ヌマンタの書斎

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高額医療補助の廃止

2022-09-21 11:01:29 | 健康・病気・薬・食事

財務省は弱い者いじめが大好き。

まだ世間的にはマイナーな話題だが、いざ直面したら泣き言を吐くしか対処の仕様がない重大な問題、それが高額医療補助制度だ。

日本は国民全員が健康保険制度に加入している。自己負担は3割であり、残りは国と地方自治体が負担している。ただし高額な場合は、所得に応じて高額な部分を保険が負担する。この負担を国(財務省)が嫌がっている。

非常に厭らしいことに廃止しろとは言わない。あくまで国の負担をなくして、各地方自治体で負担してくれと言いだした。これがどんな結果となるか、具体例を挙げてみよう。

私は今年の3月に手術をしている。入院費用、手術費用、埋め込んだ医療用機器(ICD)の総額は300万を超える。これを窓口3割負担だとしても、自己負担分は100万円となる。

だが高額医療補助制度のおかげで、私が支払ったのは18万円程度だ。これは所得の金額により違ってくるが、概ね10万円前後に収まるように制度設計されている。私としては大変にありがたかった。

この制度がなかったら、100万以上を払わねばならず、とても一括では払えない。ちなみにこの高額医療補助制度では、国が四分の一、地方自治体が四分の三を負担している。

実はこの制度は国の発案ではない。元々は革新系の地方自治体が日本各地に誕生した60年代から70年代にかけて、日本社会党などの左派政治家の発案により作られた制度だ。これは有権者から非常に人気が高く、それに目を付けた厚生省が国も一定額を負担するようになった経緯がある。

当時の左派政治家も反米、反日米安保ではあったが、現実的な政策を打ち出せ、かつそれを実施できるだけの実務能力をもっていた。今とは大違いである。世界的にみても優れた制度だと思うが、年々経済規模が縮小している現在の日本では、反比例して支出負担が増えている。老人大国化している以上、それは当然のことだと思う。しかし、それが気にくわないのが財務省だ。

10年くらい前までは、この高額医療補助制度の国家負担は約1000億円程度であった。しかし、現在では3000億円を超えるとされており、今後も増える一方であると予測されている。だから、この制度をなくしたい。それが財務省の本音だと思う。だが、いきなり廃止すれば反発も大きい。なにより自民党の大票田である高齢者の支持を得られるとは思えない。

そこでまず、国家負担分を削り、後は地方自治体に任せたい。そうすれば、国政への批判を緩和できる、そう考えているのだろう。でも、東京のような資金力に余裕のある自治体は少なく、大半の自治体はむしろ高額医療補助制度を支えきれないと思われる。

つまり結果的に一部の大都市圏の自治体以外は廃止の方向へ進むと思う。あくまで廃止は地方自治体の決断だよ、そういいたげな財務省のエリートたちの薄ら笑いが透けて見える。

岸田首相はこの件に関して、なにも言ってない。どうせ慎重に検討で終わるだろう。この人、安倍や菅と異なり、役所に逆らうような荒事は嫌がる。

野党は野党で、相も変わらず森かけ桜に国葬反対で騒ぐだけ。本当に国民のことなんざ考えていない正義ぶりっ子である。まァ民主党政権時代は、財務省におんぶに抱っこだから、財務省に逆らうはずもない。

働き盛りならいざ知らず、年金暮らしの高齢者は高額な医療を受けられないようになる日は近い。そういわざるを得ないですね。

これは私の邪推ですけど、オリックスの宮内が小泉に取り入ってガン保険を認めさせたように、この高額医療も民間の保険会社に負担させる可能性が高いと思いますよ。

コメント (4)
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