初めて車を運転する時は、初心者マークをつける。このことを覚えている人は多いと思う。
同様に高齢者になった時は、ドライバーが高齢者であることを示す「もみじマーク」をつけることをご存じだろうか。
これは高齢者の運転による事故が増えたことに応じて、警察庁が設けた制度である。ところが、このマーク、当初は「紅葉マーク」であった。
この紅葉マークに対して、「これじゃ、落葉マークだ」と文句を付けたのが、辛口自動車評論家として知られている三本和彦氏であった。この発言を耳にした警察庁は、さっそく三本氏を呼びつけたらしい。
しかし、いくら警察が文句を言っても、三本氏の言い分に共感する人は多く、結局このマークは「もみじマーク」に変更されて現在に至る。
三本氏の辛口は、これだけではない。車の車検制度に噛み付き、「政府が認証により車の安全性を保持しているというのならば、車両の車検制度、リコール制度がありながら、三菱自動車のリコール隠しを見抜けなかった政府にも責任があるのではないか」と発言して、TVの解説者の地位を引きずりおろされたことでも知られている。
あまりマスコミは報じていないが、政府の車検制度の欠陥を追求した三本氏の発言は、メーカーにも、また運輸省にも痛かったようで、この発言以降、だいぶ干されていた。でも、三本氏、間違ったことは言ってないと思う。
自民党の不正は追求できても、スポンサーたる自動車会社業界及び運輸省には盾突けないマスコミ様の憶病・・・いや慎重さには蔑視・・・いや苦笑せざるを得ませんね。
そんな三本氏ですが、先週ひっそりとお亡くなりになりました。辛口ながらも車を愛する気持ちが根底にあるからこその発言をもう聞けないことは、実に残念だと思います。謹んでご冥福をお祈り申し上げたいと思います。
お隣の半島にかつて、極めて自身の欲望に忠実な男がいた。
この男、ブンちゃんは女と金を自由にする手段として宗教を利用したのだが、風紀を乱したとの罪で豚箱に入れられた。豚箱でブンちゃんは反省しました。政府を敵に回してはダメだと。冷戦下の半島においては、敵は共産主義である。敵の敵は味方だ。
彼が考えた新たな宗教は、共産主義と云う名の悪魔を追い払う救世主としてのブンちゃんです。そのために教徒をタダ働きさせて金を集め、政治家に献金させて、堂々と宗教団体の教祖様として認められちゃいました。
ブンちゃんの欲望は限度知らず。世界中に自分の教団を広げ、政治家と役人に金をばら撒きました。だが、伝統的宗教が根強い国ほど拒否反応が強く、日本とアメリカ以外ではカルト教団とされて追い出されました。
信教の自由を勘違いしている上に、金の魅力に極めて弱い日本とアメリカだけは辛うじて教団を存続させることが出来ました。ただ霊感商法としての悪名が広まってしまったので、愛着ある教団名はちょっくら変えています。
また教団名が世間に広まってしまうことも問題が多いので、世界中に広がる共産主義と戦う組織としての別団体を立ち上げたりして、保守系の政治家に献金して支持を求めたりと、多角的な活動もしています。
当然ですが、日本では保守系で特に反共産系の政治家が、このターゲットになっています。その一人が安倍晋三であったことは、今回の暗殺事件で明らかになりました。
といっても、以前から知っている人は知っていたこと。ただ新聞やTVが、宗教がらみの記事を書きたがらなかったので、世間的な認知が低かっただけでしょう。
安倍元首相の死は残念ですが、これまでマスコミ様が放置していたカルト教団と政治とのかかわりについて公表されたのは良い事です。
信教の自由とは、個人の心の自由の問題であり、宗教組織が好き勝手していい自由ではないことを、改めて認識して頂きたいものですね。
ここ数年、私を悩ませているのが大化の改新、現在では乙巳の変と呼ばれている政変である。
当初、私は有力な豪族の連合政権であった大和王朝をシナに倣っての中央集権国家へのターニングポイントだと認識していた。
ところが近年、私なりに日本史の勉強をやってみると、どうも違和感を禁じ得ない。特に私を悩ませたのが天智天皇と天武天皇である。この二人、兄弟とのことだが、どうにも信用できない。
その違和感の原因は日本書記である。天武が命じて作成されたのだが、執筆者の一人に藤原不比等がいることが事をややこしくさせている。大化の改新の功労者である中臣鎌足の子(天智の子説が有力)である不比等は、500年にも及ぼうとする藤原家の覇権を基礎を作った人物である。
その不比等が編纂に関わっている以上、日本書記が単なる記録であるはずがない。そもそもその作成を命じた天武は何の目的で書かせたのかも明確ではない。調べれば調べるほど謎が増えていくのは、ほとほと閉口した。
そこで前後の歴史も勘案して調べるうちに、藤原家と聖徳太子との謎の関係にまで謎が拡がってしまった。藤原家がなぜに聖徳太子を怨霊として怖れる必要があるのかが分からない。時代が違うし、中臣家とも関連が見いだせない。でも、明らかに藤原家は聖徳太子を恐れている。
そうなると、中大兄(天智)と鎌足による蘇我家殲滅を狙った乙巳の変までも、異なる面から再考する必要がある。もちろん蘇我氏と厩戸皇子との関係も含めての再考となる。そもそも聖徳太子の存在意義まで疑わしくなってきた。
私の乏しい知能のキャパシティを超えてしまったので、ここ最近は少し冷却期間を置いている。攻め方を変えて、当時の日本を取り巻く世界情勢のほうから勉強し直している。
そして告白させて頂くと、私が「もう、分からん~!」と匙を投げたくなった一因が表題の作品である。実はこの作品を初めて読んだのは、心筋梗塞で入院していた時である。カンファレンス・ルームに置かれてあった漫画雑誌に連載されていたのだ。たしか連載開始後2週目だったと思う。
掲載誌はビックコミックである。日ごろ、私が滅多に読まない雑誌であったため、このような作品が連載していたこと自体驚きであったが、それ以上に内容が凄かった。
青年誌というよりも成人男性読者が中心の漫画雑誌であるためか、山岸凉子の「日出処の天子」よりも更に生々しかった。私が十代の頃ならば、男性読者が引いてしまうような描写が平然と描かれていることに衝撃を受けた。
ただし、その内容は副題にある「新説・日本書記」に相応しいものです。全11巻ですが、是非とも堪能して欲しい一作。最後は・・・うん、相応に美しいと思いましたよ。
夢は夢のままであった方が良かった。
昭和45年、遂に幻の名レスラーであるエドワード・カーペンティアが国際プロレスに来日した。当時、小学校の低学年であった私は、その試合を見れるはずもなく、ただプロレス雑誌を見てどんな試合であったかを想像していただけだった。
彼は空飛ぶフランス人の異名で知られ、マットの魔術師としてアメリカで大人気のプロレスラーであった。あのルー・テーズとの試合でも勝ったが、3本目がテーズの負傷による勝利であったため、正式なNWAチャンピオンにはなれなかった。
得意技はサマーソルト・キックだ。プロレス雑誌に掲載された写真には、マットの上でトンボを切るカーペンティアの姿が映っていた。小柄な体つきながら、筋肉の塊であり、その高いジャンプ力から繰り出すと思われたサマーソルト・キックという技に夢見るプロレス少年が私だった。
その真実を知ったのは、それから十数年たった頃、某大学のプロレス研究会の映写フィルムでカーペンティアの試合を見た時だ。コーナーに相手レスラーを押し付けて、駆け昇るようにジャンプして空中で一回転。
その着地の後に、相手レスラーへ後ろ蹴り。それがサマーソルト・キックと称された技であった。全然、サマーソルト・キックではない・・・
この時の失望感は、プロレスが本気の格闘技でないことを知った時よりも痛烈であった。要するにマット上での高いジャンプと空中回転は、単なるパフォーマンスに過ぎなかった。
その頃には新日本プロレスで、あの天才であった佐山サトルがタイガーマスクとしてのサマーソルト・キックを披露していたので、それと比較してしまい、余計に失望が大きかった。佐山タイガーのキックは、本当に空中飛び回し蹴りであったから、単なる見世物のカーペンティアとは比べ物にならなかった。
あれほど失望したことは滅多にない。
ただし、それは私の勝手な思い込みに過ぎなかったことが分かったのは、比較的最近のことだ。昔のプロレスの試合がユーチューブ上にアップされている。大半が白黒映像なのだが、そこで試合をするカーペンティアの姿は本物のプロレスラーであった。
よくよく見ると、その筋肉ダルマとしか言いようがない体つきは、体操競技で鍛え上げたもので、怪力に加えて優れた運動神経の持ち主であった。加えてレスリングの技術も本物であった。画質の悪い映像ながら、その試合巧者ぶりは強豪そのものであった。
その試合は1950年代のもので、その当時が彼の全盛期であったようだ。身長は低いのだが、筋肉の付き方が異常で、見るからに怪力であることが分る。これはステロイド剤などの服用によるものでなく、体操競技で鍛えぬいた筋金入りの筋肉だ。
身長は公称184㎝とあったが、実際は170㎝半ばであったと思う。つまりアメリカ人プロレスラーとしては、かなり小柄な部類である。しかし、試合を見ると、自分よりも一回り、二回り大きい相手を軽々と振り回している。
どんなにデカい相手でも得意のグランドレスリングに持ち込めば、絞め技、関節技も豊富で実に見応えのある試合であった。こりゃ人気が出るはずだ。だから来日回数は少なかったのだろう。
ただ、そのテクニックは地味であるが故に、体操競技の経験を活かして、マット上での高いジャンプと空中回転で派手なパフォーマンスを演じて、試合にメリハリをつけていたのだと思う。
でもサマーソルト・キックに夢を見た子供ヌマンタの失望は如何ともし難い。誰だよ、あんな適当なネーミングを付けたのは。ちなみに、ユーチューブで視た試合では、カーペンティアはサマーソルト・キックではなくトーラス・キックと称された後ろ蹴りを多用していた。あのブッチャーの得意技が、まさかここで視れるとは思わなかった。
まだ数試合しか視てないが、その実力は本物でした。プロレス雑誌が適当なネーミングさえつけなければ・・・と思わざるを得ませんね。
儲かりまっせ!
コロナ禍で不況に喘ぐ人たちが多い中、軍需産業だけは好況に沸いている。もちろん、その原因はロシアによるウクライナ侵攻である。
云うまでもなく、ウクライナは旧ソ連である。当然に軍隊の兵器はソ連製である。既にロシア側を去り、西側へ移ったポーランド、バルト三国などは大喜びで旧式化したソ連製兵器をウクライナへ引き渡す。これで倉庫に空きが出来た。
そこへ西側の武器商人がやってきて、いささか旧式ながらも高性能で信頼性の高い西側兵器を売りつける。武器商人は在庫一掃でがっぽりと儲ける。また晴れて西側の国として武器体系を揃えることが出来たポーランドなどは、今後もより一層西側兵器へ傾倒していく。武器商人ホクホク顔である。
喜んでいるのはドイツやアメリカなど武器輸出で稼ぐ国である。本来、旧ソ連の兵器体系から西側への兵器体系へ移管するには、相当な困難が伴う。なにしろ操作法から補給方法、修理方法までトレーニングしなければならない。武器の種類にもよるが数か月かかることもある。
だから旧ソ連製兵器から西側兵器への移管は、ほとんどの国が面倒くさがる。しかし、ウクライナへの緊急援助という形で在庫一掃したため、嫌が応にも新型の西側兵器への移管を進められる。
なにしろ小国ウクライナに対して、ロシアの悪戦苦闘ぶりは旧ソ連製兵器への信頼を大きく損なった。これを機に西側兵器へ武器体系を変える大手術に踏み切る国は複数に上る。だから武器商人たちは大忙しだ。
でも笑うものがいれば泣くものもある。アメリカと揉めてロシア製の武器を購入したトルコやインドは歯噛みしているだろう。また旧ソ連製兵器を輸入して、コピーして国産化してきたシナなどは、地団駄踏んでいること請け合いである。
またロシアがウクライナへ侵攻したことで、ウクライナが隠し持っていたミサイルやロケットを密輸していた北コリアなどは、予定が狂ってしまっただろう。なによりウクライナの核兵器やロケットの専門家を呼べなくなり、深刻に弱っていると思われる。今や虚勢を張るのに必死である。
その一方、捕らぬ狸の皮算用をしてほくそ笑んでいるのが南コリアである。ウクライナ危機に乗じて国産兵器を輸出しようと意気込んでいる。たしかに南コリアの兵器は安いが、故障を頻発するせいか、未だ一件も注文がない。わざわざ南コリア政府の高官が訪れてセールスを展開しているのだが、どうも芳しくない。この国、合法違法を問わずコピーして国産兵器だァと騒ぐが、形だけ作って満足し、欠陥を直す努力をしないので、いい加減そのあたりの駄目さ加減が世界に知られつつあることは無視なようだ。
一方、東部を奪われつつあるウクライナも、なかなか狡猾である。憐れな被害者を装うが、この国、北コリアに核兵器を流出させるほどに節操がない。援助してくれるのならば、いくらでも卑屈な事をしかねない危うさがあることは覚えておいた方が良い。
私の本音を言うのならば、遠くのウクライナよりも日本と国境を接するロシアにこそ恩を売っておくべきだと思う。ただ、アメリカの目線があるので、安易にロシアの味方面は出来ない。いつになるかは不明だが戦況が終盤になったら、ロシアとは国家としては冷徹に距離を置く一方で、民間レベルでは援助することも考えたほうが良い。
ただし、極めて乱暴な国なので、サハリン2のように一方的に奪われる危険性は高い。その一方で、ロシアは民間レベルでは意外なほどに親日的傾向が強い。経済援助は控えても、人道支援は準備しておいたほうが、21世紀の日本の安全保障に役立つと思いますよ。