■市民オンブズマン群馬は、7月28日に、群馬県内自治体情報公開度の調査結果を県庁記者クラブで発表しました。あわせて、各自治体に礼状とともに採点経緯など詳細資料を同会事務局から発送しました。
今回の、調査に協力いただいた関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。なお、採点経緯など詳細資料が必要な方は、同会事務局あてメールでお問い合わせ下さい。
調査の結果(ランキング)は、以下のとおりです。
1位は、群馬県(85点)、2位は前橋市(84点)、以下、伊勢崎市(67点)、安中市(64点)、高崎市(62点)、太田市(55点)、みどり市(50点)、館林市(41点)、渋川市(39点)、藤岡市(38点)、富岡市(28点)、桐生市(28点)の順で最下位は沼田市(26点)でした。自治体間の差が予想以上に大きく開きました。
群馬県と前橋市が「優」、良は該当なし、伊勢崎市、安中市、高崎市が「可」、他の自治体は「不可(落第)」と言えるでしょう。
群馬県と前橋市は「優」としましたが、昨年の全国47都道府県のランキングでは、群馬県は35位と下位です。不可となった自治体の情報公開は、まったくお話にならないレベルと言えます。各地で地道に情報公開請求を続ける必要を改めて感じました。
■群馬県内自治体情報公開度ランキング(2009年7月28日 市民オンブズマン群馬 発表)
1.はじめに
当会では、全国市民オンブズマン連絡会議の呼びかけに応じ、県内自治体の情報公開度を調査し、それを独自の基準に照らして評価し県内自治体の情報公開度ランキングを作成しました。調査の対象としたのは、群馬県及び県内の12市です。
ランキングの評価は、原則として2009年の1ないし3月に各自治体に対して行ったアンケート調査の結果(不明点の聞き取りも含む)、2008年1月ないし6月にかけて行った情報公開請求、 自治体のwebページに掲載された情報をもとに行いました。
2.評価項目・採点基準等
(1) はじめに
情報公開度ランキングは、①行政文書の公開(透明)度、②請求権者の範囲、コピー代、開示手続など制度運用の2面から評価しました。
(2) 評価対象項目及び配点
評価は100点満点で行いました。評価項目毎の配点は以下の通り、詳細な採点基準は別表2の通りです。
① 行政文書の公開(透明)度(小計50点)
首長交際費の相手方情報(25点)、A4コピー用紙の予定価格情報(25点)
② 制度運用(小計50点)
請求権者の範囲(20点)、行政文書のコピー代(10点)、非開示部分・理由の説明の程度(10点)、異議申し立て及び取消訴訟の教示の有無(10点)。
上記以外に情報公開に関わる重要事項について、特段の事項があった場合は、減点、加点をしました。
なお、評価対象項目は、全国市民オンブズマン連絡会議が設定したものをベースとしましたが、群馬独自の項目として、非開示部分・理由の説明の程度、異議申し立て及び取消訴訟の教示の有無を追加しました。その理由は、実際に調査を進めていく中で、県内の多くの自治体においてこれらの項目の対応が極めて不適切であると感じたからです。
3.調査日時・調査方法
(1) アンケート調査
2009年1月ないし3月に別紙のアンケートを当会事務局より各自治体に送付もしくは当会会員が持参し、同年3月末日までの回答を依頼しました。どの自治体もアンケートには協力的であり、全ての自治体から迅速に回答が得られました。
(2) 情報公開請求
2009年1月ないし6月にかけて、各地の当会会員が各自治体に対して、以下の行政文書の情報公開請求を行いました。
① 2008年8ないし10月に支出した首長交際費に関する支出金調書、現金出納簿またはこれに類する文書
② 2008年1ないし12月に入札が行われた、A4コピー用紙の購入契約について、予定価格と入札価格、落札価格のわかるもの
なお、請求権者を住民に限定している自治体にあって、当該自治体に請求権者となる当会会員が見あたらなかった場合については、任意開示を期待して、当該自治体の住民でない会員が情報公開請求を行いました。
(3) 聞き取り調査
アンケートの回答と、情報公開請求によって得られた開示文書に食い違いが多く見られたので、2009年5月ないし7月にかけて、各自治体の担当者に電話で問い合わせ、採点に際して必要な補正を行いました。詳細は別表3-1及び2のとおりです。
(4) 自治体のwebページの調査
自治体のwebページを閲覧し、情報公開条例、同施行規則、交際費情報、入札情報などを確認しました。
4.調査結果
調査の結果(ランキング)は別表1のとおりです。
1位は、群馬県(85点)、2位は前橋市(84点)、以下、伊勢崎市(67点)、安中市(64点)、高崎市(62点)、太田市(55点)、みどり市(50点)、館林市(41点)、渋川市(39点)、藤岡市(38点)、富岡市(28点)、桐生市(28点)の順で最下位は沼田市(26点)でした。自治体間の差が予想以上に大きく開きました。
群馬県と前橋市が「優」、良は該当なし、伊勢崎市、安中市、高崎市が「可」、他の自治体は「不可(落第)」と言えるでしょう。
5.問題点等
(1) 非開示の箇所の特定及び非開示理由の説明不足が目立ちました。黒塗りが沢山ある場合、全ての黒塗りについて逐一条例上の根拠が何か解るようにすべきです。
(2) 「個人情報だから」という理由しか書いていない事例が散見されました。
(3) 非開示場所の説明と実際の黒塗り箇所が一致していない事例が散見されました。また消し忘れも散見されました。
(4) 条例上の非開示理由がないにも関わらず、開示請求している情報ではないという理由で黒塗りにしている事例が目立ちます。不要な作業であるし、これでは、原則公開ではなく原則非公開になってしまいます。 以上
【別表1】 群馬県内自治体情報公開度調査結果(ランキング)
自治体名/首長交際費/入札結果調書/請求権者/コピー代/非開示理由/教示の有無/減点/加点/合計/順位/備考
配点/25/25/20/10/10/10/-/-/100/-/-
■群馬県/20/15/20/10/10/10/-/-/85/1/-
■前橋市/20/15/20/10/9/10/-/-/84/2/-
■伊勢崎市/10/20/10/10/7/10/-5/+5/67/3/入札情報についての非開示箇所、理由を別表で説明(+5)、請求外情報を黒塗りとした(-5)
■安中市/10/10/20/10/4/10/-5/+5/64/4/開示文書一覧を別表で丁寧に説明(+5)、請求外情報を黒塗りとした(-5)
■高崎市/10/10/20/10/4/8/-/-/62/5/-
■太田市/10/15/10/10/5/5/-/-/55/6/-
■みどり市/5/20/5/10/0/10/-/-/50/7/-
■館林市/5/0/20/10/3/8/-5/-/41/8/請求外情報を黒塗りとした(-5)
■渋川市/10/0/20/5/4/10/-10/-/39/9/職務執行にかかる公務員氏名を非公開とした(-5)、請求外情報を黒塗りとした(-5)
■藤岡市/10/0/10/10/8/5/-5/-/38/10/請求外情報を黒塗りとした(-5)
■富岡市/10/0/5/10/3/10/-10/-/28/11/部分開示なのに全面開示決定書だった(-5)、請求外情報を黒塗りとした(-5)
■桐生市/5/0/5/10/3/5/-/-/28/11/-
■沼田市/5/0/0/10/6/10/-5/-/26/13/決定書では個人名、続柄を非開示としているのに、開示文書では職名が非開示となっている(-5)
【別表2】 群馬県内自治体情報公開度ランキング採点基準
●交際費/首長交際費の相手方情報/区分A~F(採点基準)/配点25
A:相手方の個人名まで全面公開(25)
B:一部の個人名のみ非公開(20)
C:非個人の公開+個人名のほとんどが公開(15)
D:非個人の公開+個人名の一部の公開(10)
E:非個人の公開+個人名の非公開(5)
F:非個人の一部の公開(個人一部公開も含む)(0)
●予定価格情報/A4コピー用紙の予定価格情報/区分A~E(採点基準)/配点25
A:予定価格を入札前に情報公開請求によらず公表する制度がある(25)
B:予定価格を入札後に公表する制度がある(20)
C:入札後に情報公開請求があれば予定価格を開示する(15)
D:情報公開請求でも開示せず(10)
E:予定価格を作成せず(0)
●制度運用/請求権者/区分A~E(採点基準)/配点20
A:何人も情報公開請求可能(20)
B:広義住民以外の人は、理由を書けば情報公開請求可能(条例に記載あり)(15)
C:広義住民のみ情報公開請求可能だが任意開示に応じた(任意開示制度あり)(10)
D:広義住民のみ情報公開請求可能だが任意開示に応じた(5)
E:広義住民のみ情報公開請求可能だが任意開示を拒否した(0)
●制度運用/A4一枚あたりの複写料(円)/区分A~B(採点基準)/配点10
A:10円(10)
B:20円以上(10円毎に5点減)
●制度運用/非開示部分の説明/区分A~F(採点基準)/配点5
A:説明によって公開できない部分が具体的に特定できる(5)
B:説明によって公開できない部分がほぼ特定できる(4)
C:説明があるが具体的でなく特定しにくい(3)
D:説明があるがわかりにくく特定が困難(2)
E:説明があるが漠然としていて特定できない(1)
F:説明がない、あるいは意味不明(0)
●制度運用/非開示理由の説明/区分A~F(採点基準)/配点5
A:条例の提示があり、解りやすい説明がある(5)
B:条例の提示があるが、理由の説明が解りにくい(4)
C:条例の提示があるが、理由の説明がない(3)
D:条例の提示はないが、理由の説明はある(2)
E:条例の提示がない、理由の説明はあるが解りにくい(1)
F:条例の提示も理由の説明もない、あるいはあっても意味不明(0)
●制度運用/教示の有無/区分A~D(採点基準)/配点10
A:異議申し立て、取消訴訟の提起について教示がある(10)
B:異議申し立て、取消訴訟の提起について教示があるが、解りにくい。(例:異議申立先が実施機関となっている)(8)
C:異議申し立て、取消訴訟の提起の片方しか教示がない(5)
D:教示がない(0)
●加点/情報公開の趣旨に添った努力がある/1項目5点
●減点/情報公開に趣旨に反した取扱がある/1項目5点
●合計/100点満点
<アンケート回答を変更したもの及び注意事項について>
【別表3-1】首長交際費
自治体名/概要
■群馬県/Bとの回答だが、20年度は病気見舞いの支出がないので、ホームページで確認したところ19年度に2件の支出があった。(変更無し)
■太田市/Eとの回答だが、個人名(県幹部)が開示されている事例があったので、担当者に確認したところ、公人については公開するとのことなので、Dとした。
■桐生市/Eとの回答だが、個人名(元助役)が開示されている事例があったので、担当者に確認したところ、消し忘れとのことなので、Eのままとした。(変更無し)
■渋川市/Fとの回答であったが、個人名が開示されている事例があり、かつ、非個人名については全て開示されていたので、担当者に確認のうえDに変更した。
■館林市/開示された資料では、支出の相手先が多く消されているが、これは法人・団体代表者の個人名が書かれているので消したとのこと。(変更無し)
■富岡市/Eとの回答だが、個人名(中曽根、小渕大臣)が開示されている事例があったので、担当者に確認したところ、公人については、公開することがある(基準はなくケースバイケースで対応)とのことなので、Dとした。
■沼田市/Fとの回答だが、非個人については非開示事例がない(具体的な想定もない)のでEとした。
■藤岡市/Eとの回答だが、個人名(議長など複数)の記載があるので、Dとした(担当者に公人は公開する旨確認済)。
■前橋市/Bとの回答だが、期間中病気見舞いの支出がないので、担当者に確認したところ、年に1度くらいあるとのこと。(変更無し)
■みどり市/Fとの回答であったが、個人名の記載があったので担当者に確認したところ、消し忘れとのこと。ただし、非個人の非開示事例がない(具体的な想定もない)とのことなのでEとした。
【別表3-2】入札結果調書
自治体名/概要
■安中市/随意契約(変更無し)
■伊勢崎市/予定価格はAとなっており、webページで実際に事前に公開していることも確認した。しかし、単価契約としているにも関わらず、他のサイズの用紙と合算した総額の予定価格が開示されただけで、A4の予定価格(単価)が開示されていない(県は単価まで開示)。
■桐生市/随意契約。Dとの回答だが、予定価格が存在しない(制定していない)のでEとした(担当者に確認済)。
■渋川市/特命随意契約。Cとの回答だが、予定価格が存在しない(制定していない)のでEとした(担当者に確認済)。
■館林市/随意契約。Cとの回答だが、予定価格が存在しない(制定していない)のでEとした(担当者に確認済)。
■富岡市/随意契約。アンケートに該当なしとの回答だが、予定価格が存在しない(制定していない)のでEとした。
■沼田市/随意契約。Dとの回答だが、予定価格が存在しない(制定していない)のでEとした(担当者に確認済)。
■藤岡市/随意契約。Cとの回答だが、予定価格が存在しない(制定していないのでEとした。
■みどり市/入札。単価契約としているにも関わらず、他のサイズの用紙と合算した総額の予定価格が開示されただけで、A4の予定価格(単価)が開示されていない。(変更無し)
【別表3-3】請求権者を限定している自治体の調査結果詳細
自治体名/概要
■伊勢崎市/任意開示制度あり。
■太田市/任意開示制度あり。
■桐生市/任意開示した。なお、任意的開示制度があるが、条例施行前の文書の公開に関するもので、市民以外を対象にしたものではない。
■富岡市/任意開示した。
■沼田市/住民以外の開示を拒否した。その後、沼田市民が開示請求した。
■藤岡市/任意開示制度あり。
■みどり市/任意開示した。B(請求理由を書けば住民でなくても請求可)との回答(実際に開示した)だったが、条例にはその旨記載がないのでCとした。
■当会は、今回の県内自治体情報公開ランキング調査で、安中市を担当しました。
当会は、長年にわたり、安中市土地開発公社を巡る巨額詐欺横領事件や、サイボウ環境の廃棄物処分場問題、また日刊ゴルフ場問題等の取組みを通じて、安中市や群馬県との間で多くの取消訴訟を提起してきました。今回、トップにランクされた群馬県はもとより、わが安中市が、群馬県と県内12市を対象に実施された情報公開ランキング調査の結果、第4位となった背景には、当会の活動による啓蒙の成果もそれなりに反映されているものと考えています。
県内では、安中市は割合上位にランクされましたが、全国平均でみると、群馬県自体の情報開示のレベルが低く、まだまだ改善の余地は大きいのが実態です。情報公開と説明責任を公約に掲げた岡田市長は、今回の結果を自らの公約の成果だとして自画自賛するかもしれませんが、むしろ、今回の結果の功績は、情報開示に真摯に取り組んできた当会の努力に報いてきた安中市の情報開示担当者らの切磋琢磨の賜物でしょう。さらに、県内トップ、そして、全国の最高位を目指すために重要なことは、私たち市民としても、常に行政の監視を継続してゆく姿勢を保つことだと思います。
今後とも、安中市のオンブズマンとして、当会は情報開示を通じて、開かれた安中市政の実現に向けて尽力してまいります。
【ひらく会情報部】
今回の、調査に協力いただいた関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。なお、採点経緯など詳細資料が必要な方は、同会事務局あてメールでお問い合わせ下さい。
調査の結果(ランキング)は、以下のとおりです。
1位は、群馬県(85点)、2位は前橋市(84点)、以下、伊勢崎市(67点)、安中市(64点)、高崎市(62点)、太田市(55点)、みどり市(50点)、館林市(41点)、渋川市(39点)、藤岡市(38点)、富岡市(28点)、桐生市(28点)の順で最下位は沼田市(26点)でした。自治体間の差が予想以上に大きく開きました。
群馬県と前橋市が「優」、良は該当なし、伊勢崎市、安中市、高崎市が「可」、他の自治体は「不可(落第)」と言えるでしょう。
群馬県と前橋市は「優」としましたが、昨年の全国47都道府県のランキングでは、群馬県は35位と下位です。不可となった自治体の情報公開は、まったくお話にならないレベルと言えます。各地で地道に情報公開請求を続ける必要を改めて感じました。
■群馬県内自治体情報公開度ランキング(2009年7月28日 市民オンブズマン群馬 発表)
1.はじめに
当会では、全国市民オンブズマン連絡会議の呼びかけに応じ、県内自治体の情報公開度を調査し、それを独自の基準に照らして評価し県内自治体の情報公開度ランキングを作成しました。調査の対象としたのは、群馬県及び県内の12市です。
ランキングの評価は、原則として2009年の1ないし3月に各自治体に対して行ったアンケート調査の結果(不明点の聞き取りも含む)、2008年1月ないし6月にかけて行った情報公開請求、 自治体のwebページに掲載された情報をもとに行いました。
2.評価項目・採点基準等
(1) はじめに
情報公開度ランキングは、①行政文書の公開(透明)度、②請求権者の範囲、コピー代、開示手続など制度運用の2面から評価しました。
(2) 評価対象項目及び配点
評価は100点満点で行いました。評価項目毎の配点は以下の通り、詳細な採点基準は別表2の通りです。
① 行政文書の公開(透明)度(小計50点)
首長交際費の相手方情報(25点)、A4コピー用紙の予定価格情報(25点)
② 制度運用(小計50点)
請求権者の範囲(20点)、行政文書のコピー代(10点)、非開示部分・理由の説明の程度(10点)、異議申し立て及び取消訴訟の教示の有無(10点)。
上記以外に情報公開に関わる重要事項について、特段の事項があった場合は、減点、加点をしました。
なお、評価対象項目は、全国市民オンブズマン連絡会議が設定したものをベースとしましたが、群馬独自の項目として、非開示部分・理由の説明の程度、異議申し立て及び取消訴訟の教示の有無を追加しました。その理由は、実際に調査を進めていく中で、県内の多くの自治体においてこれらの項目の対応が極めて不適切であると感じたからです。
3.調査日時・調査方法
(1) アンケート調査
2009年1月ないし3月に別紙のアンケートを当会事務局より各自治体に送付もしくは当会会員が持参し、同年3月末日までの回答を依頼しました。どの自治体もアンケートには協力的であり、全ての自治体から迅速に回答が得られました。
(2) 情報公開請求
2009年1月ないし6月にかけて、各地の当会会員が各自治体に対して、以下の行政文書の情報公開請求を行いました。
① 2008年8ないし10月に支出した首長交際費に関する支出金調書、現金出納簿またはこれに類する文書
② 2008年1ないし12月に入札が行われた、A4コピー用紙の購入契約について、予定価格と入札価格、落札価格のわかるもの
なお、請求権者を住民に限定している自治体にあって、当該自治体に請求権者となる当会会員が見あたらなかった場合については、任意開示を期待して、当該自治体の住民でない会員が情報公開請求を行いました。
(3) 聞き取り調査
アンケートの回答と、情報公開請求によって得られた開示文書に食い違いが多く見られたので、2009年5月ないし7月にかけて、各自治体の担当者に電話で問い合わせ、採点に際して必要な補正を行いました。詳細は別表3-1及び2のとおりです。
(4) 自治体のwebページの調査
自治体のwebページを閲覧し、情報公開条例、同施行規則、交際費情報、入札情報などを確認しました。
4.調査結果
調査の結果(ランキング)は別表1のとおりです。
1位は、群馬県(85点)、2位は前橋市(84点)、以下、伊勢崎市(67点)、安中市(64点)、高崎市(62点)、太田市(55点)、みどり市(50点)、館林市(41点)、渋川市(39点)、藤岡市(38点)、富岡市(28点)、桐生市(28点)の順で最下位は沼田市(26点)でした。自治体間の差が予想以上に大きく開きました。
群馬県と前橋市が「優」、良は該当なし、伊勢崎市、安中市、高崎市が「可」、他の自治体は「不可(落第)」と言えるでしょう。
5.問題点等
(1) 非開示の箇所の特定及び非開示理由の説明不足が目立ちました。黒塗りが沢山ある場合、全ての黒塗りについて逐一条例上の根拠が何か解るようにすべきです。
(2) 「個人情報だから」という理由しか書いていない事例が散見されました。
(3) 非開示場所の説明と実際の黒塗り箇所が一致していない事例が散見されました。また消し忘れも散見されました。
(4) 条例上の非開示理由がないにも関わらず、開示請求している情報ではないという理由で黒塗りにしている事例が目立ちます。不要な作業であるし、これでは、原則公開ではなく原則非公開になってしまいます。 以上
【別表1】 群馬県内自治体情報公開度調査結果(ランキング)
自治体名/首長交際費/入札結果調書/請求権者/コピー代/非開示理由/教示の有無/減点/加点/合計/順位/備考
配点/25/25/20/10/10/10/-/-/100/-/-
■群馬県/20/15/20/10/10/10/-/-/85/1/-
■前橋市/20/15/20/10/9/10/-/-/84/2/-
■伊勢崎市/10/20/10/10/7/10/-5/+5/67/3/入札情報についての非開示箇所、理由を別表で説明(+5)、請求外情報を黒塗りとした(-5)
■安中市/10/10/20/10/4/10/-5/+5/64/4/開示文書一覧を別表で丁寧に説明(+5)、請求外情報を黒塗りとした(-5)
■高崎市/10/10/20/10/4/8/-/-/62/5/-
■太田市/10/15/10/10/5/5/-/-/55/6/-
■みどり市/5/20/5/10/0/10/-/-/50/7/-
■館林市/5/0/20/10/3/8/-5/-/41/8/請求外情報を黒塗りとした(-5)
■渋川市/10/0/20/5/4/10/-10/-/39/9/職務執行にかかる公務員氏名を非公開とした(-5)、請求外情報を黒塗りとした(-5)
■藤岡市/10/0/10/10/8/5/-5/-/38/10/請求外情報を黒塗りとした(-5)
■富岡市/10/0/5/10/3/10/-10/-/28/11/部分開示なのに全面開示決定書だった(-5)、請求外情報を黒塗りとした(-5)
■桐生市/5/0/5/10/3/5/-/-/28/11/-
■沼田市/5/0/0/10/6/10/-5/-/26/13/決定書では個人名、続柄を非開示としているのに、開示文書では職名が非開示となっている(-5)
【別表2】 群馬県内自治体情報公開度ランキング採点基準
●交際費/首長交際費の相手方情報/区分A~F(採点基準)/配点25
A:相手方の個人名まで全面公開(25)
B:一部の個人名のみ非公開(20)
C:非個人の公開+個人名のほとんどが公開(15)
D:非個人の公開+個人名の一部の公開(10)
E:非個人の公開+個人名の非公開(5)
F:非個人の一部の公開(個人一部公開も含む)(0)
●予定価格情報/A4コピー用紙の予定価格情報/区分A~E(採点基準)/配点25
A:予定価格を入札前に情報公開請求によらず公表する制度がある(25)
B:予定価格を入札後に公表する制度がある(20)
C:入札後に情報公開請求があれば予定価格を開示する(15)
D:情報公開請求でも開示せず(10)
E:予定価格を作成せず(0)
●制度運用/請求権者/区分A~E(採点基準)/配点20
A:何人も情報公開請求可能(20)
B:広義住民以外の人は、理由を書けば情報公開請求可能(条例に記載あり)(15)
C:広義住民のみ情報公開請求可能だが任意開示に応じた(任意開示制度あり)(10)
D:広義住民のみ情報公開請求可能だが任意開示に応じた(5)
E:広義住民のみ情報公開請求可能だが任意開示を拒否した(0)
●制度運用/A4一枚あたりの複写料(円)/区分A~B(採点基準)/配点10
A:10円(10)
B:20円以上(10円毎に5点減)
●制度運用/非開示部分の説明/区分A~F(採点基準)/配点5
A:説明によって公開できない部分が具体的に特定できる(5)
B:説明によって公開できない部分がほぼ特定できる(4)
C:説明があるが具体的でなく特定しにくい(3)
D:説明があるがわかりにくく特定が困難(2)
E:説明があるが漠然としていて特定できない(1)
F:説明がない、あるいは意味不明(0)
●制度運用/非開示理由の説明/区分A~F(採点基準)/配点5
A:条例の提示があり、解りやすい説明がある(5)
B:条例の提示があるが、理由の説明が解りにくい(4)
C:条例の提示があるが、理由の説明がない(3)
D:条例の提示はないが、理由の説明はある(2)
E:条例の提示がない、理由の説明はあるが解りにくい(1)
F:条例の提示も理由の説明もない、あるいはあっても意味不明(0)
●制度運用/教示の有無/区分A~D(採点基準)/配点10
A:異議申し立て、取消訴訟の提起について教示がある(10)
B:異議申し立て、取消訴訟の提起について教示があるが、解りにくい。(例:異議申立先が実施機関となっている)(8)
C:異議申し立て、取消訴訟の提起の片方しか教示がない(5)
D:教示がない(0)
●加点/情報公開の趣旨に添った努力がある/1項目5点
●減点/情報公開に趣旨に反した取扱がある/1項目5点
●合計/100点満点
<アンケート回答を変更したもの及び注意事項について>
【別表3-1】首長交際費
自治体名/概要
■群馬県/Bとの回答だが、20年度は病気見舞いの支出がないので、ホームページで確認したところ19年度に2件の支出があった。(変更無し)
■太田市/Eとの回答だが、個人名(県幹部)が開示されている事例があったので、担当者に確認したところ、公人については公開するとのことなので、Dとした。
■桐生市/Eとの回答だが、個人名(元助役)が開示されている事例があったので、担当者に確認したところ、消し忘れとのことなので、Eのままとした。(変更無し)
■渋川市/Fとの回答であったが、個人名が開示されている事例があり、かつ、非個人名については全て開示されていたので、担当者に確認のうえDに変更した。
■館林市/開示された資料では、支出の相手先が多く消されているが、これは法人・団体代表者の個人名が書かれているので消したとのこと。(変更無し)
■富岡市/Eとの回答だが、個人名(中曽根、小渕大臣)が開示されている事例があったので、担当者に確認したところ、公人については、公開することがある(基準はなくケースバイケースで対応)とのことなので、Dとした。
■沼田市/Fとの回答だが、非個人については非開示事例がない(具体的な想定もない)のでEとした。
■藤岡市/Eとの回答だが、個人名(議長など複数)の記載があるので、Dとした(担当者に公人は公開する旨確認済)。
■前橋市/Bとの回答だが、期間中病気見舞いの支出がないので、担当者に確認したところ、年に1度くらいあるとのこと。(変更無し)
■みどり市/Fとの回答であったが、個人名の記載があったので担当者に確認したところ、消し忘れとのこと。ただし、非個人の非開示事例がない(具体的な想定もない)とのことなのでEとした。
【別表3-2】入札結果調書
自治体名/概要
■安中市/随意契約(変更無し)
■伊勢崎市/予定価格はAとなっており、webページで実際に事前に公開していることも確認した。しかし、単価契約としているにも関わらず、他のサイズの用紙と合算した総額の予定価格が開示されただけで、A4の予定価格(単価)が開示されていない(県は単価まで開示)。
■桐生市/随意契約。Dとの回答だが、予定価格が存在しない(制定していない)のでEとした(担当者に確認済)。
■渋川市/特命随意契約。Cとの回答だが、予定価格が存在しない(制定していない)のでEとした(担当者に確認済)。
■館林市/随意契約。Cとの回答だが、予定価格が存在しない(制定していない)のでEとした(担当者に確認済)。
■富岡市/随意契約。アンケートに該当なしとの回答だが、予定価格が存在しない(制定していない)のでEとした。
■沼田市/随意契約。Dとの回答だが、予定価格が存在しない(制定していない)のでEとした(担当者に確認済)。
■藤岡市/随意契約。Cとの回答だが、予定価格が存在しない(制定していないのでEとした。
■みどり市/入札。単価契約としているにも関わらず、他のサイズの用紙と合算した総額の予定価格が開示されただけで、A4の予定価格(単価)が開示されていない。(変更無し)
【別表3-3】請求権者を限定している自治体の調査結果詳細
自治体名/概要
■伊勢崎市/任意開示制度あり。
■太田市/任意開示制度あり。
■桐生市/任意開示した。なお、任意的開示制度があるが、条例施行前の文書の公開に関するもので、市民以外を対象にしたものではない。
■富岡市/任意開示した。
■沼田市/住民以外の開示を拒否した。その後、沼田市民が開示請求した。
■藤岡市/任意開示制度あり。
■みどり市/任意開示した。B(請求理由を書けば住民でなくても請求可)との回答(実際に開示した)だったが、条例にはその旨記載がないのでCとした。
■当会は、今回の県内自治体情報公開ランキング調査で、安中市を担当しました。
当会は、長年にわたり、安中市土地開発公社を巡る巨額詐欺横領事件や、サイボウ環境の廃棄物処分場問題、また日刊ゴルフ場問題等の取組みを通じて、安中市や群馬県との間で多くの取消訴訟を提起してきました。今回、トップにランクされた群馬県はもとより、わが安中市が、群馬県と県内12市を対象に実施された情報公開ランキング調査の結果、第4位となった背景には、当会の活動による啓蒙の成果もそれなりに反映されているものと考えています。
県内では、安中市は割合上位にランクされましたが、全国平均でみると、群馬県自体の情報開示のレベルが低く、まだまだ改善の余地は大きいのが実態です。情報公開と説明責任を公約に掲げた岡田市長は、今回の結果を自らの公約の成果だとして自画自賛するかもしれませんが、むしろ、今回の結果の功績は、情報開示に真摯に取り組んできた当会の努力に報いてきた安中市の情報開示担当者らの切磋琢磨の賜物でしょう。さらに、県内トップ、そして、全国の最高位を目指すために重要なことは、私たち市民としても、常に行政の監視を継続してゆく姿勢を保つことだと思います。
今後とも、安中市のオンブズマンとして、当会は情報開示を通じて、開かれた安中市政の実現に向けて尽力してまいります。
【ひらく会情報部】