(1)バイデン大統領がウクライナにこれまで認めてこなかった米国が供与する長射程ミサイルによる露領内攻撃を許可した(報道)といわれる。これによりウクライナが露西部地域をミサイル攻撃した。米国もウクライナ戦争が長引くに従って当初の直接軍事関与しない方針から直接ではないが関与を強めざるをえなくなってきている。
(2)露の一方的なウクライナ軍事侵攻に対して、NATOの立場から米国が直接露と対戦すれば第3次世界大戦になるとしてウクライナの軍事後方支援に回る判断をしてきた。戦闘拡大につながる露を刺激する攻撃作戦をウクライナに自制してきたが、今回北朝鮮軍が露に協力してウクライナ戦争に参戦したことを受けて長射程ミサイル使用による露領内攻撃を認めた。
(3)ウクライナ戦争は露の一方的なウクライナ軍事侵攻に対して、米などNATO国がウクライナの軍事後方支援に回り、同じように露では北朝鮮軍が協力してウクライナ戦争に参戦することになり「戦争の論理」からすれば一方だけが否定されるものではなく、米国の当初の意図に反してウクライナ戦争は拡大の方向に向かっている。
(4)ウクライナ戦争は発生当初から「戦争の論理」からはここを攻撃してはならないとか、露はウクライナに軍事侵攻しているのにウクライナが露領内を攻撃すれば露が反発するという変則の事態が続いており、プーチン大統領は露にとって重大事態になれば核攻撃もあると威かくしている。
今回の米国のウクライナの露領内攻撃許可には露報道官が「新たな緊張の段階」として戦闘フェーズを上げてけん制している。
(5)戦争というのは始まってしまえば当初の敵対問題、目的、大義は見失われて、したがって休戦、停戦の意義は意味を持たなくなり双方の攻撃、破壊が繰り返されるという宿命がある。だから戦争はやってはならない、始めてはならないというもうひとつの「戦争の論理」だが、ウクライナ戦争は3年が経過した。
(6)露の北朝鮮軍の参戦も米のウクライナの露領内攻撃許可も「戦争の論理」からすれば援軍効果としてあり得ることであり、しかし行き着く先のプーチン大統領が示唆する核攻撃まで行き着くとすればもちろんプーチン大統領自身さえ、誰も世界もその責任を取ることができない「戦争の論理」であり、あってはならない、やってはならない「戦争の論理」(logic of war)であるが誰もどの国も世界も止めることができないでいる。
(7)核兵器使用禁止は唯一の戦争被爆国日本に課せられた重い「責任」であるが、政府はあれこれ理由を付けて米国など核大国に追随して責務を果たさずに、パラドックス(paradox)としての日本の被ばく団体へのノーベル平和賞の授与だ。
トランプ次期大統領は来年1月就任までにウクライナ戦争を終わらせると述べており、こちらは期待するしかないが。