年をとるって、こうゆうことなのか?
エスカレーターで悩んでしまった。ゴジラで有名な新宿の映画館は3階にある。だから、エスカレーターがけっこう長い。日曜夜の最終上演に間に合いそうなので、映画館に駆け込んだ。
ふと上を見上げると、ミニスカートに生足が見える。いや、それどころじゃない、明らかに下着まで見えている。
ここは新宿歌舞伎町。下着がギリギリ見えるようなきわどいファッションを身にまとった女性は、そう珍しいものではない。が、なんか違和感がある。
下着がのぞけるようなファッションを好む女性は、見られても恥ずかしくないカラフルな下着を身に付ける。私からすると、見られることを期待しているかのようにも思える。
まァ、実際には見て欲しい相手を限定しているはずで、見知らぬオジサンなんぞに見られても、嬉しくはあるまい。実際、見られることを前提にした下着は、お洒落で高額なものが多いように思う。
ミニスカをお店で仕事着としている女性方の確定申告を、幾人もやっているので、見せることを前提にした下着の値段を知った時は驚いたものだ。面積が少ない癖に、値段が高いのは何故だろうと悩んだものだ。
ところが、件のミニスカートの女性だが、どうも素人くさい。いや、下着も見られることを前提にしたものではあるまい。チラッと見ただけだが、どうも木綿の健全な下着にしか思えなかった。服装だって、いささかドンくさいように思う。
女性は引くだろうが、実のところ男って奴は、ファッショナブルなお洒落下着よりも、単純素朴な下着にエロ心を刺激されることは多い。なので、今回も素晴らしい機会ということで、私は興奮してもおかしくないはず・・・
全然、その気になれない。後ろ姿なので、容姿は不明だが、気になったのは覗ける下着よりも、躍動感を感じさせないその足だった。なんというか、細すぎることはなく、また太っている訳でもない。
ただ、筋肉が感じられない。まるで棒のような無機質な感じで、マネキンだと云われれば信じてしまいそうな感じなのだ。私は若い時は、運動部育ちなので、どうも、この手の鍛えられていない手足が好きではない。
いや、別に筋肉マッチョが好きな訳ではない。だが、締まりのない肉質もあまりそそられないのも事実である。
書くと長いが、実際には5秒程度の観察であり、すぐに痴漢行為だと気が付いたので、視線をそらした。下を向きながら、改めて自分が全然、興奮していないことに気が付き、そのことに愕然とした。
あたしゃ、男として失格ではないのか?
恥じらいもなく堂々と云わせてもらえば、私は人並みにスケベだ。その点には自信がある・・・あるよな。いや、どうなのだろう。
日常生活のなかで、偶然見えてしまった素人女性の下着なんて、男として興奮するには絶好の機会だと思う。そりゃ、銀座や赤坂あたりのプロの女性たちが見せつけてくる、見えそうで見えない生殺しの色っぽい姿の魅力を否定する気はない。
それでも、作為的なお色気よりも、無意識あるいは無自覚なお色気のほうが魅惑的なのも事実なのだ。でも、今回はまるで興奮しなかった。むしろ味気なさを感じてしまったほどだ。
若い頃の自分は、もっと単純にスケベを楽しめたのだが、年をとると枯れてくるらしい。感性が鈍くなっているのだろうかと悩んでしまいましたよ。