今後、大きく進捗することが予想されるのが人工知能である。
コンピューターが発達してくれば、必然的に人間の知能に基づいた能力を補佐し、拡張する機能が期待される人工知能に行き着くことは必然だ。
表題の作品は、昭和40年代に放送された実写版ロボットもので、少し前に驚異的人気を誇った「鉄人28号」の後釜であった。原作者は同じく横山光輝ではあるが、実は絵コンテと大筋だけで実際の作画は当初小澤さとしが描いていた。
しかし、目指す方向がちがったせいで小澤がやる気をなくし、その後はアシスタント等複数名が原作漫画を描いた。多忙を極めた横山が、この作品に戻るのは後半からであり、そのせいで当初とだいぶ絵柄が変わっている。
そのような経緯があるせいか、私としては原作の漫画よりもTV版のほうが良い印象を持っている。
ところで、このジャイアント・ロボは本来、地球征服を狙うBF団の秘密兵器であり、人工知能により動く最新鋭の兵器であった。しかし、主人公の大作少年が最初に声を吹き込んでしまったため、以降は大作少年の指示にしか従わず、BF団と戦う正義のロボットとして活躍する。
そして最終回、遂にBF団のボスである謎の宇宙人ギロチン帝王が登場する。彼は全身が核物質で出来ており、攻撃を受ければ地球くらい吹き飛ばしてしまう破壊力がある生きた爆弾であった。
戸惑う大作少年であったが、その時ジャイアント・ロボが勝手に動き出した。彼の人工知能は経験値を積み、ある程度自分で判断して動けるようになっていた。そして、ロボはギロチン帝王を羽交い絞めにして空へ飛びだした。
大作少年はロボの意図に気が付いて止めようと指示を出すが、それをロボは拒否して、そのまま宇宙空間まで飛行し、最後は小惑星に衝突してギロチン帝王と共に消滅する。
尊い犠牲により地球の平和は守られたとしてエンディングを迎える。これがTV版のジャイアント・ロボであった。
この番組を視ていたのは、小学生低学年の頃だったが、エンディングの衝撃度は「タイガーマスク」に匹敵するものであったと記憶している。
鉄人28号は操縦機を持つ者次第で、正義のロボットにもなれば、破壊の使者ともなりうる。これは、これで納得できる。しかしジャイアント・ロボは違う。その人工知能により自ら判断して、最後は正義の殉教者として散っていく。
まだSF小説を読んでいなかった私にとって、機械が人間の指示に従わないことが衝撃であった。本来、人間のために作られた機械の反乱、それがジャイアント・ロボの場合は人間の役に立つ方向で進んだ。
ギロチン帝王を唐オた喜びと、ジャイアント・ロボを失った喪失感と同時に、機械が人間の指示に従わないことへの不安を感じさせた不思議な番組でした。
そのせいか、どうかは分かりませんが、鉄人28号ほどは人気がなかった気がします。