入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

         「夏」 (5)

2015年06月05日 | 牧場その日その時


 昨日は久しぶりに積荷の関係で、途中から未舗装になる芝平のガタガタ道を通らず、松倉経由で来た。集落を抜ける辺りで、犬を4匹連れて散歩中の老夫婦がいた。一瞬その中に、昨年の暮れになくしたキクがいたような気がした。以前から誤ってこの土地に下りてはいないかというかすかな期待が、そんな錯覚を起こさせたのだろう。あれから半年も経つ。仮にその中にキクがいたとしても新しい飼い主が、元の飼い主の所有権をすんなり認めて返してくれるかは分からない。それにキクがどちらを望むかも不明だ。
 キクにはお気に入りの場所があって、そこと小屋との間の数メートルをいつもひっきりなしに行き来していたから、しっかりとした道ができて、草は1本も生えなくなった。しかし今ではそこも鬱陶しい雑草が繁茂し、キクの道はいつにか消えてしまった。

 飼い犬にはそれなりの情愛を抱くのに、鹿には非情だと思う人がいるだろう。せめて生まれたばかりの小鹿だけでも逃がすことはできぬのか、という意見もあった。しかしそうしてやったところで、単独では森の中で1日として生きることはできない。実際、安全と思える囲い罠の中でさえ昨夜のことだろう、母鹿の目を盗んだ野生動物か、猛禽類に襲われてしまったのに違いない、殺処分した鹿の死体の中に小鹿の姿はなかった。カラスも、小鹿なら襲うこともある。囲い罠の中にはもう1頭、臀部をすっかり喰われた鹿の死体が転がっていた。
 一見平和な森も、野生の暮らしが展開されている。昨日くくり罠で捕獲したタヌキは、今日逃がしてやろうとしていってみれば、地上から2メートルばがかりの枝から頭をしたにしてぶら下がり、こと切れていた。逃げようとして木に登り、その後どうしたのか・・・。
 キクもまた、そうした野生の現実から逃れることができなかったのかも知れない。

 昨日の愚案の中に、「8時間以内なら」とすべきを誤って「6時間以内ならビール1本」としてしまい、訂正します。ただしこれはまだ「思案中」ですので誤解なきよう、また、ビール以外に鹿肉という案も考慮中です。

 入笠牧場の山小屋「農協ハウス」及びキャンプ場の営業に関しましたは、4月26日のブログをご覧ください(日付をクリック)。また、入笠牧場からの星空に興味のある方は、5月25,26,27日のブログにアクセスしてください。
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