中学生の頃だが、土曜日の深夜、ラジオ関東では「ビルボード・トップ40」という番組をやっていた。DJは湯川れい子である。洋楽にはまっていた私は、勉強と称して深夜ラジオに夢中であった。この番組では、TOP1となった曲を、湯川れい子さんが翻訳して朗読してくれた。私はこれを楽しみにしていた。ラジカセで録音して、翌日書き写していたのも、懐かしい思い出である。いろいろと印象的な曲はあるが、当時一番の衝撃であったのが、イギリスのロックバンドであるフリートウッドマックのヒット曲、ルーモアズ(噂)であった。スティービィ・ニックスのハスキーボイスが好きで、よく聴いていた曲なのだが、その歌詞の和訳を聴いた時は、背筋に電流が走ったかのような驚きを感じた。「雷が鳴るのは雨が降る時にだけ」thunder only happens when it's raining、このフレーズに痺れてしまった。そうさ、そうなんだ。雷鳴の轟に囚われていても、それが雨のなかでしか轟かないことことを忘れがちだ。当時、ある少女に振られたことが脳裏から離れず、思い出のなかの柔らかい笑顔しか思い出せないことに苦しんでいた。忘れたくとも忘れられない苦しみにもがいていた。でも、この歌詞を知って気がついた。雨はいつか止むし、雷鳴も轟かない。雨があったからこそ、雷鳴は轟く。思い出は、思い出のままでいい。無理に消す必要なんてない。それよりも、今の自分に必要なことは何か、そのほうが大事だと気付かされた。その夜は、自分でも驚くほど熟睡できた。そして翌朝は、心地よいほどに速やかに、健やかに目が覚めた。ほんの小さなことで人は傷つき、ほんの小さなことで人は立ち直るのだと知った。Now here you go againYou say you want your freedomWell, who am I to keep you down?It's only right that you shouldPlay the way you feel itほら、また始まった自由が欲しいなんて言ってるそれは私が邪魔してるってこと?あなたが感じるままに演奏するのは間違ってないわBut listen carefully to the soundOf your lonelinessLike a heartbeat drives you madIn the stillness of rememberingWhat you hadAnd what you lostAnd what you hadAnd what you lostでもそのサウンドをよく聴いてみてあなたの孤独の響きよ胸の鼓動があなたを狂わせるように静けの中で思い出しているのあなたが持っていたもの失ったもの持っていたもの失ったものOh, thunder only happens when it's rainingPlayers only love you when they're playingSay, women they will come and they will goWhen the rain washes you clean, you'll knowYou'll know雷が鳴るのは雨が降る時にだけで皆が演奏する時はあなたの事が好きなのと同じよそうよ、女は近づいてはやがて去っていくのよ雨があなたを綺麗に洗い流す時に。解るわよきっとNow here I go again, I see, the crystal visionsI keep my visions to myselfIt's only meWho wants to wrap around your dreams andHave you any dreams you'd like to sell?Dreams of lonelinessLike a heartbeat drives you madIn the stillness of rememberingWhat you hadAnd what you lostWhat you hadOoh, what you lostほら、またはっきり解るわ私の未来は自分で守るの私だけのものだから誰があなたの夢に罠を仕鰍ッるって言うの売りたい夢はあるのかしら?胸の鼓動があなたを狂わせるような孤独な夢静寂の中で思い出しているのあなたが持っていたもの失ったものかつて持っていたものああ、失ってしまったものThunder only happens when it's rainingPlayers only love you when they're playingWomen, they will come and they will goWhen the rain washes you clean, you'll know雷が鳴るのは雨が降る時にだけよ皆が演奏する時は貴方が好きなのと同じ女は近づいてはやがて去っていくのよ雨があなたを綺麗に洗い流す時に解るわよきっとねあれから30年以上たって、驚いたことがある。この曲を作り、アルバム収録をしていた頃、フリートウッドマックのメンバーは、この曲さながらに、カップルとして別れる、別れないで揉めていたそうだ。まさに本音の曲だったのだと思い知った。そりゃ、心に響くはずだよ・・・事実は小説よりも奇なりとは、良く言ったものだと思います。
ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!
フォロー中フォローするフォローする