入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’22年「冬」(41)

2022年02月24日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
 さすがに、雪景色ばかりだと疲れる。また遠い昔の話になるが学生時代、3月の長い休みを北信のスキー場で過ごし、荷物に加えて留年の知らせを携え大糸線を一人で大町付近まで来たら、いつの間にか沿線の雪景色が消えていた。田圃の黒々とした土が見えて安堵感と一緒に、一挙に疲労感が消えていったことが今も忘れられない。来る日も来る日も白い世界にいたら、それだけでも心身の消耗が気付かないうちに進んでいたとのだと知り、一冬を雪国に暮らす人々の苦労を実感した。
 なお、留年は免れてその春、追い立てられるように卒業した。



 昨夜は散歩の時間を早めて、6時過ぎに家を出た。開田に上がって、いつものように雲の残る月のない夜空を眺めたら、ほぼ中天にオリオン座が見え、その三ツ星の先には、プレアデスの星団も淡い光を見せていた。つまり、出発が早かった分、季節を戻してまだ真冬の夜空を見ることができたのだ。
 牧場へ通うようになれば、同じことを体験する。標高が上がるにつれて季節が逆行し、芽吹き出した樹々の間に桜の花も、年によっては5月の連休過ぎまで見ることができる。それも、あの人に言わせれば、大和心を象徴する「朝日に匂ふ山桜花」をである。
       
 毎年3月の第1週には上に行く。昨年は思いがけない春の雪で苦労したものの、何とか車で上まで行けた。しかし、今年はそれはとても無理だろうと、もうその日がたった1週間先に迫っていることを暦で改めて確認しながら感じている。また法華道を歩いていくことになるのだが、前回行った時から1ヶ月が過ぎるわけで、その時に残した踏み跡などはもう期待できない。
 それでも予報によれば、週末ごろから気候は大分春めいてくるという。そうなれば昼と夜の寒暖の差が大きくなり、昼の暖かい気温で溶けた雪の表面が、夜の寒気で凍り、深雪に足を取られずに歩くことができて、登行が楽になる。特に、積雪が増える山椒小屋跡を過ぎてからの落葉松の樹林帯を進むのには大いに助かるはずだ。
 
いつの間にか、こういう軟弱なことを考えるようになってしまった。入笠なら、昼であれ夜であれ、冬のどんな天気でも大丈夫だと高をくくっていた時期もあったはずだが、あれは自分への過大評価、思い違いだったかも知れない。そう思うほど今の年齢、体力に対しては大分謙虚になって来た。いや、そうならざるを得ない。
 
 ウーン、雪の古道が呼んでいる。本日はこの辺で。


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