最近の私のお気に入りはタコ。
もっとも味の良く値段も高い国産のタコではなく、アフリカのモーリタニア産のタコである。欧米ではスペインなど海沿いの国を除けば、タコは悪魔の手先として食べられることはない。
それはアフリカでも同様で、誰もタコに見向きもしなかった。アフリカの北西部に位置するモーリタニア沖は、寒流と暖流がぶつかる好漁場ではあるが、長年の戦乱で漁業が衰退しており、沿岸で細々と魚を獲るのが精一杯であった。
そこへ日本からJICAを通じて派遣された中村正明という一人の青年が現れ、モーリタニア沖がタコの漁場として有望であることに気が付き、現地の人々を説得してタコを獲らせ、日本に輸出する道を拓いた。
足かけ7年に及ぶ根気強い説得と指導、公務員の3倍近くになる収入が人々を惹きつけ、現在日本が輸入するタコの4割はモーリタニア産である。もちろん瀬戸内の明石のタコの旨さを否定する気はないが、このモーリタニア産のタコもなかなかイケる。
基本はタコワサなのだが、最近はキムチと和えて大葉を刻み、ごま油を少したらしたタコキムチもお気に入り。匂いを気にしなくていい週末は、一口大に切ったタコとジャガイモをオリーブオイルで煮込んだアヒージョも頂く。まぁ大蒜は控えめに使っているが、それでも翌日まで匂うはずなので、土曜の夜限定である。
多分、新型コロナ禍による自宅待機がこれほど長引かなかったら覚えなかったレシピではある。まぁ、美味しければ全て良しとしましょう。