ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

カンタン刑 式貴士

2009-10-08 09:30:00 | 
グロテスクな話は好きではない。

だから本来、ここで紹介したくはないのだが、万が一に手にとってしまった方のために書いておこう。

予め警告しておくと、気持ち悪い話が嫌いな方は絶対に読むべきではない。そのレベルは危険なほどである。なにせ表題の作品を読んだ後、私はしばらく丼ものを食べられなくなった。

誰が言ったか忘れたが、良識を捨てた筒井康隆との評は言いえて妙である。同じ内容で書いても、筒井康隆なら、ここまでえげつない内容にはしないと思う。そこには良識だけでなく、慎みとか、禁忌を尊ぶ知性が縛りをかける。

しかし、式貴士は敢えてその制約をぶっち切った。アウトロー作家とはよくぞ言ったものだ。実のところ、もう一つのペンネームである蘭光生のほうが有名かもしれない。団鬼六と並び称されるSM作家であり、官能小説家でもある。

だが、普通の小説を書くためのペンネーム、式貴士のほうがよっぽど性質が悪い。エロ小説ならば、自然と読者を選ぶ。しかし、このタイトルだと中味の予想がつかない。

それゆえ、知らずに読んだ私は、その余りの衝撃で気持ち悪くなった。今まで数多の本を読んできたが、実際に気持ち悪くなり、食欲が減退したのはこの「カンタン刑」だけだ。

本来、食いしん坊である私から、一時的とはいえ食欲を奪った罪深き作家。それが式貴士だ。下手に興味をもって読んでしまい、気持ち悪くなっても責任負いかねます。くれぐれも読まないように。まあ、古本屋でしか入手できないと思いますがね。
コメント (2)
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