思いの外、面白かった。
例によって、まったく事前の知識なして観た映画である。元々、映画館に行く予定はなかったのだが、諸事情で3時間、待たねばならなくなったので、止む無く映画館に飛び込んだ次第である。
で、ャXターも観ずに、丁度上映時間が迫っていた表題の映画のチケットを買った。つまらなかったら眠るつもりであった。予備知識まったくなかったので、主人公が誰なのかさえ分からなかった。
だから、最初は経歴詐称が見つかってしまい、それをネタに難題を押し付けられたFBIの若手女性分析官がヒロインかと思ったほどだ。だが、話が進むに従って主人公が高機能自閉症の印象がある会計士の男性だと分かった。
税理士である私にとっては、わりと似たような仕事である。誤解されがちなので、一言説明しておくと、日本における公認会計士の仕事は、会社が作成した決算書が適正であるかどうかを調べることだ。それに対して税理士は、税務申告書を作成するのが仕事である。
ただ、ややこしいのは、両者の職域が多くのところで重複するからだ。つまり税務申告書を作成している公認会計士はかなりいる。また決算書を作成する仕事をするのは、公認会計士も税理士もかなりやっている。
明確な違いは、上場企業の決算書の監査は、公認会計士の独占業務であること。そして、税務署の調査立会いの仕事は、税理士の独占業務であることだろう。だから、公認会計士会と、税理士会の双方に加入している先生は、かなりの数に上る。会に入っていないと、仕事が出来ないのも共通点である。
ところで、映画の主人公は、会計士としてはかなり異色である。アメリカの地方都市の小規模な事務所を経営しているのだが、なぜだか犯罪組織の会計監査をやっている。つまり、犯罪組織内部での金にまつわる不正を暴く仕事をやっている。
非常に危ない仕事であることは、想像に難くない。また会計士として、相当に優秀でないと務まらないことも分かる。でも、それだけだと、犯罪組織の監査を続けていられることの説明にはならない。
映画の上映が始まって当初、私は金融サスペンスなのかと思っていた。ところが、これがとんでもないアクション映画であった。まァ、主人公を演じるのが、あのマッチョなベン・アフレックなので、むしろ金融サスペンスで終わったら、そのほうが違和感があったかもしれない。
あんな筋骨隆々で戦闘能力に長けた会計士なんていないぞと、呟きながらも非常に満足して映画館を立ち去ったことは確かである。予備知識なしで、飛び込みで観た映画なのだが、これほど楽しかったとは望外な喜びである。
あまり宣伝されてないようですが、機会がありましたら是非どうぞ。