儲かりまっせ!
コロナ禍で不況に喘ぐ人たちが多い中、軍需産業だけは好況に沸いている。もちろん、その原因はロシアによるウクライナ侵攻である。
云うまでもなく、ウクライナは旧ソ連である。当然に軍隊の兵器はソ連製である。既にロシア側を去り、西側へ移ったポーランド、バルト三国などは大喜びで旧式化したソ連製兵器をウクライナへ引き渡す。これで倉庫に空きが出来た。
そこへ西側の武器商人がやってきて、いささか旧式ながらも高性能で信頼性の高い西側兵器を売りつける。武器商人は在庫一掃でがっぽりと儲ける。また晴れて西側の国として武器体系を揃えることが出来たポーランドなどは、今後もより一層西側兵器へ傾倒していく。武器商人ホクホク顔である。
喜んでいるのはドイツやアメリカなど武器輸出で稼ぐ国である。本来、旧ソ連の兵器体系から西側への兵器体系へ移管するには、相当な困難が伴う。なにしろ操作法から補給方法、修理方法までトレーニングしなければならない。武器の種類にもよるが数か月かかることもある。
だから旧ソ連製兵器から西側兵器への移管は、ほとんどの国が面倒くさがる。しかし、ウクライナへの緊急援助という形で在庫一掃したため、嫌が応にも新型の西側兵器への移管を進められる。
なにしろ小国ウクライナに対して、ロシアの悪戦苦闘ぶりは旧ソ連製兵器への信頼を大きく損なった。これを機に西側兵器へ武器体系を変える大手術に踏み切る国は複数に上る。だから武器商人たちは大忙しだ。
でも笑うものがいれば泣くものもある。アメリカと揉めてロシア製の武器を購入したトルコやインドは歯噛みしているだろう。また旧ソ連製兵器を輸入して、コピーして国産化してきたシナなどは、地団駄踏んでいること請け合いである。
またロシアがウクライナへ侵攻したことで、ウクライナが隠し持っていたミサイルやロケットを密輸していた北コリアなどは、予定が狂ってしまっただろう。なによりウクライナの核兵器やロケットの専門家を呼べなくなり、深刻に弱っていると思われる。今や虚勢を張るのに必死である。
その一方、捕らぬ狸の皮算用をしてほくそ笑んでいるのが南コリアである。ウクライナ危機に乗じて国産兵器を輸出しようと意気込んでいる。たしかに南コリアの兵器は安いが、故障を頻発するせいか、未だ一件も注文がない。わざわざ南コリア政府の高官が訪れてセールスを展開しているのだが、どうも芳しくない。この国、合法違法を問わずコピーして国産兵器だァと騒ぐが、形だけ作って満足し、欠陥を直す努力をしないので、いい加減そのあたりの駄目さ加減が世界に知られつつあることは無視なようだ。
一方、東部を奪われつつあるウクライナも、なかなか狡猾である。憐れな被害者を装うが、この国、北コリアに核兵器を流出させるほどに節操がない。援助してくれるのならば、いくらでも卑屈な事をしかねない危うさがあることは覚えておいた方が良い。
私の本音を言うのならば、遠くのウクライナよりも日本と国境を接するロシアにこそ恩を売っておくべきだと思う。ただ、アメリカの目線があるので、安易にロシアの味方面は出来ない。いつになるかは不明だが戦況が終盤になったら、ロシアとは国家としては冷徹に距離を置く一方で、民間レベルでは援助することも考えたほうが良い。
ただし、極めて乱暴な国なので、サハリン2のように一方的に奪われる危険性は高い。その一方で、ロシアは民間レベルでは意外なほどに親日的傾向が強い。経済援助は控えても、人道支援は準備しておいたほうが、21世紀の日本の安全保障に役立つと思いますよ。