Photo by Ume氏
また「山の人」になって牧場(ここ)で迎えた三度目の朝だが、 山の朝もいい。山の夕暮れが「静」のイメージ、あるいは「終わりの予兆」のそれであれば、山の朝は「活気」とか「再生」のイメージがする。鳥の声と、雨戸の隙間から射し込む新鮮な朝日の中で目を覚ます。この感覚は全く対比にはならないが、仕事を終えて暗くなった山道を帰る際に味わう、あの充足感や安堵感を諦めた者への、代償にはなってくれている。
山の朝は早い。今朝も5時少し過ぎに目覚めた。朝飯を準備する前に、罠の見回りに大沢山へ行く。1頭の鹿を目撃したが、獲物は掛かっていなかった。東の空は大きな青空に太陽も見えるというのに、西の方は厚い雲に覆われてしまって山は隠れている。それに今朝はいやに風が強い。昨日は薄い雲が空の大半を占めていたが、中央アルプスの峰々だけが、伊那谷の上の濃密な雨雲の上にシルエットのように薄い、青色の山容を見せて浮かんでいた。
山から帰りラジオを点けたら、また殺し合いのニュース。人類は永い時間をかけてここまで来たというのに、いまだ平和な地球には程遠い。自然科学や文明が成し遂げたことに比べ、最も根源的な分野における恐るべき未熟と、そして不毛。識者や宗教家が見過ぎ世過ぎで何事か高説を垂れても、蟻の一歩にも、いやバクテリアの一歩にも、ならないかも知れないという不信。人類を消滅させるような大きな戦争のことではなく、現在世界のあちこちで勃発している抗争や殺戮の方が、この想いを強くさせる。同じ人間同士でありながら、その格差が大き過ぎる、行けばいくほど、知れば知るほど。
そんなことを言っておいて、
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