(1)トランプ前大統領が再選復帰し、衆院選で国民民主が躍進し、兵庫県知事(辞職後)が再選された今、起きている政治現象は「SNS」デバイスが介在、活用しての共通点がある。それぞれが選挙でSNSを経由、駆使して特に若者の心、気持ちをつかみ自らの支持、支援の大きな力に変えた。
(2)もうひとつ共通するのは、個人的資質問題、行動批判を受けて刑事裁判を抱え(トランプ次期大統領)、躍進後先になるがこちらも個人的資質問題が発覚し謝罪に追い込まれ(玉木国民民主代表)、さらにパワハラ横行、何でもおねだりで社会的批判を受ける(斉藤兵庫県知事)というそれぞれにお騒がせ、問題政治家だということだ。
(3)その根底に流れるのは小市民的国民階級意識(the petite bourgeoisie)だ。自分の生活さえよければそれでいいという合理主義、実務主義、結果主義だ。結果さえよければそれはどんな人、誰がやろうと問題にしないという自己主義、個人主義だ。それは社会現象からみれば定石で、原則論であり基本論でもある。
(4)政治は結果だと言ったのは、確か最近では結果責任をとっての退任に際しての岸田前首相だったと思うが、どんな経歴のものでも結果を残すことで多くの支持を集めた最近の世の中の流れ、動きをあらわす事例が続いた。
世の中、小市民的国民階級意識と書いたが、その流れ、社会の中の「若者」の心、気持ちをつかむ、動かす手法は共通して煽動的であり、SNSデバイスは情報化時代の先端を行くものだ。
(5)ただし、政治は結果だというとおりトランプ次期大統領は米国第一、保護主義でそれまで巨大な米国経済力の恩恵を受けられなかったマイノリティ国民層に光を当て、世界企業の米国投資を増進させ、玉木代表は手取りを増やすとして「103万円の壁」の見直しを提案し、斎藤知事は県立大の無償化など改革に取り組む姿勢を目指すなど結果が支持されたものだ。
(6)それは世界的に進む現在、現状否定観が浸透したもので、旧態然とした既得権益主義をただ守るのか、政治、社会改革を進めるのかの判断、選択の問題であり、それは自分の生活がよければそれでいいという小市民的国民階級意識が反映した現代的社会思想でもある。
この社会的流れ、動きはSNSデバイスを介在、経由して主流となるだろうが、心、気持ちをつかまれ、動かされた「若者」が成長し、年を重ねるまで続くのかはまだわからない。
(7)たとえば純真な心、気持ちが利用されたと感じる時が来るのか、来ないのか、つまり合理主義、実務主義、結果主義の持続可能性(sustainability)については保障もなければ、真価を問われる時が必ずくるからだ。