牛は予定通りきょう、残り全頭が元気に山を下りていった。いつものようにその中の何頭かは下牧を嫌って大暴れして、引っ張られ、押されて最後はトラック上の牛となった。一番可愛がった47番は、運よく1頭だけが他の牛と離れた場所に繋がれていたので、一方的ではあっても存分に最後の別れをすることができた。
この牛も含めて全頭がよくなつき、従ってくれた。一昨日の第3牧区からの移動の際には、牧区の奥から全頭が笛で集められ、その後の約2.5キロの道のりは草地だけでなく森や林があっても、和牛を先頭にしてもくもくと後を追ってきたし、その前日はまき牛牧区の牛も囲い罠の中に素直に誘導されて入った。
下へ行けば、ホルスも和牛も出産や種付けが待っている。これからあの牛たちがたどる家畜としての運命を思うと、たった4か月ではあってもここで自由気ままな暮らしができて良かったと、強いてそう思ってみた。
何ともあっけらかんとなってしまった第3牧区と第1牧区をとりとめもなく見回り、先週末の寒さで急に進んだ赤や黄色に色付いた周囲の景色を眺めながら、日の暮れかけた管理棟へ帰ってきた。
第3牧区のコナシの木はすでにかなりの葉を散らしてしまったため、遠くから眺めるとそのこげ茶色した帯状の縞が、今年はまだ枯れずにいる放牧地の草の緑色と加減の良い対比を見せていた。第1牧区の塩場の傍にあるダケカンバの巨木も、たった二日目にしなかっただけなのにその葉がすっかり黄色く色付いていたのには、巧妙な季節の仕掛けでも見せられたようで驚いた。
小黒川の谷もそうだが、今年の紅葉の見ごろはいつもよりも幾分か遅れて、この週末ごろになるだろう。
各方面からコメントを頂戴しました。ありがとうございました。変換ミスなど誤記もあり、戒めています。赤羽さんの知的生命体はクラークに似てますね。
無事下牧の済んだ今夜は、それを寿ぐささやかな祭りを楽しみに、牛のことも含めて、あれこれ考えながら山道を下ることにします。
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