな感じがした。言葉を飾ったり、繕(つくろ)ったりするのではなく、本音で話ができる印象を持った。」(報道)と述べている。
(4)しかし、トランプ大統領は大統領選「大勝」で自信を深めているはずで、余勢をかって日本にも駐留米軍基地の経費負担増、米国内への企業誘致、雇用促進、日本の米国製品などの輸入増進を強く求めてくると思われる。
(5)世界的にみればトランプ大統領は来年1月末の就任式までにウクライナ戦争を終わらせると言っており、報道によるとウクライナ・ゼレンスキー大統領は露に有利な条件での停戦への警戒感が伝えられ、EUに対してはNATOの米国並み出資金の増額を求めて従わなければNATOからの米国離脱に出るとも考えられる。
バイデン政権が復帰した世界気候変動会議(cop)からも再び離脱するものとみられて、ガザ侵攻のイスラエルには以前のように強く肩入れするだろう。
(6)中国に対しては台湾攻撃をすれば100%の関税をかけるとして、中国製品への高関税を示唆して再び米中経済戦争が開始される懸念は高く、すでに「アメリカ・ファースト」(米国第一)を主張している。
日米市場は敏感に反応して円安、株高が強まり物価高は続き、世界経済は先行き不透明感が強まっている。
(7)来年1月末の就任式でトランプ大統領が何を語るのか、政治経験を積み、大統領を経験して1期目と違うのか、違わないのか、「もしトラ」の「もし」が取れて不安、予測が現実のものとなる公算は「大勝」でさらに加速する(more acceleration by a great win)ものとみられる。