続きです。
次は一番難しい速秋津姫を考えて見ます。一番難しいと言いましたが、速秋津姫は記紀に登場します。イザナギ命・イザナミ命の娘としてです。
速秋津姫には夫がいます。速秋津彦命です。兄弟で夫婦ですから聖婚です。国津神です。夫婦であるなら同じ夫婦の手名稚命・足名稚命が浮かびます。
以前、「手長足長と八岐大蛇との共通点。そして猿田彦尊。」と題して書きましたが、手長足長、つまり手名稚命・足名稚命は同神ではないとか思うのです。共通点がありますので。
そして速秋津姫から直接??受け取った罪・穢れを気吹戸主は黄泉の国の速佐須良姫に向かって吹き飛ばす。
瀬織津姫は川の上流。速秋津姫は河口。そして気吹戸主は速秋津姫が飲み込んだ諸々の罪・穢れを確認し吹き飛ばす。つまり祓戸四神の中で速秋津姫と気吹戸主だけは接触しているのです。
この作業は三途の川の奪衣婆と懸衣爺の関係と似ています。そして奪衣婆は瀬織津姫だと言われている。だとしたら速秋津姫と瀬織津姫は同神なのか。
えー、これ、難しいですねぇー。どうなんでしょ。私は山津見神と綿津見神は山と海に別れているだけで同じ神だと考えていますが、川の上流と河口で名前が違うだけかも知れません。
でも手名稚命・足名稚命が速秋津姫・速秋津彦であるなら疑問点があります。手名稚命・足名稚命の親は大山祇神(大山津見神)。速秋津姫は大山祇神の姉なのです。つまり速秋津姫と手名稚命・足名稚命は伯母と姪・甥の関係です。これはどう考えれば良いのか判りません。これを信じていては回答は見つかりそうもありません。無視するしかないです。
速秋津姫の「秋津」とはトンボの意味です。そして日本の別名は「秋津島」。つまり日本列島はトンボの形に似ているから「秋津島」。だとしたら速秋津姫は「最初の日本の姫」と言う意味にも解釈出来ます。
そして「秋津」を名乗る女神がもう一人います。高木神の娘・タク幡千千姫。別名・萬幡豊秋津師比売です。大変美しい機織の女神と言われてます。そしてその夫は天照大神の息子・天忍穂耳命です。
天忍穂耳命は本来天照大神に命じられて日本に降臨する筈でした。しかし当時の日本には魑魅魍魎がウヨウヨ。こんなとこに降臨したくないと思い降臨の権利を息子のニニギ命に譲ったとしています。私は信じていませんけど。
私は天忍穂耳命の「忍」の字が気になります。刀と心で忍。心に刀を宿していた。つまり降臨の権利を息子のニニギ命に奪われたから「忍」なのではないか。天忍穂耳命とニニギ命は親子ではなく別の敵対していた勢力同士だったのではないでしょうか。
「忍」の字が付く神??がもう一人います。仲哀天皇の息子・忍熊皇子です。忍熊皇子は継母の神功皇后と武内宿彌の連合軍??に破れ滋賀県の瀬田川に身を投げて死んでいます。これで祟神天皇の血筋は途絶え、応神天皇の血脈に変わった。だからこそ忍熊皇子には「忍」の字が付くのではないかと思えるのです。
続く。