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入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「冬」(22)

2023年01月30日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 先週末の雪、里にこれだけ降ると、当然ながら上のことが気になる。もうすぐ1月も終わることだし、2月に入ったらまた法華道を登って、上に行ってみようかと考えている。さすがにこの時季ともなれば歩くしかないが、もしかすればきょうも入笠は雪で、さらに積雪を増やしているかも知れない。
 
 静まり返った雪の古道、特に「爺婆の石」から「厩の平」はわずかな距離だが平坦なクヌギの疎林の中を行く。一服したくなるところだが、その先に「はばき当て」手前の登りが待っている。昔の旅人を真似て、いつもそこまで登ってから一休みと決めている。雪の状態にもよるが「はばき当て」まで、登り出して早ければ1時間少々、2時間あれば余裕だろう。
 聞き慣れない「はばき当て」とは、今のスパッツと考えてもらえばいい。北原師が立てた案内板には、ここで旅人が一休みを兼ね、そのはばき当てを締め直してから旅を続けたという説明がある。

「はばきあて」からは大きなモミの木を巻くようにして最後の登りとなるが、道はいつも吹き溜まりになっているためそれを嫌ってほぼ直登する。程なく「山椒小屋跡」の案内板があり、ここで尾根の登りは終わりとなる。ただし、雪の量が次第に増す落葉松の樹林帯の中を、古い林道へ出るまではまだしばらく厄介な登りが続く。
 それにしてもいつのころまで、こんな辺鄙な山の中にお助け小屋があったのか、口碑は詳しいことを伝えていない。恐らく樵か猟が本業で、お助け小屋は旅人から強いられた副業であったのだろう。
 法華道のことを思い浮かべているうちに、道案内のようなことをつい呟いてしまった。それなら最初からと考えないでもないが、変な先入観や、役に立ちそうもない予備知識などない方がいいだろう。
 
 あの写真家は、危険なグリズリーの棲む森の中へライフルを持って行くことを止めた。銃を携えることにより得られる安心感よりか、それのないことで自然に対する慎重な態度や、神経にヤスリをかけるような緊張感の方を大切にしたいと書いていたように思う。アラスカの自然に対する畏敬の念であり、彼がこよなく愛した極北の自然への誠実な心構えであったのだろう。
 ツキノワグマにさえクマスプレーを用意する臆病者にはなかなか真似するのが難しいが、分かるような気がする。もし山に不安や緊張感がなかったなら、寒さと疲労を押してまで行く理由は、公園の中の安気な散歩ほどの価値も持たなくなりはしまいか。

 本日はこの辺で
 
コメント
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