自画自賛もほどほどに。
最近ネット上で日本の潜水艦を世界最強などと讃えている動画などを散見するが、いい加減にしてほしい。
たしかにリチウム電池を搭載させた基準排水量2800トンの最新型の「たいげい」は世界屈指の性能であることは認めても良い。しかし、日本の潜水艦は、基本対ロシア、対シナ監視用であり、またアメリカ軍の空母艦隊を護衛を補助する役割を担っている。
その役割から判断すれば、たしかに高性能だとは思う。でも原子力空母を中心としたアメリカ第七艦隊を護衛する役割は限定的だ。冷静に考えれば、高出力で高速な原子力空母とその護衛艦隊に追随するには、いささか性能不足である。
ただしロシアやシナの潜水艦を待ち伏せし、監視して威圧する役割程度ならば十分果たしている。アメリカ軍にとって欠かせない補助戦力であると思う。
そうなのだ。あくまで補助戦力である。別に卑下している訳ではない。通常型動力の潜水艦としては十分すぎる高性能だと思う。でも世界最強の攻撃型潜水艦シーウルフ級を保有するアメリカ海軍の後塵を拝するのも事実だ。
日本海軍が「そうりゅう」型に採用していたスターリングエンジン搭載を諦め、リチウム電池搭載を目指したのは、シーウルフ級との演習に完敗したからだ。大量に電気を消耗する海中探索能力において、原子力発電を用いるシーウルフ級の探査能力で劣ったことが判明したが故に、より高性能な蓄電が出来るリチウム電池の採用に踏み切ったのが実情である。
発火性が高く、潜水艦に搭載するには危険すぎると云われていたリチウム電池の性能改良した努力と、その技術力は凄いと思う。しかし、それでも原子力発電には及ばないはずだ。
これが日本の潜水艦の限界である。広島・長崎の原爆投下以来、日本国民に染み込んだ原子力拒否病は未だ治らず、化石燃料燃焼型のエネルギー資源が枯渇される予想がされる21世紀においてもなお、原子力発電を否定している愚民国家です。
一応、書いておくと、私は現在の技術水準の原子力発電にはいささか否定的です。自力で処理できない放射能廃棄物を出す原発は、技術的に未熟だと思うからです。だからこそ、なおのこと原子力の研究開発は推進されるべきですが、原子力アレルギーがそれを許さない。
断言しますけど、日本の潜水艦は決して世界一ではありません。
しかし、潜水艦は軍事用としても、また未来の資源採取用としても必要な存在です。日本は海底資源に恵まれた国ですが、深海から経済的に見合った資源採掘能力は未だ持ち得ていません。
民間企業が乗り出すには、まだまだ未知の分野なのです。だからこそ多額の税金を投入しての潜水艦建造技術の確保は必要不可欠。未来の日本を支えるのは、潜水艦である可能性は非常に高いと思いますよ。