■2011年の大晦日の夜、重大ニュースが日本列島を駆け巡りました。特別手配されていた元オウム真理教幹部、平田信容疑者(46)が12月31日夜、突然警視庁本部に出頭し、翌1日、警視庁に逮捕監禁致死容疑で逮捕されたからです。17年近くの逃亡生活から一転、オウム真理教事件の一連の裁判が昨年12月に終わったばかりという時期に、17年近くの逃亡生活から一転して、なぜシャバに姿を晒したのか、また、17年近い逃亡生活は一体どうしていたのか、誰がかくまっていたのか、などについて、新年早々、世間は大騒ぎです。
と思ったら、2012年1月10日未明、東京・大崎署に平田と長年一緒にいたという女性が平田信の滝本弁護士につきそわれて出頭してきました。この騒ぎは当分続くものと見られ、17年前の事件に、世論が沸騰しています。
この騒ぎを目の当たりにした安中市民は、同じく1995年の6月1日に公表された安中市土地開発公社を舞台に地方自治体では史上最高額の51億円巨額詐欺横領事件のことに思いが及びました。余りにもタイミングが良すぎるからです。オウム事件とタゴ51億円事件の相関性についてチェックしてみました。
↑さっそく派出所の掲示板には「ご協力ありがとうございました」の張り紙が平田信容疑者の顔写真の上に貼られている。↑
■平田信容疑者は、1995年に起きた目黒公証役場事務長拉致事件で、警察庁に特別手配されていました。警視庁本部に出頭しようとした際に、平田信容疑者を機動隊員が門前払いするなどしたため、警察庁は1月6日に全国の警察本部に対し、特別手配容疑者や重要指名手配容疑者の要旨や身体的特徴の周知徹底を図るよう通達しました。17年という歳月はそれくらいの風化作用があります。
警察庁の通達によれば、「指名手配容疑者が出頭することなどあり得ないとの先入観を捨て、業務に当たるように」と求めており、指名手配容疑者の顔写真や身体的特徴が書かれた「携帯手配書」の活用なども指示しました。オウム事件の特別手配容疑者2人に関しては、1995年3月におきた地下鉄サリン事件後に採用された警察職員が、相当増えているため、「オウム事件の概要などの説明も必要だ」としています。
■「なぜ今ごろになって」と、オウム事件の被害者らにとっても、今回の平田信容疑者の突然の出頭は予想外の展開でした。とくに、1995年2月に拉致され死亡した目黒公証役場事務長の仮谷清志さん(当時68歳)の長男、実さん(51)は1月1日午前、都内の自宅前で、記者団に対して「遺族としては真実を知りたいというのが切実な願い」と語りました。
実さんは、清志さんが死亡した経緯について疑念を抱いていて、真相解明に期待を抱いています。しかし、これまでも教団に振り回された清志さんは、平田信容疑者の「一区切り付けたかった」という供述をそのまま受け取れないと言います。「信者にかくまわれていた可能性もやっぱりあると思う」と指摘したうえで、事件の共謀者が公判中の場合は死刑が執行されないというルールがあるため、「出てくるタイミングが良すぎるのでは。幹部の死刑執行を延期する為とも受け止められる」とも加えました。こうした見方は、1月10日に平田をかくまっていた女性信者の出頭でますます正しいことが判明しています。
↑教祖サマの刑の執行をストップさせる為に、依然として逃亡中の2名も出頭してくる可能性もあるという。依然として教師サマに帰依している信者らが多いのがオウム事件の特徴。一方、安中市土地開発公社のタゴ事件では、罪を一身にひっかぶったタゴに帰依している信者がまだ市役所のOBや幹部に多いことから、14億円を超える使途不明金の行方が分からないように、今回の絵画等6点の絵柄情報も必死で隠そうとしていることがよくわかる。よく似た事件だが、事件当事者や警察の対応は全く異なっているところが興味深い。
↑今回の平田信容疑者の場合、本人出頭の為、懸賞金500万円は節約できましたが、このほかにも懸賞金がかかっている人物がたくさんいるので、よく記憶にとどめてすれ違う人たちの表情をよく観察しよう。↑
■この一連のニュースで感じられることは、「オウム事件が、まだ動いている」ということです。1995年5月に発覚して1996年4月にタゴ容疑者に懲役14年の刑が科せられ、その後、1998年12月に安中市・公社と群馬銀行との民事裁判が和解となり、同年3月に公社がタゴ容疑者に損害賠償請求訴訟を起こし、同年6月に勝訴したあと、完全に事件が封印されたタゴ51億円事件とは相当異なりますが、オウム事件もこれまでたくさんの容疑者をめぐる裁判が行われてきました。
タゴ51億円事件は安中市土地開発公社の元職員タゴの単独犯行と看做され、そのほか多数の共犯者らはお咎めなしとなりました。一方、オウム真理教事件では、松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚を初め、教団幹部らが法廷の場で裁かれて服役していますが、平田信容疑者の出頭により、同容疑者に支援者らがいて、とくに教祖だった松本智津夫の死刑の執行を遅らせようとして出頭させた意図が明らかなので、支援者が松本死刑囚に今も帰依している可能性があるとの見方がされています。だから、警察も異例の顔写真や防犯カメラの映像写真をどんどん公表して、平田信容疑者の足取りを確認し、逃亡を手助けした関係者らの洗い出しにやっきとなっているのです。
■一方のタゴ51億円事件でも、同様に、たくさんの共犯者や利害関係者がおります。民事の為、時効期間が短いこともあり、刑事罰を科することはできませんが、社会に与えた事件のインパクトとしては、決してオウム事件に劣るものではありません。にもかかわらず、警察も検察も裁判所も、まして、事件の舞台となった安中市も、タゴ事件に対してはまったく真相解明、責任所在の明確化、再発防止について、消極的です。というか、むしろ、事件の真相のベールをかけっぱなしという感じです。
タゴ51億円事件でも、発覚から17年近い歳月が経過していますが、この間、タゴの弟が経営する多胡運輸が3年半前に起こした首都高での出光タンクローリー横転炎上事故という首都高史上最大の損害事故が起きましたが、マスコミは全くこの事故の報道に不熱心でした。また、2010年4月の安中市長選挙の投開票日の翌日に、タゴの知人からタゴの妻に対して、タゴが事件で服役する直前に預かったという絵画等6点を返却するとの申し入れがあり、それをタゴの妻が安中市土地開発公社に、タゴ51億円事件の損害賠償の一部として寄贈するという事実が発覚しました。
■安中市民としては、いわば、今回の平田信容疑者の出頭のような出来事でしたが、なぜか公社も安中市も、市民に対して、どのような経緯で絵画等6点が寄贈されたのか、知らせようとしませんでした。
そのため当会では、情報開示請求により、安中市に絵画等6点の絵柄情報の開示を求め、それにより、真贋を第3者に判定してもらうことのほか、なぜタゴが知人にこれらを預けたのか、知人はタゴがこれらを購入する際になぜ仲介したのか、またその際に真贋を確認したはずなのになぜタゴに返却する際に「ホンモノかどうか」について説明しなかったのか、これらの絵画等6点を、どこの古美術商から購入したのか、その際に現金で代金を支払ったにしてもなぜ領収書とか納品書を残さなかったのか、などを明らかにしようとしました。
しかし、安中市土地開発公社の岡田義弘理事長は、かたくなに情報公開を拒み、安中市の岡田義弘市長も、公社の姿勢を全面的に支持しました。さらに、裁判所もそうした公社や安中市の対応を支持したため、当会の請求はことごとく棄却されました。そのため、先週金曜日、1月6日は12月22日の東京高裁の棄却判決の判決文到着日の翌日から数えて14日目でしたが、当会は熟慮の末、本件を最高裁に上告することをしませんでした。
■今回のタゴ事件にまつわる絵画等6点の前橋地裁と東京高裁のビジュアル情報不公開支持判決により、次のことが判明しました。すなわち、
(1) 絵画等6点とそのビジュアル情報(本件文書)は別のものであると看做されたこと。
つまり、今回出頭した平田信容疑者を例に取れば、平田信容疑者とそのビジュアル情報である顔写真は別のものであり、平田信容疑者(=絵画等6点)が出頭(=返却・寄贈)されても、警察(=公社)がその顔写真(=絵柄写真)を作成しなければ、マスコミをはじめ世間や事件被害者が見たいと思っても、見せたくなければ見せる必要がないということを意味します。このことから、安中市長も公社理事長も、絵柄情報を見せたくないということですので、オウム事件に対する警察庁の姿勢とは180度ことなり、タゴ事件について市民に覆い隠そうという判断がはたらいていること、そして裁判所もそれを支持したことがはっきりとわかりました。
しかも、東京高裁では棄却理由に事欠いて、「 元職員の妻が公社に絵画等6点を差し入れ,公社でそのビジュアル情報である本件文書を作成した場合(本件文書の性質上その可能性は高いと考えられるが,本件全証拠によってもこの点が明らかであるとまではいえない。)」などと決め付ける始末です。公社でビジュアル情報を作成したのは確実だし、それを公社の岡田義弘理事長が見ているのに、安中市の岡田義弘市長が見ていないというのを認めるに等しいことを判決文に恥ずかしげもなく記載する裁判所、あるいは裁判官というものは一体どういう常識を持っている人種なのでしょうか。まったく理解できません。
絵画等6点の取得時期と本件文書の作成時期が異なるとしていますが、絵画等6点はもともと安中市職員が仲介者に頼んで購入したわけで、それを元職員の妻が勝手に公社に寄贈したわけですから、本来の所有権帰属主体は安中市であり、そのビジュアル情報は安中市も公社も共有しているわけなので、当然、安中市民に開示されなくてはならないはずです。でも、東京高裁は、岡田市長の政治力、というか、タゴ事件を覆い隠そうとするさらに巨悪の政治力に屈したとも言えます。
(2) 絵画等6点は,タゴ51億円事件で得た使途不明金で取得したこと
東京高裁の判決文に「前記1の認定事実(原判決引用部分)並びに証拠(甲11,乙1,2)及び弁論の全趣旨によると,絵画等6点は,元職員が公社を舞台に巨額の詐欺横領事件を起こし,それによって得た金員のうち自己消費に充てた分で取得したこと」とありますので、絵画等6点はタゴ事件で警察の捜査漏れとなっていたことから、巨額使途不明金の一部を使って、タゴが知人を通じて購入したものであることがハッキリしました。
(3) 当時、安中市・公社に絵画等6点を購入する理由はなかったと看做していること。
東京高裁の判決では、絵画等6点を購入する理由はなく、安中市・公社は元職員に対して取得のための職務命令を発していなかったと決め付けました。この点については、刑事記録として、当会がタゴ51億円事件で警察が調べ上げた膨大な資料を調べる必要があるとして「証拠等関係カード」をもとに、具体的に必要な刑事記録を指定したにもかかわらず、それらを調べようとせずに結論をだしました。
しかも、「元職員が,詐欺横領事件で得た金銭で,骨董品・古美術品を購入する際には,現金払いをしており,納品書,領収書の発行がなされた形跡が窺えないことが認められ,客観的,外形的に,元職員が絵画等6点を安中市職員の立場で取得したとは到底いえない。」と結論付けていますが、実際に骨董品・古美術品を購入したのはタゴの知人であり、タゴはその知人を通じて領収書や納品書を受け取っていたことになります。また、納品書や領収書の類は、販売した側にも控えがあるはずですが、栃木県足利市にある古美術商の話では、警察からこの件について他言無用ときつく言われている、としていることから、なんらかの理由で公表されていない可能性があります。この点について、きちんと刑事記録をチェックすれば、かならずその実態が明らかになるはずですが、遺憾ながら裁判所は15年前と同じく、当会からの事態チェックの請求を拒否する姿勢をとり続けているのです。
(3) 絵画等6点は安中市の所有ではなく公社の所有だと看做していること
高裁の判決文では「また,上記の各認定事実からして,安中市が絵画等6点の所有権を取得したともいえない。」などと何の認定事実なのも明らかにしないまま、絵画等6点は市ではなく公社の持ち物だと示唆しています。これは公社と市は別法人であり別組織であるとする論理を今でもかざしていることが分かります。それだけ、安中市の場合は特別だということが分かります。一体、どんな巨悪が裁判所をこれほどまでに捻じ曲げることができるのか、やはり尋常ではないウラ事情を通関させられます。
■元オウム真理教の幹部だった上祐史浩が設立し代表を務める「ひかりの輪」教団は、今回の平田信容疑者逮捕で、「オウム事件の全容解明のために捜査当局に積極的に協力する」というコメントを出しています。
当会は、タゴ51億円事件発覚直後から、いろいろな住民からの情報や市役所関係者とみられるかたがたからの告発情報を全て群馬県警捜査2課に通報して、事件の真相解明に協力しました。しかし、その見返りは皆無でした。事件の真相解明と再発防止、責任所在明確化は重要な要素ですが、タゴ事件の場合、これらは3つとも果たされなかったのでした。
■今回、警視庁は平田信用g者の17年近い逃亡の足取りを捜査するには、「一般からの情報提供を広く求める必要がある」と判断し、極めて異例となる逮捕後の容疑者の写真公開をしています。警視庁本部庁舎で警戒していた機動隊員は、出頭しようとした平田容疑者を見て、「手配写真と印象が違う」と感じ、「いたずら」と判断して取り合わなかった経緯もあったため、警視庁は再発防止のため、若い警察官に対して教育方法の見直しまで通達で指示したほどです。
警視庁は「平田信容疑者の足取りの解明には一般からの情報提供が欠かせない」として、逮捕直後から警察庁とも協議しながら、写真の公開を検討してきた結果、(1)凶悪かつ社会的関心が高いオウム真理教事件の容疑者であり、現在も2人の特別手配容疑者が逃亡している(2)平田容疑者の逃亡に関与した人物がいる可能性がある--ことなどから「写真を公開する公益性が高い」と判断しました。このほかにも、駅の防犯カメラの映像チェックを行ったり、支援者の存在について徹底的に洗い出す方針がうかがえます。
それにくらべると安中市土地開発公社のタゴ51億円事件は、なんという警察や検察、そして裁判所の対応なのでしょう。同じような反社会的重大事件に対して、こうも対応がことなるとは、通常の人が見れば、とうてい信じられないことでしょう。
しかし、オウム事件でも、今回のあまりにもタイミングのよすぎる出頭により、松本死刑囚の刑の執行にも影響が及ぶということで、法律的に詳しい支援者や弁護士らの存在がうかがえます。
しかし、それらの力は警察や検察、裁判所の判断を妨害することはあっても、それを捻じ曲げるほどには至らないでしょう。
でも、安中市土地開発公社のタゴ51億円事件は、完全に警察や検察、裁判所の判断を最初から、17年後の現在もなお、捻じ曲げ続けているのです。
当会はこの事件の真相について今後とも粘り強く追及する予定です。
【ひらく会情報部】
参考資料:
◇オウム事件で逃亡中の2容疑者が関与したとされる事件(カッコ内は事件発生時期と容疑名。※は警察庁による特別手配事件)
◆高橋克也容疑者(53)=6事件
・水野昇さんVX殺害未遂事件
(94年12月、殺人未遂容疑)
・浜口忠仁さんVX殺害事件
(94年12月、殺人容疑)
・永岡弘行さんVX殺害未遂事件
(95年1月、殺人未遂容疑)
※仮谷清志さん拉致監禁致死事件
(95年2月、逮捕監禁致死容疑)
※地下鉄サリン事件
(95年3月、殺人・殺人未遂容疑)
・東京都庁小包爆発物事件
(95年5月、殺人未遂・爆発物取締罰則違反容疑)
◆菊地直子容疑者(40)=2事件
※地下鉄サリン事件
・東京都庁小包爆発物事件
==============
◇死刑判決が確定した教団元幹部
※松本智津夫(56)
新実智光 (47)
※中川智正 (49)
林泰男 (54)
土谷正実 (46)
遠藤誠一 (51)
端本悟 (44)
横山真人 (48)
豊田亨 (43)
広瀬健一 (47)
※井上嘉浩 (42)
岡崎一明 (51)
早川紀代秀(62)
(呼称略。※は平田信容疑者が逮捕された仮谷清志さん拉致監禁致死事件に関与)
と思ったら、2012年1月10日未明、東京・大崎署に平田と長年一緒にいたという女性が平田信の滝本弁護士につきそわれて出頭してきました。この騒ぎは当分続くものと見られ、17年前の事件に、世論が沸騰しています。
この騒ぎを目の当たりにした安中市民は、同じく1995年の6月1日に公表された安中市土地開発公社を舞台に地方自治体では史上最高額の51億円巨額詐欺横領事件のことに思いが及びました。余りにもタイミングが良すぎるからです。オウム事件とタゴ51億円事件の相関性についてチェックしてみました。
↑さっそく派出所の掲示板には「ご協力ありがとうございました」の張り紙が平田信容疑者の顔写真の上に貼られている。↑
■平田信容疑者は、1995年に起きた目黒公証役場事務長拉致事件で、警察庁に特別手配されていました。警視庁本部に出頭しようとした際に、平田信容疑者を機動隊員が門前払いするなどしたため、警察庁は1月6日に全国の警察本部に対し、特別手配容疑者や重要指名手配容疑者の要旨や身体的特徴の周知徹底を図るよう通達しました。17年という歳月はそれくらいの風化作用があります。
警察庁の通達によれば、「指名手配容疑者が出頭することなどあり得ないとの先入観を捨て、業務に当たるように」と求めており、指名手配容疑者の顔写真や身体的特徴が書かれた「携帯手配書」の活用なども指示しました。オウム事件の特別手配容疑者2人に関しては、1995年3月におきた地下鉄サリン事件後に採用された警察職員が、相当増えているため、「オウム事件の概要などの説明も必要だ」としています。
■「なぜ今ごろになって」と、オウム事件の被害者らにとっても、今回の平田信容疑者の突然の出頭は予想外の展開でした。とくに、1995年2月に拉致され死亡した目黒公証役場事務長の仮谷清志さん(当時68歳)の長男、実さん(51)は1月1日午前、都内の自宅前で、記者団に対して「遺族としては真実を知りたいというのが切実な願い」と語りました。
実さんは、清志さんが死亡した経緯について疑念を抱いていて、真相解明に期待を抱いています。しかし、これまでも教団に振り回された清志さんは、平田信容疑者の「一区切り付けたかった」という供述をそのまま受け取れないと言います。「信者にかくまわれていた可能性もやっぱりあると思う」と指摘したうえで、事件の共謀者が公判中の場合は死刑が執行されないというルールがあるため、「出てくるタイミングが良すぎるのでは。幹部の死刑執行を延期する為とも受け止められる」とも加えました。こうした見方は、1月10日に平田をかくまっていた女性信者の出頭でますます正しいことが判明しています。
↑教祖サマの刑の執行をストップさせる為に、依然として逃亡中の2名も出頭してくる可能性もあるという。依然として教師サマに帰依している信者らが多いのがオウム事件の特徴。一方、安中市土地開発公社のタゴ事件では、罪を一身にひっかぶったタゴに帰依している信者がまだ市役所のOBや幹部に多いことから、14億円を超える使途不明金の行方が分からないように、今回の絵画等6点の絵柄情報も必死で隠そうとしていることがよくわかる。よく似た事件だが、事件当事者や警察の対応は全く異なっているところが興味深い。
↑今回の平田信容疑者の場合、本人出頭の為、懸賞金500万円は節約できましたが、このほかにも懸賞金がかかっている人物がたくさんいるので、よく記憶にとどめてすれ違う人たちの表情をよく観察しよう。↑
■この一連のニュースで感じられることは、「オウム事件が、まだ動いている」ということです。1995年5月に発覚して1996年4月にタゴ容疑者に懲役14年の刑が科せられ、その後、1998年12月に安中市・公社と群馬銀行との民事裁判が和解となり、同年3月に公社がタゴ容疑者に損害賠償請求訴訟を起こし、同年6月に勝訴したあと、完全に事件が封印されたタゴ51億円事件とは相当異なりますが、オウム事件もこれまでたくさんの容疑者をめぐる裁判が行われてきました。
タゴ51億円事件は安中市土地開発公社の元職員タゴの単独犯行と看做され、そのほか多数の共犯者らはお咎めなしとなりました。一方、オウム真理教事件では、松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚を初め、教団幹部らが法廷の場で裁かれて服役していますが、平田信容疑者の出頭により、同容疑者に支援者らがいて、とくに教祖だった松本智津夫の死刑の執行を遅らせようとして出頭させた意図が明らかなので、支援者が松本死刑囚に今も帰依している可能性があるとの見方がされています。だから、警察も異例の顔写真や防犯カメラの映像写真をどんどん公表して、平田信容疑者の足取りを確認し、逃亡を手助けした関係者らの洗い出しにやっきとなっているのです。
■一方のタゴ51億円事件でも、同様に、たくさんの共犯者や利害関係者がおります。民事の為、時効期間が短いこともあり、刑事罰を科することはできませんが、社会に与えた事件のインパクトとしては、決してオウム事件に劣るものではありません。にもかかわらず、警察も検察も裁判所も、まして、事件の舞台となった安中市も、タゴ事件に対してはまったく真相解明、責任所在の明確化、再発防止について、消極的です。というか、むしろ、事件の真相のベールをかけっぱなしという感じです。
タゴ51億円事件でも、発覚から17年近い歳月が経過していますが、この間、タゴの弟が経営する多胡運輸が3年半前に起こした首都高での出光タンクローリー横転炎上事故という首都高史上最大の損害事故が起きましたが、マスコミは全くこの事故の報道に不熱心でした。また、2010年4月の安中市長選挙の投開票日の翌日に、タゴの知人からタゴの妻に対して、タゴが事件で服役する直前に預かったという絵画等6点を返却するとの申し入れがあり、それをタゴの妻が安中市土地開発公社に、タゴ51億円事件の損害賠償の一部として寄贈するという事実が発覚しました。
■安中市民としては、いわば、今回の平田信容疑者の出頭のような出来事でしたが、なぜか公社も安中市も、市民に対して、どのような経緯で絵画等6点が寄贈されたのか、知らせようとしませんでした。
そのため当会では、情報開示請求により、安中市に絵画等6点の絵柄情報の開示を求め、それにより、真贋を第3者に判定してもらうことのほか、なぜタゴが知人にこれらを預けたのか、知人はタゴがこれらを購入する際になぜ仲介したのか、またその際に真贋を確認したはずなのになぜタゴに返却する際に「ホンモノかどうか」について説明しなかったのか、これらの絵画等6点を、どこの古美術商から購入したのか、その際に現金で代金を支払ったにしてもなぜ領収書とか納品書を残さなかったのか、などを明らかにしようとしました。
しかし、安中市土地開発公社の岡田義弘理事長は、かたくなに情報公開を拒み、安中市の岡田義弘市長も、公社の姿勢を全面的に支持しました。さらに、裁判所もそうした公社や安中市の対応を支持したため、当会の請求はことごとく棄却されました。そのため、先週金曜日、1月6日は12月22日の東京高裁の棄却判決の判決文到着日の翌日から数えて14日目でしたが、当会は熟慮の末、本件を最高裁に上告することをしませんでした。
■今回のタゴ事件にまつわる絵画等6点の前橋地裁と東京高裁のビジュアル情報不公開支持判決により、次のことが判明しました。すなわち、
(1) 絵画等6点とそのビジュアル情報(本件文書)は別のものであると看做されたこと。
つまり、今回出頭した平田信容疑者を例に取れば、平田信容疑者とそのビジュアル情報である顔写真は別のものであり、平田信容疑者(=絵画等6点)が出頭(=返却・寄贈)されても、警察(=公社)がその顔写真(=絵柄写真)を作成しなければ、マスコミをはじめ世間や事件被害者が見たいと思っても、見せたくなければ見せる必要がないということを意味します。このことから、安中市長も公社理事長も、絵柄情報を見せたくないということですので、オウム事件に対する警察庁の姿勢とは180度ことなり、タゴ事件について市民に覆い隠そうという判断がはたらいていること、そして裁判所もそれを支持したことがはっきりとわかりました。
しかも、東京高裁では棄却理由に事欠いて、「 元職員の妻が公社に絵画等6点を差し入れ,公社でそのビジュアル情報である本件文書を作成した場合(本件文書の性質上その可能性は高いと考えられるが,本件全証拠によってもこの点が明らかであるとまではいえない。)」などと決め付ける始末です。公社でビジュアル情報を作成したのは確実だし、それを公社の岡田義弘理事長が見ているのに、安中市の岡田義弘市長が見ていないというのを認めるに等しいことを判決文に恥ずかしげもなく記載する裁判所、あるいは裁判官というものは一体どういう常識を持っている人種なのでしょうか。まったく理解できません。
絵画等6点の取得時期と本件文書の作成時期が異なるとしていますが、絵画等6点はもともと安中市職員が仲介者に頼んで購入したわけで、それを元職員の妻が勝手に公社に寄贈したわけですから、本来の所有権帰属主体は安中市であり、そのビジュアル情報は安中市も公社も共有しているわけなので、当然、安中市民に開示されなくてはならないはずです。でも、東京高裁は、岡田市長の政治力、というか、タゴ事件を覆い隠そうとするさらに巨悪の政治力に屈したとも言えます。
(2) 絵画等6点は,タゴ51億円事件で得た使途不明金で取得したこと
東京高裁の判決文に「前記1の認定事実(原判決引用部分)並びに証拠(甲11,乙1,2)及び弁論の全趣旨によると,絵画等6点は,元職員が公社を舞台に巨額の詐欺横領事件を起こし,それによって得た金員のうち自己消費に充てた分で取得したこと」とありますので、絵画等6点はタゴ事件で警察の捜査漏れとなっていたことから、巨額使途不明金の一部を使って、タゴが知人を通じて購入したものであることがハッキリしました。
(3) 当時、安中市・公社に絵画等6点を購入する理由はなかったと看做していること。
東京高裁の判決では、絵画等6点を購入する理由はなく、安中市・公社は元職員に対して取得のための職務命令を発していなかったと決め付けました。この点については、刑事記録として、当会がタゴ51億円事件で警察が調べ上げた膨大な資料を調べる必要があるとして「証拠等関係カード」をもとに、具体的に必要な刑事記録を指定したにもかかわらず、それらを調べようとせずに結論をだしました。
しかも、「元職員が,詐欺横領事件で得た金銭で,骨董品・古美術品を購入する際には,現金払いをしており,納品書,領収書の発行がなされた形跡が窺えないことが認められ,客観的,外形的に,元職員が絵画等6点を安中市職員の立場で取得したとは到底いえない。」と結論付けていますが、実際に骨董品・古美術品を購入したのはタゴの知人であり、タゴはその知人を通じて領収書や納品書を受け取っていたことになります。また、納品書や領収書の類は、販売した側にも控えがあるはずですが、栃木県足利市にある古美術商の話では、警察からこの件について他言無用ときつく言われている、としていることから、なんらかの理由で公表されていない可能性があります。この点について、きちんと刑事記録をチェックすれば、かならずその実態が明らかになるはずですが、遺憾ながら裁判所は15年前と同じく、当会からの事態チェックの請求を拒否する姿勢をとり続けているのです。
(3) 絵画等6点は安中市の所有ではなく公社の所有だと看做していること
高裁の判決文では「また,上記の各認定事実からして,安中市が絵画等6点の所有権を取得したともいえない。」などと何の認定事実なのも明らかにしないまま、絵画等6点は市ではなく公社の持ち物だと示唆しています。これは公社と市は別法人であり別組織であるとする論理を今でもかざしていることが分かります。それだけ、安中市の場合は特別だということが分かります。一体、どんな巨悪が裁判所をこれほどまでに捻じ曲げることができるのか、やはり尋常ではないウラ事情を通関させられます。
■元オウム真理教の幹部だった上祐史浩が設立し代表を務める「ひかりの輪」教団は、今回の平田信容疑者逮捕で、「オウム事件の全容解明のために捜査当局に積極的に協力する」というコメントを出しています。
当会は、タゴ51億円事件発覚直後から、いろいろな住民からの情報や市役所関係者とみられるかたがたからの告発情報を全て群馬県警捜査2課に通報して、事件の真相解明に協力しました。しかし、その見返りは皆無でした。事件の真相解明と再発防止、責任所在明確化は重要な要素ですが、タゴ事件の場合、これらは3つとも果たされなかったのでした。
■今回、警視庁は平田信用g者の17年近い逃亡の足取りを捜査するには、「一般からの情報提供を広く求める必要がある」と判断し、極めて異例となる逮捕後の容疑者の写真公開をしています。警視庁本部庁舎で警戒していた機動隊員は、出頭しようとした平田容疑者を見て、「手配写真と印象が違う」と感じ、「いたずら」と判断して取り合わなかった経緯もあったため、警視庁は再発防止のため、若い警察官に対して教育方法の見直しまで通達で指示したほどです。
警視庁は「平田信容疑者の足取りの解明には一般からの情報提供が欠かせない」として、逮捕直後から警察庁とも協議しながら、写真の公開を検討してきた結果、(1)凶悪かつ社会的関心が高いオウム真理教事件の容疑者であり、現在も2人の特別手配容疑者が逃亡している(2)平田容疑者の逃亡に関与した人物がいる可能性がある--ことなどから「写真を公開する公益性が高い」と判断しました。このほかにも、駅の防犯カメラの映像チェックを行ったり、支援者の存在について徹底的に洗い出す方針がうかがえます。
それにくらべると安中市土地開発公社のタゴ51億円事件は、なんという警察や検察、そして裁判所の対応なのでしょう。同じような反社会的重大事件に対して、こうも対応がことなるとは、通常の人が見れば、とうてい信じられないことでしょう。
しかし、オウム事件でも、今回のあまりにもタイミングのよすぎる出頭により、松本死刑囚の刑の執行にも影響が及ぶということで、法律的に詳しい支援者や弁護士らの存在がうかがえます。
しかし、それらの力は警察や検察、裁判所の判断を妨害することはあっても、それを捻じ曲げるほどには至らないでしょう。
でも、安中市土地開発公社のタゴ51億円事件は、完全に警察や検察、裁判所の判断を最初から、17年後の現在もなお、捻じ曲げ続けているのです。
当会はこの事件の真相について今後とも粘り強く追及する予定です。
【ひらく会情報部】
参考資料:
◇オウム事件で逃亡中の2容疑者が関与したとされる事件(カッコ内は事件発生時期と容疑名。※は警察庁による特別手配事件)
◆高橋克也容疑者(53)=6事件
・水野昇さんVX殺害未遂事件
(94年12月、殺人未遂容疑)
・浜口忠仁さんVX殺害事件
(94年12月、殺人容疑)
・永岡弘行さんVX殺害未遂事件
(95年1月、殺人未遂容疑)
※仮谷清志さん拉致監禁致死事件
(95年2月、逮捕監禁致死容疑)
※地下鉄サリン事件
(95年3月、殺人・殺人未遂容疑)
・東京都庁小包爆発物事件
(95年5月、殺人未遂・爆発物取締罰則違反容疑)
◆菊地直子容疑者(40)=2事件
※地下鉄サリン事件
・東京都庁小包爆発物事件
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◇死刑判決が確定した教団元幹部
※松本智津夫(56)
新実智光 (47)
※中川智正 (49)
林泰男 (54)
土谷正実 (46)
遠藤誠一 (51)
端本悟 (44)
横山真人 (48)
豊田亨 (43)
広瀬健一 (47)
※井上嘉浩 (42)
岡崎一明 (51)
早川紀代秀(62)
(呼称略。※は平田信容疑者が逮捕された仮谷清志さん拉致監禁致死事件に関与)