私、瀬織津姫を知った時、瀬織津姫は何らかの目的があって隠されたのではないかと思っていました。その考えは神道でも主流であると思います。
しかし鬼渡神として瀬織津姫を考えて来て想うのですが、もしかしたら違うのではないか。瀬織津姫として隠したのではないかとと想う様になっています。
誰が何の目的で瀬織津姫として本来の神を消したのか。それは時の権力者、そして現在の権力者に取って都合が悪いからなのは間違いないと思います。
それでは瀬織津姫は一体誰なのか。
瀬織津姫の名前が出てくるのは大祓詞で祓戸四神の中の一人として登場するだけです。記紀には出て来ない。これはどう言う事なのか。
祓戸四神は瀬織津姫、速秋津姫、気吹戸主、速佐須良姫。
川の流れの様に最上流の瀬織津姫が水戸神(河口神)である速秋津姫に罪??を渡し、その罪を気吹戸主が根の国に向かって吹き飛ばす。吹き飛ばされた罪を根の国の速佐須良姫が受け取り、流離って罪を消化するとされています。
ここでのキーポイントは先ず祓戸四神は全員、境界線に立っている事です。それは境界線の神・鬼渡神である事を示していると思います。
大祓詞では川の上流から河口、そして根の国である海底へ罪を流しています。これは「水の女」、「禊の女」と言われていた瀬織津姫のモデルとされる人間が、人の衣類を脱がし禊の手伝いをする事で人の罪を川の水に流し、その罪が海の底まで流離って消える事を表しているとも考えられます。
根の国を仏教の地獄で考える事も出来ます。
速秋津姫は速開都姫とも表記されます。速開都姫は河口だけでなく火口の神でもあるのです。火山にはお釜が有ります。地獄のお釜は火山のお釜から発案されたと考えて間違い有りません。つまり火山の火口の下は地獄なのです。そうなると地獄で待ち受けているのは速佐須良姫となるのでしょう。
祓戸四神は神道の神です。仏教から見れは異教の神です。しかし習合しなければ仏教は浸透しない。しかし異教の神だから落とした存在にしたい。そんな考えから地獄の閻魔様やお地蔵様とも習合した様に思われます。
ここで祓戸四神を神道の真髄で考えてみたいと思います。神道の神々は罪を犯します。その罪は人間の罪。人間が犯す罪。それを神が人間に代わって罪を犯すのです。それは人間の罪を神が肩代わりする事を意味します。故に神道の神々は祀るべき存在と言える。神が人間の為に苦難を舐めているのですから。それが神道の真髄と私は考えています。
続く。