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ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

よ~く考えよう

2009-10-02 13:58:00 | 経済・金融・税制
確定申告をして税金を取り戻そう。

経済情報などを書いている雑誌に、ときおりこのような勇ましい特集記事が組まれていることがある。別にとりわけ難しいことを書いている訳ではない。

日頃、確定申告とは縁がない人でも、医療費が沢山かかったので確定申告をやって、税金の還付を受けたなんて話を聞くことはあると思う。これは医療費控除による還付申告であり、毎年何十万人もの人がこれで税金の還付を受けている。

これは医療費の中味(美容整形等は駄目)と、日付(所得税は暦年課税)さえ気をつければ簡単に出来る。ただし前提条件として、給与などから税金が天引きされていることが必要だ。既に納めてある税金があってこそ、還付は受けられる。税金を納めてもいないのに還付が受けられると思い込む人、毎年必ずいるようだ。

それはともかく、私が問題に思うのは、副業をやって申告をして還付を受けようとするケースだ。なかでもサラリーマンがワンルーム・マンションの賃貸経営を副業でやる場合だ。

仕組みは簡単だ。

 給与所得  500万円(源泉所得税 25万)のサラリーマンがワンルームマンションの賃貸経営を勧められ、購入して賃貸しをはじめたとしよう。4月から貸したので、今回は9ヶ月分の家賃収入(7万×9=63万円)としよう。

 不動産所得 収入     63万円
       必要経費  100万円
       差引    △37万円

この37万円の赤字と、給与所得の500万円を合算して税金を計算すると、当然に既に会社が天引きして納めた源泉所得税25万円の一部(数万円程度だと思う)が還付される。目出度し目出度し、である。

本当かい? よ~く考えてみよう。ワンルームマンションの経営が赤字だからこその還付だ。税金の還付(数万円程度)では補えないのは明白だ。要するに、全然儲かっていない。そもそも必要経費の100万円って何さ。

まず考えられるのは減価償却費だ。定額法で計算すると、概ね30~50万前後だ。後は固定資産税と金利ぐらいしかないはずだ。後は何だ?そもそも月に7万の収入で、こんなに必要経費が出るはずない。

巷で売られている雑誌などをいくら読んでも、この必要経費の部分があいまいなことには変わりない。ヒドイものになると、飲食費などのプライベートな支出を必要経費に持ち込んでいる。これは家事費といって、必要経費にはならないものだ。一番酷かった奴は、必要経費に銀行への返済金全額を入れていた。必要経費に落ちるのは利息だけで、元本部分の返済は負債の減少であって、必要経費ではない。支出ではあるけど税法上の必要経費ではないのだ。

私はサラリーマンの副業としての不動産賃貸経営には反対ではない。むしろ賛成だと言っていい。なぜなら、いい物件を上手に賃貸すれば儲かるからだ。これで資産を築き上げた人は少なくない。

そう、本来不動産賃貸経営は儲かる。もちろんリスクはある。空家が続けば収入0で、支出のみ続くし、家賃を滞納する借り手の対処は頭が痛い問題だ。部屋を汚す人も多いし、近隣とのトラブルも治めねばならない。それでも上手く軌道に乗れば余裕の或る暮らしが営める。

しかし、収支で赤字経営ならば話は別だ。多少税金が還ってきても財産は減るばかりで、副業としては失敗だと思う。はっきり言えば、儲かったのは不動産販売業者だけだ。

実を言うと、彼ら不動産販売業者もまるっきりウソを言った訳ではない。平成10年以前は建物の減価償却に定率法を選択できたので、最初の数年間は収支計算は黒字でも、減価償却費を入れれば赤字となる申告はよくあった。

しかし、税法が変り建物の減価償却が定額法に限定されて以降は、以前のような還付申告は大幅に減ったのが実情だ。繰り返すが、本来不動産賃貸は儲かるはずなのだ。だからむしろ所得が増えて納税が多くなるのが本来の不動産賃貸経営なのだ。

それが赤字になるってことは、不動産賃貸の相場が低迷している。あるいはその不動産の場所が不利で、安い賃料しか設定できないなどの要因が考えられる。いずれにせよ、良い投資とは言いがたい。多少の税金の還付では追いつかないよ。

お金は大事。よ~く考えて投資しましょうね。
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