■東邦亜鉛安中精錬所周辺の重金属汚染問題で、土壌の入れ替えにより、安全な土壌にするための畑地改良事業は、既に計画策定から10数年を経過していますが、いっこうに進みません。周辺住民は、高濃度にカドミウム、亜鉛、鉛、砒素などに汚染された農地で作物をつくらざるを得ませんが、まもなく食品衛生法の改正で、今度はコメ以外にも野菜の重金属含有量が問題となる事態が迫っています。
もともと農用地の土壌の汚染防止等に関する法律に基づき、国や県、市が、工場周辺の畑地の汚染土壌を入れ替えるための事業計画を策定し、総事業費30数億円を既に手当てしていました。しかし、このうち約10億円程度を負担することになっている東邦亜鉛から政治献金を受けている岡田義弘市長が、この事業そのものを潰そうとする東邦亜鉛の強い意向を受けて、なんとしてでも、東邦亜鉛に有利な方向に誘導させようと、あの手この手で、事業推進のじゃまをしています。その手法の一つが、重金属汚染指定地内で、いろいろな別事業を誘致しようというものです。
協立精工を東邦亜鉛の変電所跡地の隣に持ってきたリ、高崎のオサカベ自動車の誘致のために、タダで取り付け道路をつくってやったりしたのも、その一環ですが、一挙に数ヘクタールもの土地を、汚染土壌対策地域内に設定し、これらを汚染対象地から除外させれば、たとえ汚染対策事業にゴーサインが出ても、東邦亜鉛の負担金はその分だけ軽くなるからです。
そのために、岡田市長が考えついたのが、市営墓地事業計画です。
↑今年1月1日の地元新年会で住民が初めて知った、市側が描いたとされる市営墓地の計画場所を具体的に示した地図。赤く塗られた範囲が市営墓地。上が北で、東邦亜鉛安中精練所が位置する。↑
■しかし、地元では、市営墓地を誘致するにしても、安全で安心な土地にしてからでないと、土壌汚染対策法に抵触するとして、まず、重金属汚染土壌を取り除くことが先決だという意見が大半を占めています。
そのため、岡田市長は、なんとか、自分の息のかかった岩野谷地区代表区長が在任中に、この事業を進めようと、代表区長の同意書だけで、地元の意向を演出しようとしました。ところが、東京ガスの高圧ガス導管事業で、住民に事業計画を知らせないまま、岡田市長が、この代表区長だけの同意書をもとに、道路管理者として市道の道路占用許可を出したことがバレたため、住民の反発を招いてしまったのです。この市営墓地計画では、いつものやり方でコソコソやるわけにゆかなくなり、岩野谷地区の区長会に対して、平成21年3月31日を期限に、意見書を求めていました。
■そうしたなか、今年3月の安中市定例市議会の一般質問で、小宮ふみ子市議が市営墓地計画について、市側に質問したことが、平成21年4月28日発行の安中市議会だよりに掲載されていました。そこで、当会は、5月14日付けで、次の内容で行政文書開示請求書を安中市に提出しました。
「3月18日の一般質問で、市営墓地の話題について、市側は『構想段階では墓地面積1万5千㎡、千区画程度で、概算5億円を見込んでいる。15年前の計画では、10億円以上の事業費が算出されており、今回は面積、区画とも規模を縮小しての計画ですので、前回の半分以下となっております』と答弁している。これについて、現時点における墓地の位置と面積、区画、概算値積算根拠、工事着手および完工時期の見通し、事業費の原資な肌市営墓地計画に関する一切の情報。なお、市営墓地について、安中市長が岩野谷地区区長会に平成21年3月末を期限に提出を求めた意見書なる文書を含む。」
■すると、平成21年5月29日付け安環発第4761号で、小宮市議の一般質問に対する市側の答弁内容の根拠となる「安中市総合計画実施計画書の市営墓地計画の該当ページ」が開示されました。それによると、環境推進課が、「墓苑建設事業」として、「緑地を確保しながら景観等にも配慮し、市民の実情に応じた墓苑を建設する。面積15,000㎡、分譲区画1,000区画」という事業内で、平成21年度は事務費の支出、平成22年度は調査等、平成23年度は用地買収及び測量設計の予定で、実施計画を立てていることが分かりました。
ところが、肝心の、岩野谷区長会の回答書や、市側が地元に配布した構想図(写真参照)については、開示資料に含まれていませんでした。
■これについて、疑問に思ったところ、開示情報の写しの一覧リストの隅に、「補足説明」として、次の記述がありました。
**********
(補足説明)
・「安中市総合計画実施計画書に計上している市営墓地計画については、構想段階での概算の計上であり、現時点では、市営墓地の建設位置、面積、区画、事業費、工事着手及び完工時期など、具体的に決定しているものはなく、文書はありません。
・なお、市営墓地計画について、岩野谷地区区長会に依頼した平成21年3月末までの地元の意向確認については、3月26日に岩野谷地区区長会長が来庁して市長に面会し、この件について辞退の回答がありましたが、口頭での回答であったため文書はありません。
**********
■驚きました。市長から意見を求められ、各地区の区長から構成される区長会で審議したにもかかわらず、地元代表区長は、口頭で岡田市長に「辞退」回答をしたというのです。これでは、地元区長会の意見結果が証拠として残りません。安中市政お得意の「水面下」での根回しの余地がまるまる残されたことになります。
その後、7月12日に新聞折込された小宮市議の後援会だより「キャッチボール」2009年夏号No.23 によると、6月定例市議会での小宮市議の質問「市営墓地建設計画の進ちょく状況と市長公約についての見解を伺います」に対して、市側は「岩野谷地区では、建設が困難ですが、その他2箇所の候補地があり検討中。建設に向け気持は変わっていません。」と答弁したことが報告されています。
■岡田市長のやりかたをよく知っている地元住民は、「岡田市長が、そう簡単にこの事業をあきらめるはずがない」と思っています。
なにしろ、今年2月の地区別懇談会の場でも、岡田市長と岩野谷地区代表区長は、熱っぽく、東邦亜鉛安中精錬所に近接した候補地にこだわっていたからです。また、昨年来、地元で顔役の安中市幹部職員OBや、農協幹部OBらの名前が、市営墓地の管理人候補などとして噂されて、事実、地権者に市営墓地計画を積極的に持ちかけて、推進工作に余念がなかったためです。
あろうことか、市営墓地を、東邦亜鉛安中精錬所の近くの最も重金属汚染のひどい場所に平気で立地計画するなど、先祖にたいするバチ当たり的な事業計画の立案は、東邦亜鉛と親しい岡田市長ならではの発想といえます。
■ともあれ、ひとまず表面的には収まったように見える北野殿地区における市営墓地の話ですが、いつまた焼けボッ杭に火がつくかもしれませんので、今後も監視が必要です。
岡田市長としては地元住民の反対にあい、さぞ面白くないことでしょうが、だからといって、余計に、東邦亜鉛安中工場周辺の汚染土壌対策事業をジャマされても困ります。こちらのほうは、ぜひとも、積極的に推進してもらいたいものです。
【ひらく会情報部】
もともと農用地の土壌の汚染防止等に関する法律に基づき、国や県、市が、工場周辺の畑地の汚染土壌を入れ替えるための事業計画を策定し、総事業費30数億円を既に手当てしていました。しかし、このうち約10億円程度を負担することになっている東邦亜鉛から政治献金を受けている岡田義弘市長が、この事業そのものを潰そうとする東邦亜鉛の強い意向を受けて、なんとしてでも、東邦亜鉛に有利な方向に誘導させようと、あの手この手で、事業推進のじゃまをしています。その手法の一つが、重金属汚染指定地内で、いろいろな別事業を誘致しようというものです。
協立精工を東邦亜鉛の変電所跡地の隣に持ってきたリ、高崎のオサカベ自動車の誘致のために、タダで取り付け道路をつくってやったりしたのも、その一環ですが、一挙に数ヘクタールもの土地を、汚染土壌対策地域内に設定し、これらを汚染対象地から除外させれば、たとえ汚染対策事業にゴーサインが出ても、東邦亜鉛の負担金はその分だけ軽くなるからです。
そのために、岡田市長が考えついたのが、市営墓地事業計画です。
↑今年1月1日の地元新年会で住民が初めて知った、市側が描いたとされる市営墓地の計画場所を具体的に示した地図。赤く塗られた範囲が市営墓地。上が北で、東邦亜鉛安中精練所が位置する。↑
■しかし、地元では、市営墓地を誘致するにしても、安全で安心な土地にしてからでないと、土壌汚染対策法に抵触するとして、まず、重金属汚染土壌を取り除くことが先決だという意見が大半を占めています。
そのため、岡田市長は、なんとか、自分の息のかかった岩野谷地区代表区長が在任中に、この事業を進めようと、代表区長の同意書だけで、地元の意向を演出しようとしました。ところが、東京ガスの高圧ガス導管事業で、住民に事業計画を知らせないまま、岡田市長が、この代表区長だけの同意書をもとに、道路管理者として市道の道路占用許可を出したことがバレたため、住民の反発を招いてしまったのです。この市営墓地計画では、いつものやり方でコソコソやるわけにゆかなくなり、岩野谷地区の区長会に対して、平成21年3月31日を期限に、意見書を求めていました。
■そうしたなか、今年3月の安中市定例市議会の一般質問で、小宮ふみ子市議が市営墓地計画について、市側に質問したことが、平成21年4月28日発行の安中市議会だよりに掲載されていました。そこで、当会は、5月14日付けで、次の内容で行政文書開示請求書を安中市に提出しました。
「3月18日の一般質問で、市営墓地の話題について、市側は『構想段階では墓地面積1万5千㎡、千区画程度で、概算5億円を見込んでいる。15年前の計画では、10億円以上の事業費が算出されており、今回は面積、区画とも規模を縮小しての計画ですので、前回の半分以下となっております』と答弁している。これについて、現時点における墓地の位置と面積、区画、概算値積算根拠、工事着手および完工時期の見通し、事業費の原資な肌市営墓地計画に関する一切の情報。なお、市営墓地について、安中市長が岩野谷地区区長会に平成21年3月末を期限に提出を求めた意見書なる文書を含む。」
■すると、平成21年5月29日付け安環発第4761号で、小宮市議の一般質問に対する市側の答弁内容の根拠となる「安中市総合計画実施計画書の市営墓地計画の該当ページ」が開示されました。それによると、環境推進課が、「墓苑建設事業」として、「緑地を確保しながら景観等にも配慮し、市民の実情に応じた墓苑を建設する。面積15,000㎡、分譲区画1,000区画」という事業内で、平成21年度は事務費の支出、平成22年度は調査等、平成23年度は用地買収及び測量設計の予定で、実施計画を立てていることが分かりました。
ところが、肝心の、岩野谷区長会の回答書や、市側が地元に配布した構想図(写真参照)については、開示資料に含まれていませんでした。
■これについて、疑問に思ったところ、開示情報の写しの一覧リストの隅に、「補足説明」として、次の記述がありました。
**********
(補足説明)
・「安中市総合計画実施計画書に計上している市営墓地計画については、構想段階での概算の計上であり、現時点では、市営墓地の建設位置、面積、区画、事業費、工事着手及び完工時期など、具体的に決定しているものはなく、文書はありません。
・なお、市営墓地計画について、岩野谷地区区長会に依頼した平成21年3月末までの地元の意向確認については、3月26日に岩野谷地区区長会長が来庁して市長に面会し、この件について辞退の回答がありましたが、口頭での回答であったため文書はありません。
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■驚きました。市長から意見を求められ、各地区の区長から構成される区長会で審議したにもかかわらず、地元代表区長は、口頭で岡田市長に「辞退」回答をしたというのです。これでは、地元区長会の意見結果が証拠として残りません。安中市政お得意の「水面下」での根回しの余地がまるまる残されたことになります。
その後、7月12日に新聞折込された小宮市議の後援会だより「キャッチボール」2009年夏号No.23 によると、6月定例市議会での小宮市議の質問「市営墓地建設計画の進ちょく状況と市長公約についての見解を伺います」に対して、市側は「岩野谷地区では、建設が困難ですが、その他2箇所の候補地があり検討中。建設に向け気持は変わっていません。」と答弁したことが報告されています。
■岡田市長のやりかたをよく知っている地元住民は、「岡田市長が、そう簡単にこの事業をあきらめるはずがない」と思っています。
なにしろ、今年2月の地区別懇談会の場でも、岡田市長と岩野谷地区代表区長は、熱っぽく、東邦亜鉛安中精錬所に近接した候補地にこだわっていたからです。また、昨年来、地元で顔役の安中市幹部職員OBや、農協幹部OBらの名前が、市営墓地の管理人候補などとして噂されて、事実、地権者に市営墓地計画を積極的に持ちかけて、推進工作に余念がなかったためです。
あろうことか、市営墓地を、東邦亜鉛安中精錬所の近くの最も重金属汚染のひどい場所に平気で立地計画するなど、先祖にたいするバチ当たり的な事業計画の立案は、東邦亜鉛と親しい岡田市長ならではの発想といえます。
■ともあれ、ひとまず表面的には収まったように見える北野殿地区における市営墓地の話ですが、いつまた焼けボッ杭に火がつくかもしれませんので、今後も監視が必要です。
岡田市長としては地元住民の反対にあい、さぞ面白くないことでしょうが、だからといって、余計に、東邦亜鉛安中工場周辺の汚染土壌対策事業をジャマされても困ります。こちらのほうは、ぜひとも、積極的に推進してもらいたいものです。
【ひらく会情報部】