視点を変えてみるのもいい。
ユーラシア大陸から見てみると、日本列島の存在は非常に鬱陶しい。アリューシャン列島から沖縄、台湾を結ぶラインの真ん中に居座り、しかも世界屈指の大国である日本が繁栄を誇っている。
大国という言葉に疑問を持つ日本人は少なくないだろう。しかし、一億を超える人口、高度な産業、莫大な金融資産、安定した社会を有する日本は、世界基準で測れば間違いなく大国である。
これは歴史的にも裏付けられている。大航海時代のスペイン、ポルトガルでさえ日本を植民地支配することは諦めた。精強な侍のいる戦国時代の日本は、新大陸の征服者をもってしても侵略を断念せざるえなかった。
産業革命により飛躍的に軍事力を高め、アジア、アフリカを次々と侵略したイギリス、フランスでさえ直接の侵略には及び腰であった。アジアへの侵略を強めていたロシアもまた同様であったが、かろうじてアリューシャン列島を支配下に置くことだけは成功した。これが後で意味をなす。
結局、日本を支配化に置くことは、太平洋戦争の勝者であるアメリカよってなされた。アメリカとの戦いで日本が弱体化していた時機を逃さず、長年の目的を達したのがロシアだ。それが北方四島の支配だ。
これにより、オホーツク海をほぼ完全にロシアの支配化に置くことに成功した。もっとも本音は北海道であったようだが、これはアメリカが許さなかった。
地球儀を眺めてみれば、よく分る。本来、日本列島はユーラシア大陸の対新大陸の前線基地たる性格を有するはずなのだ。海の向こう、太平洋を支配するアメリカに対する最前線基地として、最も有益なポジションにあるのが日本列島なのだ。
ユーラシア大陸の覇権国であるロシアが、どれほど忸怩たる思いで日本列島を睨んでいるか、少しは理解できるでしょう。ロシアにとって北方四島支配は、不完全であって、未だ本来の目的は果たしていないのは明らかです。
しかし、現実はまったく逆となっている。新大陸の覇者であるアメリカの対ユーラシア大陸戦略の最前線が日本列島に他ならない。ちなみにイングランドは、反対側の最前線としての性格を有するのは言うまでもない。
つまり現在、ロシアの支配下にある北方四島の問題は、この軍事的状況を理解せずして分るはずもない。日本固有の領土云々なんて議論なんざ、まったく意味のない。せいぜい、嫌がらせ程度のものに過ぎない。
おそらく、北方四島は実力行使以外の方法で日本に戻ることはないでしょう。いくら話し合いを求めても、まったく無駄。そんな暇があったら、北方四島を睨む軍事基地の建設でもすることです。
厚顔無恥なロシア人は、日本の外務大臣の笑顔や握手は無視できても、突きつけられた銃眼は無視しない。実力(軍事力)なき相手は、交渉する価値がない。これが国際政治の現実ですよ。