
呟きは初日になるが、何とか小屋に入り、10畳ふた間続きの部屋で炬燵に当たり、取り敢えず所長とウイスキーで乾杯した。さらにビールを飲みながら談笑していたら、昼を少し過ぎて番長Tさん、裏番長Fさん両名が予定通りにやって来た。番長はツボ足、裏番長はワカンと、らしいと言えばらしかった。後で合流することにして、ひとまず山小屋に落ち着いてもらった。
そのうち思いもしなかった珍客が現れた。以前からもよく知っていたCさんとDさんだった。その日に管理人が上に来ることをこの独り言で知って、宿に決めたマナスル山荘から訪ねてくれたのだった。早速、われわれのいた部屋に招いた。こういうふうにして懐かしい訪問者と会って話すのも、山小屋の味と言えるだろう。
二人が帰り、入れ替わってTさん、Fさんもやって来た。この人たちとは山の話が主になる。先客も後客もアルコールを嗜まなかったから、自分たちのことはさて措いて、時節柄相応しい客だったと言えよう。もちろん、終始マスクは外さないようにした。
第2日目の朝、確か7時の気温はマイナス12度、曇天だった。まず番長組が去り、そして所長もいなくなった。後は格別することもなく呆けていて、ふと越年の時に作ったすき焼きを放置してあったことを思い出した。かなりの量があり、どこへ捨てることもできなかった代物だ。
割り下は日本酒と醤油と砂糖だけ、肉は最上、案の定、豆腐や野菜もカチカチに凍っていた。試しにコンロに載せ暖めてみた。するとしばらくしていい匂いがしてきた。一口食べたら、悪くない、1か月前のすき焼きが甦った。
前夜は自作のステーキ弁当だったから、普段は努めて自制している牛さんに、今回はすっかり世話になってしまった。
それから長い夜、それを敢えて意識して過ごした。漠々とした時間、いろいろな思いが浮かび、時の流れも前後してとりとめもなく過ぎていく。加速するのか制動するのか、一緒になってアルコールも。
翌日の下山に際しては天候が崩れると聞いていた。また峠を越えるか、それとも深雪、急登を押しても、いつものように牧場を見回って帰るか、決めきれないまま眠りに就いた。

昨日に載せるべきだった御所平峠の地蔵様の様子。雪が風によって大分吹き飛ばされているのが分かる。てっきり写っていないと思っていた。この地蔵様を運び上げた93歳で、PCを操作するお師匠へ贈りまする。
それにしても、昨日のTさんFさんの場合もそうだったが、写真が勝手に動画になってしまってPCに取り込めないことがよくある。
本日はこの辺で。