(1)臨時国会での岸田首相の所信表明演説は、「経済、経済、経済」と連呼して何よりも経済に重点を置いて変化の流れを絶対に逃さない、つかみ取ると述べた。皮肉にもというか、だからというべきか、IMFは経済指標の目安となる23年の日本のGDPが独に抜かれて4位となるとの見通しを示した。
(2)近い将来には人口世界一で経済力も堅調なインドに抜かれてさらに下降するとみられている。GDPの下降にともない日本の発言力、存在感が低下するとみられている。
岸田内閣支持率が25%と低空、浮上せずに迎えた衆参2補選は自民の1勝1敗となり、1勝は接戦で1敗は大敗というこういう状況では自民も何とか持ちこたえたというべきか、しかしともに自民が議席を確保していた選挙区なだけに結果は国民の岸田政権、自民に厳しい審判と受け取れる。
(3)当初その選挙投票日前のために野党の要請で日程が遅れた岸田首相の所信表明演説は選挙応援の余韻が残るかのような国会での経済、経済、経済の連呼で減税に言及して、防衛費増額、異次元の少子化対策、子ども手当拡充のために増税を主張してきた岸田首相の変わり身には以前元経済官僚が結局は岸田首相は何もしないだろうという言葉が妙に現実味を帯びて聞こえる。
(4)岸田首相の政治姿勢をアドバルーン政治と書いたが、次々と起きる現実政治問題、課題にどれもこれも政策、対策は打ち上げるが実行性、財源は後回しで実現性が見えてこずに、折角就任当初に打ち上げた成長と分配の好循環も賃上げを物価高が上回り理論的に政策を順調に軌道に乗せていくつながりを自ら閉ざしていく矛盾だ。
(5)政策展望、戦略に欠けて、だから次から次へと目新しい政策は打ち出して目先を変えるだけの岸田政治に増税を打ち出して減税、賃上げを求めて実現し円安物価高に追われて、税収増を国民に還元するといいながら企業向け減税で、突如として補選対策として所得税減税を打ち出すというチグハグな政治が続く。
(6)そういう政治の中身のくり返しの中で、所信表明で経済、経済、経済を連呼してみても届かない場違いな感じがする。
GDPもこれまでの生産力、消費力でははかれない時代を迎えて情報力、DX(デジタル)、GX(グリーン)の評価が重要といわれて、この先端的分野でも日本の遅れは顕著だ。経済は重要だが、経済、経済、経済だけの時代でもない。