ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

学校に行かずとも

2022-09-09 12:22:38 | 社会・政治・一般

ゆたぽん絡みの話題をもう少し続ける。

このゆたぽんという少年は学校に行ってないそうだ。それだけで批判的な思いに駆られる方もいると思う。しかし、実は少数ではあるが、以前から一定数、学校に行かない子供たちは実在する。

いじめなどで不登校になる子供のことではない。特殊な職業に就く人たちのことだ。具体的には芸能界、そのなかでも全国を興行して廻る旅芸人の人たちである。

年配の方ならご存知かもしれないが、温泉旅館や健康ランド、演芸場などで芝居や歌を披露する大衆演劇の劇団がその典型である。この人たちは、ワンクール一か月で各地を回る。

もちろん定住地に妻子などを残して興行に赴く人もいるが、逆に妻子を連れての興行をする旅芸人も多い。この妻子も劇などに出演したり、あるいは裏方として仕事をするのが通例である。

ただ、義務教育期間の子供を連れている場合、学校に行かせない訳にはいかない。なにせ役所がけっこううるさいからだ。しかし、子供が劇に登場すると、観客特に高齢のお客さんからの受けが良い。

はっきり言えば、可愛い子役が登場する劇団だと、おひねりの額が一桁違ってくる。しかし、子役に劇中の台詞回しや、立ち回りを仕込むのには時間がかかる。そして多くの場合、学校には行かせずに芝居の稽古に子供を出させる。

また子供たち自身も、一月毎に転校を繰り返すため、学校に馴染めないケースが多い。結果的に不登校となる。私はそのような子供たちを幾人も見ている。

最初は呆れたが、すぐに気が付いた。この子たち、礼儀作法はしっかりとしているし、読み書きもしっかり出来る。もちろん算盤勘定も一通りできる。ちなみに達筆な子が多く、私が赤面するほどに字が上手い。

学校にこそ行かないが、舞台の裏や、稽古場、荷物置き場の片隅で、大人たちからみっちりと読み書きそろばんを習っているが故である。それも、かなり必死に勉強している。

なぜかというと、その勉強が仕事につながる、つまり金になることを知っているからだ。おひねりを頂いた時のお礼の仕方、受け答えが上手ければ、その次の収入アップにつながることを見て知っている。熱心なファンに丁寧な手書きのお礼の手紙を書けば、それが次回の講演に結びつくことを学んでいる。

しかも、その先生役の役者さんや大道具の老人(かつては役者)たちが、その知識と技術で稼いでいる実績ある教師である。だから、劇団の子供たちは真剣に学ぶ。自分がこの先、生きていく世界での必要な技術であり知識なのだから当然であろう。

だから、彼等は学校に行かなくても立派に生きていける。そして努力を重ねたものが成功する社会である。その努力には容姿、歌唱力、演技力などがあり、残念ながら他の業界では活かされにくい。だから、余計に必死である。

正直、ちょっと世間一般の常識とはずれていることも多々ある。正直、転職は難しいと思うが、学校をさぼってオンラインゲームにはまっている子供よりもはるかに健全さを感じたのは確かだ。

ただし、この芸事の世界は努力だけではダメみたいで、才能とか運も必要だと思う。とてもじゃないが、人様に奨められる仕事ではない。そして、一般社会よりもダメな人もけっこう居る社会だとも思っている。

だから堕落する人もいるようだ。このあたり、私の職業上の守秘義務と係るので、これ以上は書けない。それでも、学校に行かずとも学びの機会を得て成功する人が実在することは確かである。

ところで、ゆたぽん君ってどうなのかねぇ・・・親がしっかりと生き方を学ばせていれば良いのですがね。

コメント (5)
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