■当会では、平成21年5月23日(土)に松井田支所で、岡田市長との市民対話に参加しました。内容は、当会のブログで詳細にお伝え済みですが、対話の中で、当会の情報開示請求について、言及がありました。
日ごろから、選挙公約だった「情報公開」「説明責任」を口癖のように唱えている岡田市長ですが、市長対話の際に、岡田市長から「それ(情報公開請求)だけに職員の皆さんはかかっているわけじゃねえから。細かく言えば、小川さんは6万4千の中のひとつの指摘ですから」という見解が示されました。
市長のコーヤクのはずの情報公開について、逆の立場の発言なので、クビを傾げながらも、情報開示に貢献しているとのささやかな自負を持つ当会は「秘書行政課から聞いたんだけども、どうも私(請求人)がやっている(情報公開請求という)のはほとんど8割方が私のようだ」という趣旨の話題を切り出したところ、岡田市長から「いや8割じゃなくて9割がそうだよ」と言われました。
■さらに岡田市長は「役所の中、限られた職員数で、もう本当に他の仕事を置いて、書類作りをしている」「他の仕事が停滞する」という見解コメントを発しました。日ごろ、市民へのアピールに余念のない情報公開推進派としての岡田市長のイメージを混乱させるようなこの発言に、目がテンになりつつも、さらに重大なことに気が付きました。岡田市長が、請求人がなした情報公開請求のことを全て知っているということと、それを、市長以外の職員らがいる部屋で公言したことです。
そこで、当会では、6月17日付で、安中市に情報公開条例に基づき、「岡田市長が、請求人(=当会)が為した情報公開請求の内容を知った、及び・或いは知り得ることのできる経緯・状況を示す一切の情報」について、行政文書開示請求書を提出しました。
■行政に対して情報開示請求をした住民の権利は、行政により注意深く尊重されなければなりません。ところが、それを根底から否定する事件が、お隣の埼玉県草加市で発生したのです。このニュースを知り、住民が勇気を奮って役所に提出した情報開示請求が、実際には、役所のトップから担当まで全員に知られているのではないか、と心配になったからです。
**********
情報公開請求に「脅迫文」 埼玉の男性 抗議受け市調査
埼玉県草加市教育委員会に、小中学校の学カテストの結果などを情報公開請求した市内の男性宅に、「お前一人の知る権利で公共の福祉が損なわれている」「何様のつもりだ」などと書いた「脅迫文」が届いていたことがわかった。男性から、「(請求は)誰にも言っておらず、差出人は市の関係者以外あり得ない」と抗議を受けた市は、内部調査を実施。職員らの関与は確認できず、調査は打ち切られたが、男性は「家族に危害が及びかねない」として請求を取り下げた。
市関係者らによると、文書が届いたのは昨年7月下旬。男性は同月中旬に情報公開請求したばかりで、封筒には市内の消印が押されていた。
あて先、本文ともパソコンなどで印字されており、「日本の恥・埼玉の恥・草加の恥」として名指したうえで、「お前の偏った考えを、弱い立場の学校や市役所に偉そうに語っても、所詮自惚れ」などと、情報公開請求を暗に批判。「警察の方へ」と題し、「この男は主義主張のため市民を脅迫している」などとして、「身辺の捜索」を依頼している。
同市では、児童が中学校を自由に選べる「学校選択制」を導入。男性は、子供の進学先を決めるにあたり、「十分な情報が開示されていない」として、「市立中学校の定期テストの問題と模範解答」など18件を情報公開請求した。
その後、文書が届いたことから、男性は「『知る権利』を侵害する行為は許せない」として、市に徹底調査と関与した職員の厳正な処分を申し入れた。
これを受けて市は昨年9月、調査委員会を設置。請求内容を知る立場にあった市職員と教職員計100人から聞き取りを行ったが、全員が関与を否定したため、「市の関与はなかった。これ以上の調査は困難」と男性に報告した。
調査委員長の檜垣昌司・総合政策部副部長は、「文書が送られた事実を厳粛に受け止めている」としており、市は全職員に、問題の経緯を伝え、「職務上知り得た秘密を漏らすと刑罰が科される」などと通知した。
男性は、「家族のこともあり、現段階でコメントはできない」としている。
NPO法人「情報公開クリアリングハウス」奥津茂樹・常務理事の話「請求者に深刻な萎縮をもたらす、情報公開制度の根幹を揺るがしかねない前代未聞の事態。文面や経緯から行政側の関与が強く疑われ、さらなる徹底調査が必要だ」
(平成21年6月11日付讀賣新聞)
**********
■安中市からは12日後の6月29日に情報開示がありました。それによると、岡田市長が当会の情報開示請求に関して報告を受けて知りえたとされたのは次の6件の事案であることが判明しました。
【事案1:市長交際費】
文書番号 第3007号
起案 平成20年5月1日
決裁 平成20年5月8日
起案者 総務部秘書行政課秘書係 主幹 佐俣信之
決裁 市長、秋山部長、鳥越課長、佐俣係長、
件 名 行政文書開示請求に対する公開の実施について
上記のことについて、次のように実施してよろしいか伺います(別紙 枚)
平成20年5月1日付け、安中市野殿■■■■■■■■■様から開示請求のあったことについて、下記により実施してよろしいか伺います。
1.開示請求の内容 別紙「行政文書開示請求書」のとおり
2.処理伏況 ①「市長交際費支出基準」並びに「弔慰に関する内規」を公開,
②群馬県市長会・全国市長会での交際費に関連した義務外支出に関する申し合わせなど確認事項」については不存在。
③その他「処理状況調書」のとおり。
【事案2:市長交際費】
文書番号 第7529号
起案 平成20年7月1日
決裁 平成20年7月4日
起案者 総務部秘書行政課秘書係 主幹 佐俣信之
決裁 岡田市長、秋山部長、鳥越課長、佐俣係長、
件 名 行政文書開示請求に対する開示の実施について
上記のことについて、次のように実施してよろしいか伺います(別紙 枚)
平成20年6月30日付け、安中市野殿■■■■■■■■■様から開示請求のあったことについて、下記により実施してよろしいか伺います。
1.開示請求の内容:別紙「行政文書開示請求書」のとおり
2.処理状況について:ホームページで公開している市長交際費執行状況では、弔慰に関する部分について個人名を非公開としているが、公開の元となっている交際費補助簿を出力し個人名については黒塗りしたものを開示する(別紙のとおり)。
3.その他:「処理状況調書」「行政文書開示決定通知書」・・・別紙のとおり
【事案3:秋間ファーム裁判】
文書番号 第18555号
起案 平成20年12月4日
決裁 平成20年12月5日
起案者 産業部農林課農政係 課長補佐 悪澤孝治
決裁 岡田市長、―部長、吉田課長、悪澤係長
関係部課合議 秋山総務部長、鳥越秘書行政課長、吉田秘書行政課文書法規係長
課内供覧 角井農村整備係長、上原林政係長
件 名 行政文書開示請求書に基づく開示について
上記のことについて、別紙のように開示してよろしいか伺います(別紙126枚)
平成20年11月27日付け、安中市野殿■■■■■■■■■■より請求のありました下記行政文書を開示してよろしいか伺います。また、ご決裁の後、請求者に対し別紙文書の写しを送付してよろしいか併せて伺います。
記
1.請求者住所 安中市野殿■■■■■
2.請求者氏名 ■■■■■■
3.開示請求文書 安中市が提訴した秋間ファーム費用償還請求事件裁判に関する一切の情報
4.開示方法 写しの交付
5.開示文書 別紙一覧表のとおり
【事案4:岡田市長の裏庭ネコババ登記手続】
文書番号 第19882号
起案 平成20年12月22日
決裁 平成20年12月22日
起案者 建設部土木課庶務係 課長補佐 滝川広
決裁 岡田市長、―部長、吉田課長、悪澤係長、瀧川係長
関係部課合議 鳥越秘書行政課長、吉田秘書行政課文書法規係長
課内供覧 田中工務係長
件 名 行政文書開示請求書に関する回答について
上記のことについて、別紙のように開示してよろしいか伺います(別紙 枚)
安中市野殿■■■■■■■■氏よりありました、行政文書開示請求に関しまして、別紙のとおり、行政文書不存在通知書を送付してよろしいか。
【事案5:秋間ファーム裁判(続編)】
文書番号 第21138号
起案 平成21年1月15日
決裁 平成21年1月19日
起案者 産業部農林課農政係 課長補佐 悪澤孝治
決裁 岡田市長、―部長、吉田課長、悪澤係長
関係部課合議 総務部長(無押印)、秘書行政課長(無押印)、秘書行政課文書法規係長(無押印)
課内供覧 角井農村整備係長、上原林政係長
件 名 行政文書開示請求書(続編)に基づく開示について
上記のことについて、下記により、開示してよろしいか伺います(別紙 26枚)
平成21年1月6日付け安中市野殿■■■■■■■■■■より請求(続編)のありました下記行政文書を開示してよろしいか伺います。また、ご決裁の後、請求者に対し別紙文書の写しを送付してよろしいか併せて伺います。
記
1.請求者住所氏名 安中市野殿■■■■■■■■■■■
2.開示請求文書 安中市が提訴した秋間ファーム費用償還請求事件裁判に関する情報のうち12月8日に開示されたものを除く一切の情報
3.開示方法 写しの交付
4.開示文書 別紙一覧表のとおり
【事案6:市長交際費】
文書番号 第23287号
起案 平成21年2月13日
決裁 平成21年2月13日
起案者 総務部秘書行政課秘書係 主幹 佐俣信之
決裁 岡田市長、秋山部長、鳥越課長、佐俣係長
件 名 行政文書開示請求に対する開示の実施について
上記のことについて、次のように実施してよろしいか伺います(別紙 枚)
平成21年2月10日付け、■■■■■■■■■様から開示請求のあったことについて、下記により実施してよろしいか伺います。
記
1.開示請求の内容:2008.8~10月に支出して首長交際費に関する支出金調書、現金出納簿またはこれに類する文書
2.処理状況について:開示請求文書は8月8日から10月となっているが、会計課へ提出済みの「交際費帳票書類」「交際費補助等」がH20.7.1~H20.9.19及びH20.9.22~H21.1.16となっているため、それについては個人名を黒塗りし部分開示とする。また、それに係る「支出負担行為兼支出命令書」「前途資金精算書」「戻入命令書」「戻入済通知書」「平成20年度歳出予算差引簿」については全部開示とする。
3.その他:「処理状況調書」「行政文書部分開示決定通知書」・・・別紙のとおり
■また、安中市から補足説明として、次の説明が文書で付けられていました。
**********
(補足説明)
平成20年度実績として、情報公開請求に係る決定において、市長に関連する情報公開又は部長不在を理由として市長決裁としたものは上記6件です。本来、安中市事務決裁規程における「情報公開に関する事務の処理」の専決区分は重要なものは部長、軽易なものは課長であり、上記6件を除いたものは全て部長又は課長の専決(決裁)区分のいずれかとなっています。よって、開示請求による市長が知り得た経緯又は状況を示す行政文書として存在するのは上記文書のみとなります。ただし、情報公開(申出)実施状況は、安中市情報公開条例に基づき、毎年公表をしており、年度途中において情報公開条例の運用状況を職員から市長に口頭で伝えるような機会も時にはあると思います。平成20年度の情報公開(申出)実施状況として、開示請求処理件数が99件あり、そのうち(当会事務局長の)小川様によるものは75件でした。
**********
■これらの開示情報を総合して分析してみると、市長対話のときに、開示請求全体に占める当会の請求の割合について、当会は「ほとんど8割方」との見解でしたが、岡田市長は「いや8割じゃなくて9割がそうだよ」と言ったのは、間違いであることがハッキリしました。実際には、平成20年度の当会による情報公開請求は、安中市全体の請求数の75%だったのです。当会の見解のほうが正しいことが証明されたことになります。
さらに、安中市は個人情報についても関心が高く、今回開示されたすべての資料には、当会の事務局長の住所番地と個人名が黒塗りされていました。上記で■■■■■■■■と示してあるのがそうです。
ところが、せっかくの配慮も、首長自ら、無視しているのですから、困ったものです。いくら請求者本人に対しての発言とはいえ、当会の事務局長が8割だというのを否定して、実は9割もの情報公開をしていたことがバレてしまったからです。しかも、9割もの情報公開により、余計な事務を職員に強いられ、円滑な公務が妨害されたというふうな、クレームまがいの指摘まで、付け加えて言われたのです。
まったく市長という公人としての配慮を欠いた行為であり、無神経のそしりを免れ得ないと言われても仕方のないことと思われます。しかも、すぐ隣には、総務部長がおり、部屋の中には市の職員らが同席していたのです。
■また、当会が請求した事案75件のうち、岡田市長に起案用紙が回付されて、岡田市長が中身を見る機会があったのは、①市長交際費3件、②秋間ファーム裁判2件、それに③市長の裏庭ネコババ登記情報1件の合計6件のみだったことも明らかになりました。このうち、②秋間ファーム裁判2件は部長不在のため市長決裁という説明で、①市長交際費3件と、③市長の裏庭ネコババ登記情報1件の4件が、市長に関連する情報公開だという市側の補足説明となっています。
すると、市長を相手取った未来塾の名誉毀損損害賠償裁判情報の開示請求は、なぜ市長決裁ではなかったのでしょうか? また当会がメインに取り組んでいる安中市土地開発公社にかかる群馬銀行との和解金支払い延長に関する情報の開示請求も、市長決裁でなかったのはなぜなのでしょうか? 疑問が膨らみます。
■以上のことから想像するに、岡田市長は、当会の情報開示請求の内容はすべて、報告を受けているものと推測されます。だから、当会からの情報開示が全体の9割にもなる、という受け止めかたを岡田市長はしたに違いありません。本来、住民からの情報開示請求は、ヘンな圧力がかからないように、せいぜい担当部署の業務責任者である課長あたりにより、開示・非開示・不存在・開示延期などの判断がなされるべきです。しかし、安中市の場合には、岡田市長が特定の団体個人が行う情報開示請求に対しては、全部チェックしていると思ったほうがよいでしょう。今後、安中市に情報開示請求を行う場合は、あらかじめこの点を肝に銘じておくほうが、余計なショックを覚えずに済みます。
■ちなみに、③の岡田市長の裏庭ネコババ登記情報については、当会は平成19年9月11日に開示請求をしましたが、開示されないため、平成19年10月2日に異議申立をしました。ところが、安中市はこれを安中市情報公開・個人情報保護審査会に諮らず1年以上放置したままにしていました。当会では、再三にわたり、督促をしましたが無視され続けました。
ようやく、努力が実って、安中市情報公開・個人情報保護審査会に諮問されたのが、平成20年12月26日で、平成21年3月19日開催の審査会で討議され、平成21年3月30日付で討議結果が答申として岡田市長に伝えられています。しかし、その後3ヶ月半を経過しようとしていますが、安中市からはまだ決定書が発出されていません。これはいったいどうしたことでしょう。
あいかわらず、岡田市長の都合に合わせて行政の事務事業が影響を受ける安中市政の後進性を、よく表している出来事です。
【ひらく会情報部】
日ごろから、選挙公約だった「情報公開」「説明責任」を口癖のように唱えている岡田市長ですが、市長対話の際に、岡田市長から「それ(情報公開請求)だけに職員の皆さんはかかっているわけじゃねえから。細かく言えば、小川さんは6万4千の中のひとつの指摘ですから」という見解が示されました。
市長のコーヤクのはずの情報公開について、逆の立場の発言なので、クビを傾げながらも、情報開示に貢献しているとのささやかな自負を持つ当会は「秘書行政課から聞いたんだけども、どうも私(請求人)がやっている(情報公開請求という)のはほとんど8割方が私のようだ」という趣旨の話題を切り出したところ、岡田市長から「いや8割じゃなくて9割がそうだよ」と言われました。
■さらに岡田市長は「役所の中、限られた職員数で、もう本当に他の仕事を置いて、書類作りをしている」「他の仕事が停滞する」という見解コメントを発しました。日ごろ、市民へのアピールに余念のない情報公開推進派としての岡田市長のイメージを混乱させるようなこの発言に、目がテンになりつつも、さらに重大なことに気が付きました。岡田市長が、請求人がなした情報公開請求のことを全て知っているということと、それを、市長以外の職員らがいる部屋で公言したことです。
そこで、当会では、6月17日付で、安中市に情報公開条例に基づき、「岡田市長が、請求人(=当会)が為した情報公開請求の内容を知った、及び・或いは知り得ることのできる経緯・状況を示す一切の情報」について、行政文書開示請求書を提出しました。
■行政に対して情報開示請求をした住民の権利は、行政により注意深く尊重されなければなりません。ところが、それを根底から否定する事件が、お隣の埼玉県草加市で発生したのです。このニュースを知り、住民が勇気を奮って役所に提出した情報開示請求が、実際には、役所のトップから担当まで全員に知られているのではないか、と心配になったからです。
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情報公開請求に「脅迫文」 埼玉の男性 抗議受け市調査
埼玉県草加市教育委員会に、小中学校の学カテストの結果などを情報公開請求した市内の男性宅に、「お前一人の知る権利で公共の福祉が損なわれている」「何様のつもりだ」などと書いた「脅迫文」が届いていたことがわかった。男性から、「(請求は)誰にも言っておらず、差出人は市の関係者以外あり得ない」と抗議を受けた市は、内部調査を実施。職員らの関与は確認できず、調査は打ち切られたが、男性は「家族に危害が及びかねない」として請求を取り下げた。
市関係者らによると、文書が届いたのは昨年7月下旬。男性は同月中旬に情報公開請求したばかりで、封筒には市内の消印が押されていた。
あて先、本文ともパソコンなどで印字されており、「日本の恥・埼玉の恥・草加の恥」として名指したうえで、「お前の偏った考えを、弱い立場の学校や市役所に偉そうに語っても、所詮自惚れ」などと、情報公開請求を暗に批判。「警察の方へ」と題し、「この男は主義主張のため市民を脅迫している」などとして、「身辺の捜索」を依頼している。
同市では、児童が中学校を自由に選べる「学校選択制」を導入。男性は、子供の進学先を決めるにあたり、「十分な情報が開示されていない」として、「市立中学校の定期テストの問題と模範解答」など18件を情報公開請求した。
その後、文書が届いたことから、男性は「『知る権利』を侵害する行為は許せない」として、市に徹底調査と関与した職員の厳正な処分を申し入れた。
これを受けて市は昨年9月、調査委員会を設置。請求内容を知る立場にあった市職員と教職員計100人から聞き取りを行ったが、全員が関与を否定したため、「市の関与はなかった。これ以上の調査は困難」と男性に報告した。
調査委員長の檜垣昌司・総合政策部副部長は、「文書が送られた事実を厳粛に受け止めている」としており、市は全職員に、問題の経緯を伝え、「職務上知り得た秘密を漏らすと刑罰が科される」などと通知した。
男性は、「家族のこともあり、現段階でコメントはできない」としている。
NPO法人「情報公開クリアリングハウス」奥津茂樹・常務理事の話「請求者に深刻な萎縮をもたらす、情報公開制度の根幹を揺るがしかねない前代未聞の事態。文面や経緯から行政側の関与が強く疑われ、さらなる徹底調査が必要だ」
(平成21年6月11日付讀賣新聞)
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■安中市からは12日後の6月29日に情報開示がありました。それによると、岡田市長が当会の情報開示請求に関して報告を受けて知りえたとされたのは次の6件の事案であることが判明しました。
【事案1:市長交際費】
文書番号 第3007号
起案 平成20年5月1日
決裁 平成20年5月8日
起案者 総務部秘書行政課秘書係 主幹 佐俣信之
決裁 市長、秋山部長、鳥越課長、佐俣係長、
件 名 行政文書開示請求に対する公開の実施について
上記のことについて、次のように実施してよろしいか伺います(別紙 枚)
平成20年5月1日付け、安中市野殿■■■■■■■■■様から開示請求のあったことについて、下記により実施してよろしいか伺います。
1.開示請求の内容 別紙「行政文書開示請求書」のとおり
2.処理伏況 ①「市長交際費支出基準」並びに「弔慰に関する内規」を公開,
②群馬県市長会・全国市長会での交際費に関連した義務外支出に関する申し合わせなど確認事項」については不存在。
③その他「処理状況調書」のとおり。
【事案2:市長交際費】
文書番号 第7529号
起案 平成20年7月1日
決裁 平成20年7月4日
起案者 総務部秘書行政課秘書係 主幹 佐俣信之
決裁 岡田市長、秋山部長、鳥越課長、佐俣係長、
件 名 行政文書開示請求に対する開示の実施について
上記のことについて、次のように実施してよろしいか伺います(別紙 枚)
平成20年6月30日付け、安中市野殿■■■■■■■■■様から開示請求のあったことについて、下記により実施してよろしいか伺います。
1.開示請求の内容:別紙「行政文書開示請求書」のとおり
2.処理状況について:ホームページで公開している市長交際費執行状況では、弔慰に関する部分について個人名を非公開としているが、公開の元となっている交際費補助簿を出力し個人名については黒塗りしたものを開示する(別紙のとおり)。
3.その他:「処理状況調書」「行政文書開示決定通知書」・・・別紙のとおり
【事案3:秋間ファーム裁判】
文書番号 第18555号
起案 平成20年12月4日
決裁 平成20年12月5日
起案者 産業部農林課農政係 課長補佐 悪澤孝治
決裁 岡田市長、―部長、吉田課長、悪澤係長
関係部課合議 秋山総務部長、鳥越秘書行政課長、吉田秘書行政課文書法規係長
課内供覧 角井農村整備係長、上原林政係長
件 名 行政文書開示請求書に基づく開示について
上記のことについて、別紙のように開示してよろしいか伺います(別紙126枚)
平成20年11月27日付け、安中市野殿■■■■■■■■■■より請求のありました下記行政文書を開示してよろしいか伺います。また、ご決裁の後、請求者に対し別紙文書の写しを送付してよろしいか併せて伺います。
記
1.請求者住所 安中市野殿■■■■■
2.請求者氏名 ■■■■■■
3.開示請求文書 安中市が提訴した秋間ファーム費用償還請求事件裁判に関する一切の情報
4.開示方法 写しの交付
5.開示文書 別紙一覧表のとおり
【事案4:岡田市長の裏庭ネコババ登記手続】
文書番号 第19882号
起案 平成20年12月22日
決裁 平成20年12月22日
起案者 建設部土木課庶務係 課長補佐 滝川広
決裁 岡田市長、―部長、吉田課長、悪澤係長、瀧川係長
関係部課合議 鳥越秘書行政課長、吉田秘書行政課文書法規係長
課内供覧 田中工務係長
件 名 行政文書開示請求書に関する回答について
上記のことについて、別紙のように開示してよろしいか伺います(別紙 枚)
安中市野殿■■■■■■■■氏よりありました、行政文書開示請求に関しまして、別紙のとおり、行政文書不存在通知書を送付してよろしいか。
【事案5:秋間ファーム裁判(続編)】
文書番号 第21138号
起案 平成21年1月15日
決裁 平成21年1月19日
起案者 産業部農林課農政係 課長補佐 悪澤孝治
決裁 岡田市長、―部長、吉田課長、悪澤係長
関係部課合議 総務部長(無押印)、秘書行政課長(無押印)、秘書行政課文書法規係長(無押印)
課内供覧 角井農村整備係長、上原林政係長
件 名 行政文書開示請求書(続編)に基づく開示について
上記のことについて、下記により、開示してよろしいか伺います(別紙 26枚)
平成21年1月6日付け安中市野殿■■■■■■■■■■より請求(続編)のありました下記行政文書を開示してよろしいか伺います。また、ご決裁の後、請求者に対し別紙文書の写しを送付してよろしいか併せて伺います。
記
1.請求者住所氏名 安中市野殿■■■■■■■■■■■
2.開示請求文書 安中市が提訴した秋間ファーム費用償還請求事件裁判に関する情報のうち12月8日に開示されたものを除く一切の情報
3.開示方法 写しの交付
4.開示文書 別紙一覧表のとおり
【事案6:市長交際費】
文書番号 第23287号
起案 平成21年2月13日
決裁 平成21年2月13日
起案者 総務部秘書行政課秘書係 主幹 佐俣信之
決裁 岡田市長、秋山部長、鳥越課長、佐俣係長
件 名 行政文書開示請求に対する開示の実施について
上記のことについて、次のように実施してよろしいか伺います(別紙 枚)
平成21年2月10日付け、■■■■■■■■■様から開示請求のあったことについて、下記により実施してよろしいか伺います。
記
1.開示請求の内容:2008.8~10月に支出して首長交際費に関する支出金調書、現金出納簿またはこれに類する文書
2.処理状況について:開示請求文書は8月8日から10月となっているが、会計課へ提出済みの「交際費帳票書類」「交際費補助等」がH20.7.1~H20.9.19及びH20.9.22~H21.1.16となっているため、それについては個人名を黒塗りし部分開示とする。また、それに係る「支出負担行為兼支出命令書」「前途資金精算書」「戻入命令書」「戻入済通知書」「平成20年度歳出予算差引簿」については全部開示とする。
3.その他:「処理状況調書」「行政文書部分開示決定通知書」・・・別紙のとおり
■また、安中市から補足説明として、次の説明が文書で付けられていました。
**********
(補足説明)
平成20年度実績として、情報公開請求に係る決定において、市長に関連する情報公開又は部長不在を理由として市長決裁としたものは上記6件です。本来、安中市事務決裁規程における「情報公開に関する事務の処理」の専決区分は重要なものは部長、軽易なものは課長であり、上記6件を除いたものは全て部長又は課長の専決(決裁)区分のいずれかとなっています。よって、開示請求による市長が知り得た経緯又は状況を示す行政文書として存在するのは上記文書のみとなります。ただし、情報公開(申出)実施状況は、安中市情報公開条例に基づき、毎年公表をしており、年度途中において情報公開条例の運用状況を職員から市長に口頭で伝えるような機会も時にはあると思います。平成20年度の情報公開(申出)実施状況として、開示請求処理件数が99件あり、そのうち(当会事務局長の)小川様によるものは75件でした。
**********
■これらの開示情報を総合して分析してみると、市長対話のときに、開示請求全体に占める当会の請求の割合について、当会は「ほとんど8割方」との見解でしたが、岡田市長は「いや8割じゃなくて9割がそうだよ」と言ったのは、間違いであることがハッキリしました。実際には、平成20年度の当会による情報公開請求は、安中市全体の請求数の75%だったのです。当会の見解のほうが正しいことが証明されたことになります。
さらに、安中市は個人情報についても関心が高く、今回開示されたすべての資料には、当会の事務局長の住所番地と個人名が黒塗りされていました。上記で■■■■■■■■と示してあるのがそうです。
ところが、せっかくの配慮も、首長自ら、無視しているのですから、困ったものです。いくら請求者本人に対しての発言とはいえ、当会の事務局長が8割だというのを否定して、実は9割もの情報公開をしていたことがバレてしまったからです。しかも、9割もの情報公開により、余計な事務を職員に強いられ、円滑な公務が妨害されたというふうな、クレームまがいの指摘まで、付け加えて言われたのです。
まったく市長という公人としての配慮を欠いた行為であり、無神経のそしりを免れ得ないと言われても仕方のないことと思われます。しかも、すぐ隣には、総務部長がおり、部屋の中には市の職員らが同席していたのです。
■また、当会が請求した事案75件のうち、岡田市長に起案用紙が回付されて、岡田市長が中身を見る機会があったのは、①市長交際費3件、②秋間ファーム裁判2件、それに③市長の裏庭ネコババ登記情報1件の合計6件のみだったことも明らかになりました。このうち、②秋間ファーム裁判2件は部長不在のため市長決裁という説明で、①市長交際費3件と、③市長の裏庭ネコババ登記情報1件の4件が、市長に関連する情報公開だという市側の補足説明となっています。
すると、市長を相手取った未来塾の名誉毀損損害賠償裁判情報の開示請求は、なぜ市長決裁ではなかったのでしょうか? また当会がメインに取り組んでいる安中市土地開発公社にかかる群馬銀行との和解金支払い延長に関する情報の開示請求も、市長決裁でなかったのはなぜなのでしょうか? 疑問が膨らみます。
■以上のことから想像するに、岡田市長は、当会の情報開示請求の内容はすべて、報告を受けているものと推測されます。だから、当会からの情報開示が全体の9割にもなる、という受け止めかたを岡田市長はしたに違いありません。本来、住民からの情報開示請求は、ヘンな圧力がかからないように、せいぜい担当部署の業務責任者である課長あたりにより、開示・非開示・不存在・開示延期などの判断がなされるべきです。しかし、安中市の場合には、岡田市長が特定の団体個人が行う情報開示請求に対しては、全部チェックしていると思ったほうがよいでしょう。今後、安中市に情報開示請求を行う場合は、あらかじめこの点を肝に銘じておくほうが、余計なショックを覚えずに済みます。
■ちなみに、③の岡田市長の裏庭ネコババ登記情報については、当会は平成19年9月11日に開示請求をしましたが、開示されないため、平成19年10月2日に異議申立をしました。ところが、安中市はこれを安中市情報公開・個人情報保護審査会に諮らず1年以上放置したままにしていました。当会では、再三にわたり、督促をしましたが無視され続けました。
ようやく、努力が実って、安中市情報公開・個人情報保護審査会に諮問されたのが、平成20年12月26日で、平成21年3月19日開催の審査会で討議され、平成21年3月30日付で討議結果が答申として岡田市長に伝えられています。しかし、その後3ヶ月半を経過しようとしていますが、安中市からはまだ決定書が発出されていません。これはいったいどうしたことでしょう。
あいかわらず、岡田市長の都合に合わせて行政の事務事業が影響を受ける安中市政の後進性を、よく表している出来事です。
【ひらく会情報部】