(1)ウクライナ戦争は露に北朝鮮軍が1万人(報道)が派遣されて、新展開をみせている。北朝鮮軍の露への派遣については軍事訓練という見方もある中で、米国オースティン国防長官はウクライナとの戦闘に投入される可能性が極めて高い(同)と指摘して、深い懸念を示した。
露からすればウクライナに対して米、EU、日、韓などが軍事、経済支援を強化している中で、露も北朝鮮に支援を求めることは何が悪いのか、問題はないといいたいところだろう。
(2)しかし米国防長官の見解のように北朝鮮軍がウクライナ戦争で同戦場に投入されるということになれば、他国軍が初めて参戦することになり、これまでのウクライナ軍対露軍の戦闘構図を一変させるもので、ウクライナ戦争から遠く離れてアジアで北朝鮮が日米韓とまたあたらしい対立構図を生むことになり、 ウクライナ戦争の影響がアジアにも緊張を持ち込みさらに高めることは極めて懸念される。
(3)北朝鮮の意図、考え、目的はわからないが、近年露との協力関係を深めて接近しており、両首脳が相互に訪問して軍事協力、経済支援を高めていることから不思議ではなく、これまでも北朝鮮側から武器、銃弾が露側に渡っている情報は伝えられて、今度さらに直接北朝鮮軍の露への派遣という形で関係強化をはかるものだ。
(4)前述したように露からすればウクライナにNATOなどが軍事協力、経済支援しているように露も北朝鮮の軍事協力、支援を受け入れても何が悪い程度の理解、対策なのかもしれないが、露が露軍をウクライナ国境沿いに多数集結させて一方的にウクライナに軍事侵攻して3年が経過して、 今度北朝鮮軍の派遣を受けるとなれば露プーチン大統領の当初の目論見が「変化」していることを示しており、それは露の姿勢の「後退」をもみせる変化ともとらえられてウクライナ侵攻が思惑どおりにいっていないあらわれとも考えられる。
(5)北朝鮮軍の露派遣が露国民、社会にどの程度伝わっているのか、知られているのか情報統制国なのでわからないが、露国民が知ることになれば異変、動揺、不安につながるものであり、国内的、国民的「変化」を生むことはある。
(6)露プーチン大統領がウクライナ戦争継続に予定外なこと、問題(徴兵制、武器、兵器供給など)が生じているのか、北朝鮮軍1万人の露派遣は確実にウクライナ戦争をあらたな不安定なフェーズ(phase)に向かわせている。