入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「冬」(8)

2023年01月12日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 もう、しばらく牧場へは行かない。里にいて、単調な日々を送っているうちには、また気が変わるだろうと、安気に構えている。それがいつになるか、早ければ今月中、遅ければ来月になるだろう。
 今ふと、それに関してある案を思い付いたが、まだ内緒にしておく。

 目下、やらなければならないことは何もない。格別やりたいこともない。働かなくとも、とりあえずはは生きていける。こういう安気気楽を求め、ようやくそれを手にできたと喜んでいるが、ここに辿り着くまでに人生の大半を空費してしまったかも知れないという皮肉な思いもある。
 しかし、考えてみれば長い未完成な時間、それに比べて短い完成、大方のことはそうできているような気がしないでもない。運動選手なども長く酷しい訓練、そして一瞬で終わる栄光。「浪速のことは夢のまた夢」と辞世にこめたあの人の思いだってそうだったろう。
 
 暖かくなれば、今年もまた牧守の仕事をする予定でいるが、それでも遠くないいつか牧を去る日が来る。それで年中暇になったら一体どういうことになるのだろう。
 今からそんな近い未来に備えて少しづつ訓練を始めたら良いと思うも、具体的なことが思い付かない。せいぜい散歩、瞑想、読書、そして家事諸々くらいで、それで満足できていればいいが、はたしてどうか。
 野菜作りをしている人の話を聞く。結構楽しいらしい。もしかすれば、トマトくらいは作ってみる気になるかも知れないが、となれば相手は牛ではなく、今度は野菜か。朝採りしたトマトは美味い。

 穏やかな晩年などと、日向ぼこのようなことを言う人もいるが、現実はそんなお伽噺話ではないだろう。この頃、古来稀なる年齢を過ぎた友人、知人と会えば、誰もが盛んに身体の不調、病気、そして前頭葉の劣化から来る物忘れのひどさを口にする。日常の中で犯す失敗が増えてきて段々と自分が情けなくなり、いろいろなことに意欲をなくしてしまったご同輩のことも耳にする。
 また、身体的にも、経済的にも何の苦労もない人でも、忍び寄る老いを畏れて老人性鬱病になるという"贅沢な人"もいるらしい。そうなれば旅も、温泉も遠くなるだけだろう。クワバラ、クワバラ。

 枯れない、達観しない、せいぜい好奇心を旺盛にして、煩悩を退けず、人からは因業爺と陰口をたたかれる、「そういう人にわたくしはなりたい」、努力する。

 本日はこの辺で。

 
 


 
 
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