ライトノベルの世界は玉石混合。
今回紹介する作品は、当初は「石」かと思っていた。ところが案に相違して面白かった。
石かと思ったのは、そのタイトルからして異世界転生ものであり、時流に乗っただけの作品かと思ったからだ。実際、出だしはたいした作品とは思えなかった。だから一巻を読んだ後、放置していた。
ところが、たまたまブックオフで漫画の立ち読みをしていたら、表題の作品の漫画化されたものを見つけた。立ち読みではあるが、意外なほど面白かった。あっという間に原作の一巻目を超えて読み続けてしまった。
こりゃ、原作をもう一度読んでおく必要があると判じて、立ち読みを止めた。やっぱり私としては、まず第一に原作こそが評価の基準である。なのだけど、この作品、漫画のほうが面白くないか?
いや、主人公の蜘蛛の表情の描写が面白い。こればっかりは小説では無理だ。原作の小説のほうが、ずっと凝った構成なのだが、シンプル化された漫画絵の魅力が心地よい。
まだ十分に評価できるほど読んでいないのですけど、ちょっと興味が湧いたので、もう少し読み続けてみようと思います。
異生物に転生するラノベには、スライムの奴が有名なのですが、これもけっこう楽しい。他にもベヒーモスの幼体に転生した漫画もあり、どうやら最近の流行らしい。
ラノベもそうなのだけど、十代の頃には、なぜだが現状から乖離して世の中を生きてみたい妙な欲望が生じることがある。実際、私が十代前半の頃に読んでいたSF小説の多くが、異世界での冒険を楽しむものだった。
良識ある大人は「現実逃避」だと冷静に批判するのでしょうけど、私はかつてその現実逃避に心癒された子供であったので、この手の作品を楽しめるのです。その分、純文学から遠ざかったのも事実なのですけどね。