ユーラシア大陸の東端にあるのが日本列島であり、西端にあるのがブリテン諸島である。
この両国、実はけっこう似たような歴史をもっている。大陸からの強い影響を受けつつ、独自の文化を育んだ日本とイギリス。もちろん、違いも大きい。
特にブリテン島は古来より多くの侵略を受け、支配する国家もケルト系、ノルマン系、サクソン系、オランダ系と多彩である。そのせいで、英語、すなわちEnglishは、混成語であり、おかげさまで、日本人は英語の習得にえらく苦労する。
年代により、使用される言語が違うせいか、古代の歴史も虚実入り混じり、史実として未確定のものが多い。その代表ともいえるのが、アーサー王と円卓の騎士の物語であろう。
子供の頃から、世界の童話、伝説、寓話などを読み漁ってきた私だが、正直アーサー王の話だけは種類が多過ぎて、イメージがつかみづらいと思っている。
大雑把なイメージだが、ブリテン島の王家の子供ではあったが、権力争いに敗れた親のせいで荒野に放り出されたアーサーが、仲間を作って王座を奪還した。しかし、親友と妻に裏切られ、悲劇の生涯を閉じた英雄。そんな感じで捉えている。
異説というか、異なる物語のアーサー王伝説もあるが、国内では裏切りと内乱、外国からは絶えざる侵略を受けてきたブリテン島の伝説としてはやむを得ないのであろう。
表題の映画は、アーサー王の伝説の前半をクローズアップしたものであり、悲劇の後半は描かれていない。私としては、そこが良かった。親友と妻の裏切りの話なんて、わざわざ描いても楽しくない。
娯楽映画としては、アーサー王の前半だけで十分だと思う。強いていえば、キリスト教が森を刈り払う前のブリテン島なので、もう少し森の濃さを強調してくれると、よりリアルだったと思う。
日本では、なぜかアーサー王と円卓の騎士の物語は、あまり知られていないので、良い機会なので鑑賞してみてもイイと思います。でも、続編は作らないで欲しいな。