(1)国会には予算委員会も決算委員会もあるのだが、どうも予算内容、規模についてまじめに審議しているとは思えない。政府は来年度予算案を107兆6千億円として閣議決定した。当初予算が100兆円を超えるのは4年連続で、10年連続で過去最大の更新となる。
(2)予算は使う時、使う必要のある時には借金をしてでも使わなければならないが、使う必要のない時には使わなくてよい。20年度予算から補正も含めて20兆円も使わずに21年度に繰り越し(報道)となり、常態化した100兆円超予算が必要なのか、適正なのかは原資のほとんどが国民投資(税負担)を考えると国会で十分な検証、判断が必要だ。
(3)21年度はコロナ感染拡大対策で企業、事業者への経済支援、給付金対応が増えて特別な年だった。通常では考えられない、予測がむずかしい財政状況でやむを得ないところもあるが、それでも財務省官僚からはバラマキ予算との指摘もあり財政健全化に向けてカジを切らなければならない。
(4)4年連続の100兆円超予算と20年度から21年度への20兆円の繰り越しの財政事情、対策の関係がどうなのか、防衛費は装備の近代化、開発などで拡大を続けて一方で駐留米軍経費負担も増大しており、日本の国防、防衛政策の理念、体制との関係、整合性はどうなのか検証、分析が求められる。
(5)自民党税制調査会では来年度税制改革の柱として賃上げ企業への大幅な優遇税制(法人税の減額)を決めて、岸田政権の成長と分配の好循環に向けて税収を過去最高の65兆2千億円と見込んで借金となる新規国債発行額を減額する。
社会保障費は伸び続けて36兆円規模で、高令者医療負担も1割から2割に上げて本当に医療が必要な人には厳しい予算だ。
(6)社会保障費を一般会計から切り離して長いスパーンで現世代、将来、未来世代との公平、平等、均等負担で恩恵共同負担とすることができないか、抜本的な改革が必要だ。少子高令化社会が定着して将来的にも少子化が進み国民人口8千万人時代ともいわれて税収は国民投資(税負担)にかかる負担も大きくなることが予測される中で、財政健全化、プライマリー・バランスは早い実現が求められており、予算規模の拡大、膨張化は逆行するもので20兆円も次年度に繰り越す予算などあってはならない。
(7)もちろん財政健全化は予算規模だけの問題ではなく、国会改革、議員の大幅な報酬、定数の削減は進めなければならず、税金のムダづかいの行政改革も進めなければならない。
資本主義の後退がいわれる中で、岸田政権の新しい資本主義、成長と分配の好循環は求めらる理念、政策ではあるが厳しい経済環境にあり、経済、政策の本質(essence)を見極めなければならない。