(1)中国は人口14億人と広大な国土を有して、なお領域拡大に向けて国家意欲をみせている。日本とも尖閣領有権問題で連日のように中国艦船の領海侵入が続いて対立が深まっている。14億人の人口と広大な国土を国家が統治することが適当なのか、民主主義体制であれば共和国、連邦制でもなければ統治機能は働かず、自由、人権抑制による一党独裁国家でもなければ統治は不可能でそれでは国家統制で自由、人権の基本的人権が抑制されるので問題は大きい。
(2)ロシアは人口は1億4千万人で日本とはそうは変わらないがやはり広大な国土を有しながら艦船の軍事戦略拠点として隣国ウクライナのクリミア半島を強制編入して領土拡大をした。ロシアなどの前身ソ連邦は広大な国土、人口を連邦制で統治していたが、自由化の波の中でベルリンの壁崩壊に続いて連邦制が解体してそれぞれの独立国家体制となった。
(3)ウクライナもソ連邦から独立して国家体制が共産主義圏からEUに近い自由主義圏国家に移行して隣国ロシアとの確執が続いている。ロシアのクリミア半島強制編入から今度はウクライナ国境沿いにロシア軍10万人を集結してウクライナ侵攻の緊張が高まっている。
これに米国が警戒を強めてロシアとの対立が深まっている。米国はロシアの兵力撤退を求めて制裁強化をほのめかして、これにロシアは西側NATO軍事勢力拡大によりロシアに圧力、脅威となっていると反発、批判してNATO不拡大を求めて対立している。
(4)それぞれに相手陣営の脅威、圧力に対抗する手段だと主張してタマゴが先かニワトリが先かの終わりのない批判合戦だが、双方の軍事衝突の不安、懸念も高まっており緊張が続く。先の面談式の米露外相級会談ではロシアがNATO不拡大の確証を求めたのに対して米国が文書で回答するとしたが、その後米国はNATO不拡大は受け入れられない(報道)と回答したといわれて、これにプーチン大統領の出方が注目されている。
(5)米国は関係国との協議で2月にもロシア軍のウクライナ進攻があると警戒を強めており、バイデン大統領もすでに米軍のウクライナ増強を表明している。ロシアとしては元々ウクライナはソ連邦だったとして西側陣営につくことに反発しているのか、領土拡大のせめぎ合い、緊張が高まっている。
(6)中国、ロシアともに統治能力を超える広大な国土、人口を有してさらに領土、領域拡大を目指す意図は、習近平国家主席、プーチン大統領が国家指導者として誤った国威発揚、国力強化による米国に対抗できる強い、頼れる指導者として国民の信頼、信任、支持を確実なものとして政権基盤を盤石なものにしようという狙いがみえる。
(7)習近平主席、プーチン大統領ともにこれからも長期政権の指導者として意欲、布石を打っていることからもわかる。政治学上、地政学上、統治理論上、中国、ロシアの領土拡大主義はすでに統治不可能な広大な国土あるい人口を有してはとても現実的統治論とはいえずに、周辺国の戸惑い、理解不可能、警戒、不安、不信を巻き込んで空虚な対立(empty confrontation)を迎えている。