入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「秋」(20)

2023年08月26日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


  こういう写真を載せるから気が早い、せっかちだと言われてしまうのだろう。偶々目にした今年初めての赤く色付いたツタウルシの葉である。もちろん、本格的にこの葉が紅葉するのはまだまだ先のことだが、そんな季節への心の準備を是非今からオススメしておきたい(お出掛けください、と言う意味です)。
 それだけでなく、昨夜、というか今朝と言うべきか、午前3時55分、外に出たら煌く星々の中にオリオン座が目に飛び込んできて驚き、感動した。仰角50度位の東の空で、中天近くには昴、木星も一段と強い光を放って見えていた。

 今にこの星座が冬を連れてくるのだという思いと、自分の年齢とが妙に重なり、人生の終章に残された余白が少なくなっていることを意識させられ、普段とは違う感慨を覚えた。
 九州の友人Yなら、また「年齢のことを気にしているみたいですね」と、嫌味とも、冷やかしともとれるような言い方をしそうだが、そうではない。
 確かに若いころは、人生の1回生とか、自分の寿命が尽きても時間は永遠に続き、言葉としてはおかしいがその永遠の長さばかりか、またその永遠が終わった後のことも気になった。そう、性と同じく、重いおもい悩みであり、荷物だった。

 しかし、今は少し違う。何かのきっかけで陽子の寿命が理論的には10の33乗だと知り、それで永遠の長さが分かったような気になった。難しいことは分からないが、1兆は10の12乗だから、これは気の遠くなる、などと言った言葉さえも安直に聞えるほどの長いながい時間である。
 それでも、ようやく永遠の先が見えてきたような気がして安堵できた。あの人が言った「天然の永遠」であるが、そこまでのことを意味していたかは分からない。
 ともかく、この永遠と比べたら、われわれ人の一生などは無いにも等しい。そもそも138億年と言われる宇宙の歴史すら赤子のようなものでしかないではないか。

 終幕はやがて訪れる。実にありふれた結論だが、それでも元気でいられるうちは一生懸命に生きる。そもそも、われわれの誕生こそが奇跡であり、いい国に、いい時代に生まれることができたことは、文字通り「有難い」ことだ。

 昨夜、鹿を5頭捕獲した。こんな数では焼け石に水だが逃がすわけにもいくまい。また、県から派遣された調査員からは、牧場内にカメラを設置することを県が了承しなかったと言ってきた。何故か。行政のやることは事程左様にちぐはぐで、お座なり。 
 
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 小屋の電話が不通でご不便をおかけしてます。予約、問い合わせは何卒JA上伊那東部支所組合員課、電話0265-94-2473にお願いいたします。
 本日はこの辺で。明日は沈黙します
 
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     ’23年「秋」(19))

2023年08月24日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

   牛の頭数は3頭でなく4頭、頭数確認は難しい
 
 この週末は「混雑させないキャンプ場」もかなり賑やかになる。毎年某団体が8月最終の土、日と決めて、同好の士30数名がやって来てキャンプをするのだ。それが、前任の時代からずっと20年以上も続いているらしい。
 以前はこういう団体が幾つか来ていた。自然観察や天体観測を目的にした人々だったが、やはりcovid-19の影響が大きかったというしかない。また、指導者が年齢を重ねたり、定年を迎えて縁の切れてしまった団体もある。
 
 この週末は他にも予約が入っているが、例外的に混雑するかも知れないことを一応お伝えし、その上で来ることを判断してもらった。と言って、この30名以上が予想される団体も、キャンプサイトCを使用するだけで、他にもA、B、D、Eのサイトがある。
 
 ここは言うまでもなく牛の放牧が主たる業務の牧場で、キャンプ場はささやかな副業でしかない。しかし、入牧頭数も年々減少し、かといって簡単に放牧料を上げることができないことは、飼料の値上がりなど畜産業者が抱えている諸般の事情からしても分かるかと思う。
 国、つまり我々の税金かから多大な支援を受けながら、傍から見れば全く安易としか思えないガソリンの値上げ、のようなわけには行かないのである。それに関してついでに言えば、ガソリンの値段は長野県が一番高いらしい。
 キャンプ場も、長年ここを愛用してくれている人々には、値上げをやってこなかったとは言わないが、やはり頭を悩ますし、難しい。どこかのキャンプ場のようにあんなものが必要かと疑問に思うような設備を設け、高い料金で集客に励むというようなことは考えていない。少なくも、自分の代では。
 牧場が赤字では困るが閉牧などにならず、ここの自然が守られれば、それで任は果たしたと考えている。

 また、キャンプは気持ちの良い自然の中で、日常とは違う、できればもっと原初的な生活を楽しむくらいでいいのではと思っている。美味い物を食べ、大いに酒を飲むのも非日常の範疇にいれてもいいが(クク)、便利な暮らしに慣れた日々の生活を省みる機会であってもよいのでは、と思う。
 日ごろ女房任せの炊事を、夫がたまにやってみるのも・・・、ウーン、自分の女房のことを「奥さん」などと呼ぶ夫のいたりするご時世、もしかすれば家でも恐妻にこき使われているかも知れないから、その辺は一概には言えまい。
 それはともかく、冬期には、常駐しているわけではないが、水道が使えなくなり深い雪の中を集水場まで歩いて行かねばならない。その一事をもってしても、蛇口をひねれば豊富な水が出てくる有難さが身に沁みて分かる。

 どうもはっきりしない天気だ。実は、もうすぐ撮影が始まる。雨に濡れた草原が気になる。
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     ’23年「秋」(18)

2023年08月23日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 日曜日に罠を仕掛けて以来、鹿の捕獲にはいまだ至っていない。月曜日に里へ下りて1泊して火曜日に上がってきた朝は、一夜ではあっても小屋に灯が点かず人の気配が消えたわけだから期待していた。
 昨日、点検のために罠の中に軽トラで入ったら、上段の左隅に1頭の鹿がうずくまったまま、逃げようともしないでいた。これで、罠に入った2頭の鹿のうち1頭はいまだ中に残留しているということになる。

 それこそ、この自らを「exile」したような鹿の姿を、罠の外から見ている鹿たちはどう思うだろうか。囚われの鹿と見るのか、それとも勝手に自分から罠の中に入り、そこを棲み処としていると思うのか。
 あれだけの数の鹿が牧場内をまさに領地のようにしていて、それでも罠の中に入ろうとしないということは、恐らく前者の見方が正しいと判断せざるを得ない。
 
 この春に7頭捕獲したと思ったらゲートが作動せず逃がしたことがあったが、それからほどなくして3頭、さらに18頭を捕獲した。以後、牛の入牧、そして罠の中でも放牧をしていたから仕掛けてはいない。
 これまでの経験からすれば、あれからかなりの期間が経ち、鹿にとっては警戒心よりか、誘引に使っている塩への欲求の方が勝ると考えられるのだが、そうならない。
 高遠では立派なジビエセンターが完成し、ここでも鹿の捕獲が期待されているというのに、それに応えることができないでいる。

 すべての捕獲できない原因、理由は今も中にいる1頭の鹿のせいだろうか。アイツも仙人にでもなろうとして仲間を避け、1頭だけでおのが世界に暮らし、思索に耽り「片時も倦むことなく」過ごしたというあの人を真似しようとしている、と想像することは自由でも、ありえない。
 明日は県から派遣され、鹿の調査員が来る。せめて彼らだけにでも実態を知って貰いたいと思っている。これまでの識者と見做されている人たちが言っていることなどに頼っていては、もう、現実には追い付けないことを。
 里では鹿の数が減ったなどという噂が流れているやにも聞く。トンデモナイ話だ。

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     ’23年「秋」(17)

2023年08月22日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

 
 牧場へ通うには、高遠の市街を通り長藤の集落から小豆坂のトンネルを抜けて、荊口、芝平と山室川が削った狭い谷を上ってくるのがずっと普段の通勤路だった。
 それが燃料の値上がりなどが引き金になって、昨年からは山に生活の中心を移し、今ではそんな暮らし方が通常の生活になっている。もう慣れたと言っていい。
 現在、芝平の集落から上は、恐らく枯れ木橋の先になると思うが、6月初期の大雨で「災害による通行止」になっていて、いまだにいつ復旧するのかも分からない。たまに里へ下るには、そのため千代田湖経由で松倉へ下って、藤沢の集落で杖突街道へと出るしかない。

 今朝は里からその街道を走ってきたのだが、懐かしい風景を見たような気がした。自転車で通学する若者が反対方向へ向かって走る姿を久しぶりに目にしたのだ。このごろは、下に用があっても彼らの通学時間とは違う場合が多いから、久しくこういうことはなかった。
 それでも約15年間、毎朝のように高校生の自転車に乗った通学姿を見てきた。中でも、雨の降る中を傘もささず必死で自転車をこぐ女子学生や、行きは下りでも帰りは急な夜の小豆坂を上がらなければならない男子高校生の姿もあった。
 学生ではなかったが30代の体格のがっしりとした男の人が、どんな事情があるのか、毎朝のように人目を避けるようにうつむきながら歩く姿にも目が行った。彼についてはすれ違う場所が日によって違うから、こんな所まで来るのかと時に驚いたりしたこともある。

 あれからもう何年も過ぎた。あの雨に強い女子高校生の方は、結婚するにはまだ少し早い気がするが、どうしているだろう。男子高校生は進学したか、それとも就職してどこかで働いているのか、いずれにしても元気でやっていると思いたい。
 彼女、彼に限らず、多くの高校生の通学風景を見てきた。地元の高校へ通う若者もいれば、さらにもっと遠い20㌔近い距離を伊那の街の高校へ行く者もいた。もちろん、彼ら彼女らからすれば、そんな姿に関心を寄せていた者のことなど知る由もなく、想像だにしなかっただろう。
 ただ、病気を克服しようとしてか、何年も毎朝思い詰めたようにして特徴のある歩き方をしていたあの彼は、3,4年ほど前にその姿を目にすることがなくなった。彼も、ついには糖尿病を克服できなかった一人なのかも知れない。
 
 一言だって言葉を交わしたことのないまま、あの若者らの青春の断面とでもいう姿を見させてもらった。今では結婚して、子供がいてもおかしくない年齢に達している人たちもいるはずだ。しかし、高遠の街中で会ったとしても分からない。
 いずれの若者も、人生における一瞬の触れあいであったが、言葉を必要としない対話の余韻が今も快く残っている。

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     ’23年「秋」(16)

2023年08月21日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

 
  久しぶりにテイ沢の様子を見にいってきた。今年はいつもの年に比べて訪れた回数は少なく、特に8月に入ってからはあまりその機会がなかった。もしかすれば、7月の終わりにクマを見たあの時以来・・・、いやその後に東部支所の職員を案内したはずだから、3回くらいはあっただろう。
 上からであれば最初と2番目の丸太橋はいまだに架け直さずそのままにしてあるが、それでも沢を訪れる人たちは結構いるようで、単独を含めて幾組もの人々が牧場内を通り過ぎていくのをよく目にしてきた。

 沢はいつもよりか少し水量が落ちていた。6月の大雨でえぐられた山道には新しい踏み跡ができていたし、草刈りもやりかけたままにしてあるが、そのままでもいいのかもしれないと自分勝手な言い訳をした。
 そういえば確か先日の「山の日」、伊那と富士見が合同で参加者を募りこの辺りの散策を企画したが、その後偶然に伊那側の関係者と会い話した際も、二箇所の丸太橋の修復ができてないことも含めて、沢はあのままでも問題がないという口ぶりだった。
 
 それでも何箇所か補強補修をした。シノを使い番線を巻くのは実に久しぶりのことで、谷を下る水音を聞きながらいろいろと思い出すことが多く続いた。
 幾つもの痛んだ橋が放置されていたのを見かねて始めたことだが、今でも、何番目の橋のどの丸太が一番重かったかを言うことができるし、手古摺った数々のことを縷々呟くこともできる。
 
 最初の時は、もう10年以上も前になるが、TDS君を筆頭に延べ人数なら20人、いやもっといただろう。小屋に泊まっていた和泉多摩川ナチュラリストクラブの若い面々を、事情を話して動員させてもらったこともある。いろいろな人たちの顔が目に浮かぶ。
 まだシノの使い方は怪しかったし、チェーンソーも年代物で重く、エンジンを始動させるまでに体力を吸い取られ、その上、肝心な切れ味もひどかった。

 もし口碑の通り1千年も前、この谷に古道「石堂越え」が本当に在ったなら、駒を連れてこの谷を通り都へ登った人や、旅人がいただろう。もっと時代は下るが、危険を犯してこの谷へ石塔や石柱を運び上げた人たちもいた。
 先人を真似て駒を引くことも、石柱や石塔を担ぎ上げることもできないが、いずれは記憶の全てをまとめて、この谷にお返しするつもりだ。

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