ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

スティンガー ロバート・R・マキャモン

2009-09-10 17:00:00 | 
気に入らない。

なんでイルカばかりが優遇される。たしかにイルカは見た目が可愛い。私とて「わんぱくフリッパー」を観て育った世代だ。イルカの愛らしさは分る。

あるいは「海底少年マリン」に出てくるシロイルカのホワイティでもいいし、「海のトリトン」のルカーでもいい。たしかにイルカは人間の友達として愛すべき存在なのだろう。

しかし、現実のイルカは決して可愛いだけではない。鮫でさえ撃退する攻撃能力の持ち主であり、その高い知性ゆえに、人間同様虐める快感を知っている。小型のイルカを突っつきまわし、最後は殺してしまい、そのくせ食べることもない。娯楽として他のイルカをいたぶっていたのだと動物学者は報告している。

種としては、身体の大きさ以外にたいして差がないシャチが獰猛な鯨殺しとして怖れられるのに、イルカだけは可愛い動物として好まれるのも不思議だ。

ちなみに全てのシャチが鯨を殺すわけではない。一部のグループが鯨殺しに奔走する一方、鯨に関心を持たないシャチもいることが最近の研究で分ってきている。

イルカもシャチも肉食であり、普段は小型の魚や貝などを好んで食べる。身体が大きい分、シャチが大型の魚介を好むだけで、食生活に大差がない。でもシャチは怖れられイルカは愛される。まったくもって不思議である。

表題の作品は、ホラー作家であったマキャモンがホラー脱却宣言をした後に書いたSF作品だ。イルカ型の善良な宇宙人ダルフィンが地球に逃げてきたが、それを追いかけてきたのが凶暴なサソリ型の宇宙人。

遥かに進んだ技術をもつサソリ型宇宙人により町全体が封鎖され、ダルフィンを匿う人間と壮絶な戦いになる。この戦いの最中にいがみ合う町の若者たちの間に友情が芽生え、ロミオとジュリエットさながらのドラマが繰り広げられる。

面白いことは間違いない。上下巻二冊、あっという間に読みきれる。唯一気に入らないのがイルカ型。なぜにイルカ型なのだ。イルカでなければ、私としては絶対にお薦めだと断言したい。本当にそうしたかった・・・そのくらい面白い。

欧米人はイルカに甘い、甘すぎる!そんな訳でマイナス30ポイントじゃ。ギリギリ合格点だけどね。
コメント (4)
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