ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

キリングバイツ 原作・村田真哉 作画・隅田かずあさ

2018-04-18 12:12:00 | 

一番強い肉食動物は?

普通に考えたらライオン(雄)か虎であろう。どちらが強いのかは、生息地域が異なる上に、生態が異なるので一概には言えない。かつてローマ帝国で、あのコロッセアムにおいてライオン対トラの試合をやらせたことがあった。

かなり大雑把な記録なので、信頼性はイマイチだが、概ねトラのほうが優勢であったらしい。理由はトラのほうが少し大型であり、また攻撃の際に両前足で攻撃するのに対して、ライオンは片手での攻撃が多く、その結果傷の多さからライオンが引いてしまい、トラの優勢勝ちと判断されたようだ。

ちなみに、ローマ人がいくら工夫しても、最後まで殺しあうことは稀であったらしい。ライオンもトラも人間ほど殺戮衝動はないらしい。

トラ優勢としたが、噛み付き合いになった場合は、ライオンの優勢勝ちになることはよくあったらしい。両者とも相手を殺す時は首筋に牙を突きたてる方法をとるようだが、ご存じのとおりライオンの雄にはタテガミがある。

このタテガミがあるがゆえに、トラがいくら噛みついても致命傷にはならず、逆にライオンがトラの首筋に噛みつくと効果抜群で、トラが逃げ出す結果になる。あの長いタテガミは伊達ではないようだ。

ところで、そのライオンでも噛み切れない小動物がいる。それがラーテルである。日本語では蜜熊と書かれたことがあるとおり、蜂蜜が大好きなイタチ科の動物である。このラーテルの特徴は、毛皮がぶかぶかで、ライオンが噛んでも致命傷とはならず、毒蛇が噛んでも内側まで毒牙が届かない。

体重20キロに満たない小動物なのだが、その気の強さは動物界でも北米のグズリと並ぶ横綱クラス。相手がライオンでも、アフリカ水牛でも決して引かない。コブラやブラックバイソンのような毒蛇にも引かず、むしろ逆襲して殺してしまう。

ちなみに弱点は顔とお腹で、転がされて腹部を攻撃されるとライオンなどにやられてしまうこともある。でも、ほどんどの場合、辟易したライオンが引いてしまう。気の強いアフリカ水牛も嫌がるほどに、執拗に戦い続ける狂戦士でもある。

そのラーテルの特性を人間に活用し、獣人として活躍させたのが表題の作品である。原作者の村田真哉は、今私が注目している漫画原作者であり、かれが人気作の「アラクニド」「キャタピラー」の連載を強引に終わらせたのも、この作品に集中したかったからだと云われている。

私の想像だけど、原作者の村田真哉は子供の頃、仮面ライダーに夢中であったと思う。バッタの能力を活かした仮面ライダーの敵は改造人間である。蜘蛛男やトカゲ男など不気味な造形は敵役として素晴らしく、私なんぞは主人公よりも敵役の怪人たちに夢中であった。

そのうちに、物足りなく感じた私は小学生の頃、大学ノート一冊にまるまる私が勝手に考えた怪人の姿を描いていたほどに、私はこの怪人たちに惹かれていた。今となっては、どこにあるのか、あるいは捨ててしまったのか不明だが、仲の良い友達には非常に評判の良かった怪人ノートであった。

昆虫や動物の能力を活かした改造人間というアイディアの元祖は、この仮面ライダーの作者石ノ森章太郎である。そして、村田真哉は以前、ここでも紹介した「キャタピラー」ではその石ノ森章太郎をモデルとした人物を、主人公の師匠として登場させている。それどころか、あの手塚まで・・・

ネタバレは嫌なので、これ以上は書かないけど、間違いなく村田真哉の脳裏には、仮面ライダーがくっきりと刻まれていると思う。そして私も大好きであった。だからこそ、彼の原作漫画には惹かれてしまう。

読み手を選ぶ漫画だとは思いますが、機会があったら是非どうぞ。

コメント
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