入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

   ’18年「春」 (9)

2018年03月11日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 今年で、牧場の管理人になって12年目に入る。初年は2007年になるが、そのころにはすでに野生動物、主に鹿、そしてイノシシによる農産物の被害が問題視されるようになっていた。対策の一環として、大型の囲い罠が牧場に設置されたのは、その年の冬だった。今、業務日誌を調べると、翌年の2008年には捕獲の記録はない。ただし、キツネやタヌキなど対象外の動物に罠が作動し、それに大変に苦労している。それが2008年になると、捕獲頭数の記録は一挙に93頭になっている。そのうち30頭ばかりがくくり罠による捕獲だから、ということは、この年には罠の狩猟免許を取得していたことになる。
 その後、大型囲い罠と、くくり罠で、毎年100頭くらいの鹿を捕獲する年が何年か続いた。一時期は、本州で最高の捕獲実績を上げたと評価されたこともあった。しかし、一昨年辺りから大型の囲い罠による捕獲は続けても、くくり罠の捕獲はほぼ休業状態になって、そのころにはくくり罠に関しては捕獲しても、報償費の申請を止めてしまった。
 きょうの新聞を見れば「ペーパーハンターを減らそう」という見出しで、狩猟免許を持っていても狩猟をしない人たちなどを対象に、県が講習会を開催したという記事があった。講師に呼ばれた「ぼくは猟師になった」の著書もある千松氏は、「山歩きの延長線上と考えて楽しくやる方がいい」と助言したと記事にある。氏の著書は読んでいるから、こんな意味のあるとも思えない引用ばかりでなく、もっと内容のあることを語ったと思う。
 しかし、狩猟に熱が入らなくなったのは、氏が言ったとされる「楽し」さなどとは全く真逆な苦痛が、狩猟の実態だったからである。罠を仕掛けて、翌日見回っても掛かっていないと、残念な気持よりも安堵するようになった。逃げようとしたり、雄鹿のように向かってくれば、まだこっちも対向しようとする気になる。しかしうずくまったまま上目遣いに観念したふうを見せられたり、可愛い顔をした小鹿が切ない声を上げれば、それを振り切って倒し、刺し殺す、ということが有害駆除の大義名分と報償費では、段々ときつくなってきたのだ。
 しかし、今年はくくり罠もやる。そこら辺の心境の変化については、明日もう少し。

 光の明度が上がる、3月の入笠牧場が待っています。"Rancher Bar"は、管理人の酒類の在庫、いよいよ僅小につき、当面は各自持ち込みにてお楽しみください。
 営業については以下をクリックしてください。「冬季営業の案内(’17年度」は、前年のものを流用している部分もあって、段落や改行がおかしく、見苦しいかも知れませんが何卒ご容赦を
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