希望はなかったのだろうか。
3年ほど前から、私はあるオンラインゲームにはまっている。そのゲームのプレイヤーの一人の方の日記に驚いた。娘さんが急死したので、しばらくIN(ゲームに入ること)が出来ないとの。
直ぐに事情をある程度知っている方からの知らせで、娘さんが自殺したこと、新聞等のニュースに出ている事などが分かった。私はそのプレイヤーの方とは、まったく交流はなかった。ただ、かなりの高レベル者であるため、名前(ハンドルネーム)だけは知っていた。
報道によれば、12日午前10時半ごろ、さいたま市の中学校の校舎の下で、中学2年の女子生徒が唐黷トいるのが見つかり、死亡が確認されたとのこと。
女子生徒の遺書には、「いじめや家族間のトラブルではない。楽しいままで終わりたい」などと書いてあったということで、校舎から飛び降り自殺したとみられている。
正直絶句した。楽しいままで終わりたい・・・おいおいおい!!!
まだ14歳だろう。まだまだ楽しいこと、一杯あるぞと思うのだが、彼女には明るい未来は見えなかったのだろう。未来への夢や希望はどこへいったのだと思うが、彼女にはそんな展望はなかったのだろう。
哀し過ぎるではないか。
誰が言ったか忘れたが、子供には夢を見る時間がたくさん必要だ。厳しい現実を耐え抜いて、夢を実現する喜びを知る人間になって欲しい。だから、子供に夢を与えるのは、大人の義務だと。
親を責めるようなことはしたくなかったので、その方の日記には何もコメントを残さなかった。第一、親だけの責任とも思えなかったからだ。
今の日本は、子供たちに夢を与える社会であろうか。そのことは、漠然と私でさえ感じていた。一生懸命勉強して、いい学校に入り、いい会社に入れば幸せな人生が待っている。
そんな漠然とした人生の方程式が、既に崩れつつあることは、誰もが実感していると思う。高度成長時代は終わり、低成長ところか、徐々に衰退へと向かっている不安を感じているのが実情ではないか。
繰り返すが、これは親だけの問題ではない。日本政府の問題で済むことでもない。産業革命を基盤とした西洋近代文明全般に共通する問題である。ほぼ、全ての先進国が直面している問題である。
西洋近代文明は科学の発展により強烈なスタートを切った。科学こそが、文明発展のエンジンであった。その科学が停滞しているが故に、新しい展望が開けずにいるのが、今の世界である。
イスラムにおける反西洋主義や、宗教回帰、世界各地での民族主義の勃興は、自国優先主義であり、あろうことか資本主義の総本山ともいうべきアメリカにおいてさえ、グローバリズムを否定する大統領が生まれる始末である。
誰だって幸せになりたい。まだ14歳の子供に、未来への夢を抱かせない社会は、どこかおかしいと思う。現状を肯定して、自らを守ろうとする官僚的思考から離れて、未来への展望を夢見る社会を呈示できる政治が求められていると思います。